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【読書日記】『赤と青のガウン オックスフォード留学記』彬子女王
故寛仁親王殿下のご長女であられる彬子女王の、二度に渡る英国オックスフォード大学への留学記。
読み終えて、何とも爽やかな気持ちです。
プリンセスとして
皇族の一員でいらっしゃり、当然我々庶民とはお家柄が異なるので、日々の生活も同じようで違う部分も色々とあることを改めて知りました。
日本で外出される際は、常に側衞が付かれること。
自らの進路を宮内庁に報告せねばならないこと。
パスポートをお持ちになれないので、海外で身分証明が難しいこと。
そんな彬子女王の日常が、こんな言い方をすると失礼かもしれませんが、映画のようで大変面白かったです。
家族のように関わっておられる職員の方とのやり取りに、クスッと笑ったり、ほろっと涙したりしました。
留学生活について
英国オックスフォードで、彬子女王は初めて一人暮らしをご経験されます。
海外での困ったことあるあるなどの日々の出来事は、プリンセスとは言えど、まさに一人の女性の奮闘記。
周囲の人達と丁寧に関係を構築されて、輪を広げていかれる様は、彼女の素直なお人柄を映し出しているようです。
自分の留学生活を少し思い出したりして、懐かしい気持ちになったり、
友人や知り合いとの付き合い方を考え直そうと思ったりしました。苦笑
研究、論文執筆について
博士論文の執筆に苦しまれる様子がたくさん書かれています。
博士論文という文字量も多く、専門的な内容で、何よりも母国語ではない英語で書かねばならない、というのは大変なプレッシャーだったようです。
途中で諦めそうになりながらも、友人や指導教官に励ましを受けながら、初志貫徹して自分の研究したい内容を書き切られた彬子女王。
論文執筆に、強くしなやかに立ち向かわれる様子は、ご本人にとっては途轍もないご苦労だったのだろうけれど、読者の私にとっては大変気持ちが良いものでした。私自身は修士論文でも全く思うように進まず、年末年始も返上でお腹が痛くなったことを思い出しました。
元々研究がお好きではあられたのだろうけれども、それでもドクターを無事に取得されたのは本当に凄いなあと尊敬の気持ちでいっぱいになるし、博士論文を提出されて帰国された際の様子には、思わず涙してしまいました。
お父上とのこと
2012年にご薨去された、寛仁親王殿下との思い出話も紹介されていました。
先ほども書きましたが、皇族という普通ではないご家庭。
お父上の言動についての記述には尊敬語を使われるなど、我々とは違うのだな、と思う一方で、温かい関係を築かれていた父娘のお話は、皆に通ずる親子愛が溢れていて、心打たれました。
ご薨去直前、その後のお話には号泣しました。
最後に
2014年に出版された本作。
昨年、チャールズ国王戴冠の際にツイッターでバズったことから、文庫化されたとのこと。
真っ直ぐに自分の信念を貫いて生きていらっしゃる彬子女王の姿勢を本作を通して感じることができ、前向きな刺激を頂きました。
娘が大きくなったら、ぜひおすすめしたい一冊です。