美味しそう……… 数ヶ月前の深夜に初めて知った言葉、「バ美肉」 第一印象は冒頭通り、お腹が空く単語だった。 美しい肉、バーベキューでドン!と出されるA5ランクの肉だろうか。食いしん坊の私はベッドからキッチンへ行き、冷凍庫にあるナゲットをチンし、もぐもぐしながら「バ美肉」について想いを馳せた。 今私の口の中にあるのは、スーパーで購入したに大量に袋詰めされたみんながお馴染みの味のごく普通のナゲットだが、バ美肉はとてもとても美味しいのだろう。高級な肉は生憎家にはないが、バー
晩御飯どうしよう…簡素な住宅街に住むが駅前は想像を超えて飲食店で溢れ返っている。 よく行く馴染みの店もいいが新規開拓をしたい所。ここのパスタ屋さんメニュー豊富だなと眺めていると初老の紳士に「この店はパスタ意外にピザも美味しいんだよ」と声をかけられた。 声をかけられ紳士側を見ると、飲食店の中に年齢層が高めのパブ、キャバレーの表札が立ち並ぶビルがあった。 「こちらのお店は食べ物が豊富ですか?」と尋ねると、「うちは女性がお酒を注いでくれる店だから食べ物はほんのつまみくらいしか
初恋は実らない。小さい頃からママの口やドラマや漫画で良く聞く台詞。 悲しいけれどそういう物なのかもしれない。でも、あなたのおかげで恋心を知れました。あなたのおかげで自分にこんなに熱い感情がある事を知れました。仰げば尊しわが師の御。耳に響いて残るは卒業式に纏わる合唱曲の蛍の光。さっきこの歌を歌ったばかりだけど、これは恋い焦がれてやまないあなたに贈りたい私の気持ちそのもの。 蛍と言えば、全く意味は異なるけど“泣かぬ蛍が身を焦がす”なんて言葉もあったっけ、ううん、あるね。今日
あーやだやだ。どうしてこうなっちゃったのかしら。生活の保障と安心はくれてもちゃんと好きな人と結婚すれば良かったわ。 あーやだやだ。平均より楽な暮らしはできるかもしれないけど、子供二人をきちんと育て上げるにはたくさんのお金が必要なのよ。 あーやだやだ。専業主婦って楽な物に身を任せるんじゃなかった。専業主婦で家にいるからこそ結婚したパートナーといっぱい話がしたいのに。 あーやだやだ。なのに何でこの人は楽しい会話を振るどころかリアクションも薄くて話しもロクに続きやしないんだ
「いい加減にしろ!!次同じ事をしたらお前との結婚生活を本気で考え直すからな!!」 結婚して約一年、遂に初めて主人に頬を叩かれてしまった。勢い余って叩かれたせいか頬がジンジンと痛む。腫れはしないだろうと思いながらもアイスノンを冷凍庫の底から出し、ハンカチに包み赤みを帯びた頬に当てて冷やす。午前7時10分、私の頬を叩いて直ぐに、早起きして作ったお弁当も持たずに主人は会社に出勤してしまった。 引っ越してきてまもないカランとしたリビングにへたり込み周囲を見回し、アイスノン