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誰かのお手本になるために
オーストラリアは移民国家なので、地方都市ではどこへ行っても国際色豊かなレストランが軒を連ね、本場の味を楽しむことができます。(和食に限っては、なぜか中国人や韓国人シェフであることが多いのですが・・・。)
そんな場所に住む事を幸運に思いながら、先日主人の希望で中華料理を食べる事になりました。テーブル数が比較的多いそのレストランは、どのテーブルもお客さんで埋まっており、お店の外まで賑やかな声が聞こえてきていました。厨房からもいろいろな音が聞こえてきて、お客さんの会話もウェイターが片付ける食器の音も大変賑やかで、活気にあふれていました。
私達の隣のテーブルは、中国人男性の団体で、食事の合間に何度もワイングラスを合わせて乾杯をしていました。主人によると、それが中国のしきたりだそうで、中国人主催の宴席では何度も乾杯をするそうです。
そんな賑やかな店内を見渡すと、小学生の男の子を2人連れた中国人の家族連れに目が留まりました。お母さんらしき30代の女性は、家族に食事を取り分けたり、下の子の口に食事を運んだり、その合間にその女性も食べているのですが、その所作振る舞いが思わず見とれてしまうほど美しく、騒々しい店内に彼女の周りだけが別の空間になっているようでした。
その女性は特別着飾ってるわけでもなく、メイクもほどほど、特に派手さはありません。髪型も長い髪をひっつて、一見どこにでもいそうなスタイルでした。でも、その女性の表情は穏やかで、姿勢も良く、日頃の疲れやストレスを抱えてはいるのでしょうが、それを感じさせない優美さをまとっているのです。
あれから一週間経ってもまだ鮮明に覚えているほど、その女性は私にとってとても印象的でした。そして、「どんな生活を送っていれば、あんなに所作振る舞いの美しい女性になれるのだろうか?」と、あれからずっと考えています。その人の育ちや経験、考え方などがその人の持つ雰囲気に影響しますから、あの女性の日常を覗いてみたいと思わずにはいられません。
美しくいる為に、外見の身だしなみを整えるのはもちろんですが、心を整える事もとても重要です。私が仏教を信仰するのはその為でもあります。あの中国人女性の場合は、何かの作法を学んでいるのかもしれません。
私があの女性に目を留めたように、私もいつ誰に見られてるかわかりません。良い印象を与えるならまだしも、私の言動、所作振る舞いで家族や地域、他の日本人まで批判されては信仰を持っていても台無しです。仏教の教えでも、自分は必ず何かに属し、1人では生きていけない事を教わります。自分は何かしらの代表なのだという意識を持って、物事に向き合える自分でいたいと思います。
★毎週月曜日更新。次回は12月2日です。★