【セゾン-堤清二が見た未来-】
概要
2000年前半に解体したセゾングループの創始者
無印良品、ファミリーマート、パルコ、ロフト、西武百貨店に至るまで一代で企業集団(コングロマリット)を作り上げる。
彼の生い立ち、証言から現代の経営者または企業に対して日本の未来のあるべき道を探る本。
この本はつまりは、
現代の企業経営における「短期的な利益を追う」だけでなく、
「社会や人々に対してどのような未来を描き、且つ必要とされる企業を目指すのか」をもっと考えよと述べている。
自分の生まれながらの堤家の運命に抗い、売上至上主義と経営の舵取りの難しさに苦悩しながら、時には自己を否定し、
人々にとって「本当の消費の自由を」追い続けた。
一つだけ否定的なことを言うとすれば、
堤清二という人間を少し美化しすぎてるかなと思わなくもない。
少し人生を生き急ぎ過ぎたか。
カリスマ経営者は、下で働く人間の心情を、本当の意味で理解するのは難しいのかもしれない。部下の余計な忖度もあるかもしれない。
現代のトップダウン経営の行き詰まりを感じる。
ビジョンで大きな絵を描き、
且つ事業として具現化させ、
そしてそれが「継続して利益をあげる仕組みまでを作り上げる」こと。これら全てが欠けてもいけない。
私的な要約
【無印良品】
・西友のPBとして、事業立ち上げ
・それまでのブランド至上主義へアンチテーゼ
・既存の中核ビジネスまたは人材、オペレーションとスキームが違うため様々な弊害が起こる
→結局分社化
・書籍「ホワイトスペース戦略」の「新事業立ち上げに際して、既存組織やスキームを共存させるか否か経営陣は考慮すべき」と指摘していたことを思い出す
【パルコ】
・既存の百貨店モデルを否定。ビジネスモデルを変える
・自社で仕入れ・販売→テナント賃料の不動産業へ
・全体の空間・イメージをプロデュースするかたちへ
・ファッションだけでなく、劇場、ライブハウスなど渋谷の「街づくり」まで手がけ、若者のカルチャーの発信地となる
【リゾート開発】
・積極的に取り組んだ不動産業。
先行投資が必要になるビジネスに加え、構想も先進的すぎた結果売り上げが思うように伸びず、結果セゾングループ本体を苦しめる。
・清二自身は優れた構想力と先見性はあったが、既存事業の管理に関心が薄かったことが災いしているかもしれない。
→発想する人とやりきる人は別の人がやるべき
最後に・・・文中より引用
ニーチェの言葉
「何か新しいものを初めて見つけることではなく、古いもの、古くから知られていたもの、あるいは誰の目にもふれていたが見逃されていたものを新しいもののように見出すことが、真に独創的なことである。」
気になる単語
「創造的破壊」
創造的破壊(そうぞうてきはかい)とはヨーゼフ・シュンペーターによって提唱された経済学用語の一つ
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