『赤い靴』
何も言えずに有楽町
宵の雑踏
置いてけぼりしてきたおんなの子
赤い靴履いてたおんなの子
ドギマギちいさなおんなの子
自分でつくった赤い靴
どうやってつくったか
ポツポツ説明する低い声
自分を責めてたおんなの子
励ますつもりでやって来て
何も言えずに「じゃぁ」とだけ
手渡したのはリルケの詩集
改札越しに見えたのは
腰の辺りでちいさく振った右の手と
さみしそうな赤い靴
宵の雑踏
置いてけぼりしてきたおんなの子
赤い靴履いてたおんなの子
自分でつくった赤い靴
かわいいちいさな赤い靴