映画評 『アリータ バトル・エンジェル』 狂人とハリウッド超大作の相性
評価:☆(5つ星採点)
原作は木城ゆきとの漫画『銃夢』
医師のイドが屑鉄置き場でサイボーグ少女の頭部を発見する、復活させて「アリータ」と名付ける
彼女は記憶を失っていたが、格闘術は覚えていた
ファンの方には申し訳ないが、私は昔からロバート・ロドリゲス作品がとても苦手で
アクション系の監督なのだが、そのアクションシーンすら大概テンポが悪く感じて、才能を感じたことがない
「早い安い上手い」とよく評されるが、この人の映画を見るたびに「早い安い不味い」としか思えない
今回特に思ったのが主人公等が何か決断や決心をするシーンの貯めの演出がとても下手くそで、そのあたりに演出力に根本的な問題が有るのかもな、という気もする
派手な演出ばかりで、何かを貯め込んで盛り上げるようなタメ演出ができないのかもね
クリストフ・ヴァルツが演じるイドも何を考えているのか感情が全く分からない
アカデミー賞俳優のクリストフ・ヴァルツが演じているのに
ただ、そもそも原作漫画の『銃夢』という作品は、登場人物がだいたいサイコパスや二重人格的だったり異常者ばかりで狂っていて
行動、思考、言動の破綻や不一致が頻繁に起こるので(少し前に言ってた事やってた事がまるで違うとか)
悪役とかあのキャラクターが狂ってるとかでなくて、主人公ガリィ(映画だとアリータ)やイドからしてサイコパス気質有るし
「サイバーパンクを舞台にした狂人たちのサラダボウル」な趣が有る
見た目は映像化向きではあるけど、この不条理漫画をハリウッドで超大作アクション映画として作るのは、実は結構無理が有ったのかもねえ…
酒場でアリータが突然狂暴化して喧嘩始めるシーンとかは、原作漫画のそういう感じがよく出ていた気もする
でも、そのノリで1本の映画を作ってしまうと「ストーリーや登場人物の思考がずっと破綻している映画」にしか見えないんだなあ
多分ロバート・ロドリゲスみたいに素直に中2アクション映画を撮るような監督ではなく、もっと狂気を持った監督の方が良かったんじゃないだろうか
それこそ、ジェームズ・キャメロンとか…
ところで、アリータが初めてチョコレートを食べて「こんな美味しいものがあるなんて!」と感動するシーンが有るのだが
制作費何億ドルとか掛けた映像で「CGで作られた人間がCGのチョコレートを「美味しい!」と食べる映像を見させられる、自分は一体何を見ているんだろうか」と不思議な気分になった
ひょっとしたら、あのシーンがこの映画で一番サイバーパンクで見どころなシーンだったんじゃないだろうか
見た事ないけど、OVA版は雰囲気がハリウッド版にそっくりなんだそうな
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