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相手の立場に立って考えるのはマーケティングだけでなく、資金繰りを改善する際も同じ

マーケティングでは、よく「お客様の立場に立って考えよう」ということが言われます。

けれども、これは何もマーケティングだけに限らず、資金繰りを改善する際にも、「相手の立場に立って考える」と、今までとは違う対策が見えてくることがあります。



黄金の左が左右の勘違いで失神

時々土曜の夜に放映されている「人志松本のすべらない話」。

人気番組なので、ご覧になった方もおられるかもしれませんが、以前の放送で私が印象に残っているのは、「輪島VSタイガー・ジェットシン」のプロレス話です。

元横綱の輪島さんとインド出身の悪役レスラーとの対決。

プロレスのお約束として、毎回タイガー・ジェットシンが場外乱闘に持ち込んで暴れ回り、相手レスラーに向かって椅子をたたきつけるというシーンがあります。

でも、実は椅子を振り下ろす方向が決まっており、相手は上手く攻撃を避けるというのがお決まりのパターン。

輪島さんもその事は事前に知らされていたらしいのですが、いざ乱闘シーンになった時、自分から見た左なのか、相手にとっての左なのか、一瞬分からなくなってしまい、わざわざ相手が椅子を叩きつける方向へ・・・・・。

椅子がまともに命中!しばらく失神してしまったそうです。

「黄金の左」で一世を風靡した輪島さん、左右の勘違いで文字通り痛い目にあってしまいました。

これはまさにすべらない話ですが、右と左も、立場が変われば逆になるという事例の一つです。

他にも、野球でライト(右)、レフト(左)という時、あくまで、バッターから立ったときの方向。

しかしながら、最近は野球中継もピッチャー側から撮った画像がほとんど。実況中継のアナウンサーが「右方向にいい当たりが飛んでいった!」と叫んだ時、視聴者から見ると、打球は左へ飛んでいきます。

野球のライト、レフトは知っている人も多いので、混乱は少ないのかもしれませんが、詳しくない人からすると、「ライト=右なのにどうして?」と思われるかもしれませんね。

このように、右、左という単純なこと一つ取り上げても、物事は立場によって見方が180度変わるのです。


我が社の売掛金は取引先の買掛金

資金繰りでは、売掛金はできるだけ早く回収するのが基本です。

一方、支払う側からすると、皆さんの会社にとっての売掛金は先方にとっての買掛金。買掛金をできるだけ早く支払うことは、それだけ相手側の資金繰りを厳しくする結果になります。

このため、相手先にとって何かメリットや特別な事情がない限り、自社への支払いを早めることはありません。

では、180度違う立場にある両者の折り合いをどうやってつけて、会社の資金繰り改善に結びつけていけば良いのでしょうか。


請求書なくして、入金なし

あるクライアントさんの場合、口座引落し分を除くと、毎月10件程度の支払が発生します。

つまり、毎月10社から請求書が届くのですが、その10社だけをみても、請求書の到着時期にはかなりバラツキがあります。月初には必ず請求書が来る会社もあれば、月末ギリギリにしか請求書が届かない会社も。

また、スポット的な請求分であっても、納品が終わるとほぼ同時に請求するところもあれば、忘れた頃にようやく請求書が来る先もあります。

支払う側からすれば、請求書がきちんと届くというのが支払業務のスタート。いざ今月の支払をやろうとした時に請求書が来ていないと、「まあ、どうでも良いのかなあ・・・」と思ってしまいます。

資金繰りが厳しくなった会社を何社も見て来ましたが、意外と多いのが、請求書をきちんと出していないというケースです。

もちろん、出していない理由は様々で、

・事務体制がきちんとしていない
・忙しくてなかなかそこまで手が回らない
・なんらかのトラブルがあって請求しづらい etc.

しかし、会社にとって大切な売上入金の出発点ともいうべき請求書の発行がおざなりにされているのは大変もったいないことです。

多くの会社では月次の締め日や支払日は決まっています。

先のクライアントさんの例で言えば、20日締めの月末払い。つまり、21日以降に到着した請求分は原則として翌月の支払に回しています。この場合、売上を計上した側からすると、入金時期が最低でも1ヵ月ずれこみます。

金額が小さければ資金繰りへの影響も小さいかもしれませんが、一事が万事。小さい金額での請求業務ができていないところは、大きい売上の請求書の発行がより遅くなる傾向にあります。

請求書の発行はこちらサイドでコントロール可能な業務の一つ。期日までに先方にきちんと支払ってもらうため、会社側が主体的に実行できるものです。

請求書の発行がスムーズにできているかどうか。月末には一度点検してみましょう。


売掛金の回収期間を短くするには

次に、売掛金の回収期間を短縮する方法。

最初に取引条件を決める時、普通は

・売る側の希望条件
・買う側の支払条件

をすり合わせて決定します。

しかし、多くの中小企業を見ていると、買う側の支払条件に合わせていることが多いように感じます。

本来、会社としては

・当月分は当月中にほしい
・できれば前払いしてほしい  

のですが、先方の条件が「月末締めの翌月末払い」だと、それにしたがっているケースが多いのではないでしょうか。

もちろん、当方の商品やサービスがユニークかつ魅力的なもので、他ではなかなか手に入らないという希少性があれば、強気の商売も可能です。しかし、なかなかそう上手くいく訳ではありません。

その時はやはり、価格的なメリットを出すのが一番です。

弊社でも以前に4月から1年間あるサービスを受けるという契約を結びました。

費用は月20万円。

でも、先方からオファーがあったのは「3月中に1年分一括前払いなら、200万円でOKです!」というもの。年間のトータル支払額で見た場合、40万円、2ヵ月分がお得になる計算です。

一方で、弊社の場合、当時は毎月の固定費は約100万円。このため、2ヵ月分以上の経費を一度に支払うことにはちょっと抵抗感が・・・。

それでも、やはり40万円値引きの魅力には勝てず(笑)、最終的には一括してお支払しました。

このケースはやや極端な事例かもしれませんが、

・商品引渡しの30日後が支払期限
・ただし、10日以内に支払う場合は2%の割引を行う

というような条件であれば、取引先の中で何社かは早めに払ってくれるところがあるかもしれません。


相手の立場に立って支払条件に工夫を加える

売る側は、売上金をもらうことが起点になるので、いつ入金されるかが大事です。一方、支払う側には、最終的には支払うという終点があります。

この違いは無視できず、エンドが決まっている支払う側にとって、同じ払うなら、できるだけ安い方がよいというのはやはり大きな魅力です。

ただし、支払う側からすると、自社の支払パターンを崩すのは、「面倒くさいなあ」という気持ちがまず働きます。このため、面倒くささを乗越えてもらうための魅力は何かを考えてみることが売掛金の回収期間を短縮するポイントです。

もちろん、相手先の資金繰りの都合もあり、値引きしても相手が早めに払ってくれるとは限りません。また、値引きすることによって、トータルとしては受取り額が減ります。

このため、乱発するのはいけませんが、値引率と売上回収の短縮期間によっては会社の資金繰りに寄与します。

相手の立場に立って考え、一工夫加えて支払条件を提示することで、資金繰りを改善できる方法はあります。

皆さんならどんな支払条件を相手に提示できるでしょうか。


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岩井徹朗@座組み作りの専門家
サポートは、マインドの感情とマネーの勘定を整えることで、自己成長につながる研究費に活用させていただき、得られた気づきをnoteへの記事に投稿する形で還元します。