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中国製Fender Squier限定モデルの完成度が想像以上だった件

たまたま徒歩圏内の楽器店で実機を試奏したら良かったので、いったん帰宅後デ●マートで調べて、タイムセールで安くなってた大阪のお店から買いました。何と送料・税込49,500円。

試奏させてもらったお店からは、そのとき一緒に試奏させてもらった別のギター(その話はまた別件で書くつもり)を購入したので、それで勘弁してもらいましょう。

で、話を戻して、このギターの正式名称は以下のとおり。

Squier by Fender Paranormal Cabronita Telecaster Thinline 2-color Sunburst【限定モデル】

長っ!

もともとテレキャスター・シンラインの流れを汲むギターのデザインは好きで、実際にFender以外のメーカーのものを過去に何本か所有していたこともあるんですが、あれってボディをくり抜いてあるとはいえ、そんなに軽いわけでもないし、音質的にも普通のテレキャスターと大差ない場合が多いんですよね、経験的には。

唯一、まったくの別物だと思ったのはフリーダム・カスタムギター・リサーチのペッパー・シリーズで、店頭での試奏だけだったけど、驚異的と言えるほど軽量で、マホガニー・ネックのせいか、とても柔らかい音がしたのを覚えています。

で、今回のこのギター、それを思い出させるくらい、軽くて柔らかい音が出る逸品だったのです。それでいて価格的には数分の一。

どうやらボディ材がポプラ、というところが軽さと出音の柔らかさに寄与しているみたいです。

ピックガードはヘアライン加工されたゴールドのアルミニウム

Fender Jazzmasterスタイルのピックアップが採用されていますが、それ自体は特にウォームなトーンというわけではないですしね。

まあ、このギターに採用されているのはポールピース自体がマグネットになっているという、本来のJazzmasterのものとは違って、ポールピースの頭がマイナスネジで高さ調整できるタイプなので、おそらく構造的にはGibsonのP-90に近いものなのでは?と思われますが。

ちなみに、このピックアップはUSA製らしく、裏蓋を開けてみるとピックアップからスイッチに来ている配線は布巻きのいわゆるクロスワイヤーであることが確認できます。

裏蓋を開けてコントロール類の配線を確認したところ

どんな音がするの?という点については弾き手や機材にもよりけりなので、レビュー動画でも観てもらったほうが良いと思いますが、やはり特筆すべきはその軽さ。体重計でざっくり計ったところ、約2.7kgでした。

あと、細部の仕上げについては、ちょっと前までの中国製ギターの「安かろう悪かろう」という印象を覆すクォリティの高さがあります。

ネックの木目なんか、Fender Mexicoはおろか、下手をすると20万円超のUSA製でもガッカリするようなものが少なくないFender製品に比べ、価格帯の割にはまともな材を使っているように見えますし(しかもワンピース)、フレットの仕上げもていねいです。(フレットではなく)ネック材の1弦側&6弦側のエッジもちゃんと丸めてあるし。

そしてナットも材質こそ人工物ではありますが、溝切りも高さ調整もきっちりしてるので、調整の必要を感じません。20万円を超えるようなギターでも、チューニングをしていると途中で引っかかって「ピキーン!」と音がする個体もあるというのに、極めて優秀です。

安価なギターで真っ先にコストカットが図られるチューナー・ペグも気合の入ったクルーソンタイプで、巻き上げ時にストレスを感じることはありません。

クルーソン・タイプのチューナー・ペグ

さすがにこれは、と思ったのはカモメ型のストリング・ツリー。板状の金属をただ折り曲げただけ、みたいなものだったので、ここには弦を通していません。ところが、それで1&2弦のテンションが不足してナット部でビビりが生じたりすることもなく、思わぬところで溝切り精度の高さが証明されることになりました。

このネック周りで気に入らないところは主に二点。ひとつは指板面にグロス仕上げのクリア塗装が乗っている、Fender系メイプル指板特有の感触が苦手だということ。なので、メイプル指板のギターはずっと敬遠しており、これまで買って使っていたのはオイルフィニッシュのものだけでした。

しかし、だんだん慣れてきたこともあり、これはこれで結構弾きやすいのかも?と印象が変わってきつつあります。

残るもう一点は、ヘッドストックに開けられたトラスロッドの調整口の内側が黒く塗られているところ。これが一番気になるところです。マッチング・カラーでボディーと同じ色にヘッドストックが塗りつぶされているような場合は気にならないんですが。

いっそのこと、FenderのUltra Luxeみたいに、ボディ・カラーに関係なくヘッドストックは黒、っていうのであれば、それはそれで格好いいかも。

でも、以前のSquierと違って、ロゴが黒一色の塗りつぶしではないし、いろいろ気を遣ってる感じはあるので、テレキャスターのヘッドなのにFenderじゃないロゴが入っていることの違和感みたいなのはあまり感じないです。

Fenderで言うところのトランジション風のロゴ

まあ、それでも将来的にはローズウッドかパーフェロー指板のネック、あるいはローステッド・メイプルのように、今より濃いめの色のネックに交換したいという野望はありますが、当面は今のネックのまま様子を見ようと思っています。

今後、パーツ周りの細かなカスタマイズも予定しているので、実行したらまた書いていこうと思っています。

あと、弦のゲージも悩み中。009-042か、010-046か。1弦のベンドがキツいことを除けば、010-046でも全然いいんですけど、出荷時のデフォルトは009-042。裏通しのテレキャスターは全体的にテンション感キツめなこともあり、009-042は妥当な選択ではあるんですが。それじゃないと出せない特有の軽やかさ、ってのもあるし。

ブリッジ・サドルは10.5mmピッチなので、リプレイスメント・パーツの選択肢は多くなさそうです。10.8mmだといろいろ遊べそうなんですが。
10.5mmの弦間ピッチはアジア製安ギターに多いそうですが、もしかするとネックのセンターずれによる不良品率を下げるためなのかもしれません。とはいえ、このギターに関してはネックの取り付け精度もまったく問題なし。弦落ちの心配はありません。
もちろん、ギブソン系ギターを併用する者にとっては違和感が少なく、メリットしかありません。

ブロック・タイプではなく刻印入りのプレス・サドルは10.5mmピッチで、プレートはガイド溝付き

「テレキャスター警察」と揶揄されるほど、原理主義的なマニアが多いテレキャスター界隈ですが、個人的には操作系に多くの難点を抱えていると思っています。
その最たるものが、ピックアップ切り替えスイッチとヴォリューム・ノブの間隔が異常に狭いこと。

Cabronitaと呼ばれるこのシリーズでは、その点が実にスッキリと解決されています。これも地味に気が利いていますよね。

Vol, Tone, トグルSWが等間隔に並ぶレイアウト

それから、アウトプット・ジャックは伝統的なテレキャスターの例のやつ。木部に押し込んであるだけでねじ止めなどがされておらず、いつの間にか脱落しやすいという困ったちゃんですが、今後どうなることやら。

テレキャスターではお馴染みのアウトプット・ジャック

ちなみに、シールド・プラグを差し込むと「カチッ」という感覚がなく、「あれっ?ちゃんと奥まで刺さってる?これ」と心配になるくらいスムースですが、これはシールド側との相性もあるかも。いずれにせよ、ノイズも特にないので、スイッチクラフト製に交換しなければ!とか、そういうことはなさそうです。

最後に、50年代風の2-color Sunburstと呼ばれるこのカラーリングですが、個人的には黒と黄色の間に赤が入った3-color Sunburstが好きではないので、もしそうだったら買わなかったでしょう。ボディ・トップ側はちょっとグラデーションがはっきり分かれすぎという気もしなくはないですが、ボディ・バック側なんか本当に綺麗です。画像でどこまで伝わるかはわかりませんが。

総じて言えることは、安いギターだから調整やパーツ交換が必須、というこれまでの常識がまったく当てはまらない、箱から出してチューニングすればすぐに使えるギターだった、ということでしょうか。

Squierのギターはもともと安いのですから、中古など狙わず、気になったら(気に入ったら)最新機種を買うのがベストなのかもしれません。

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