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袖触り合うも多生の縁

ここ最近の投稿は、アメリカ旅行での経験をシェアしています。

旅行中、街の観光移動はもっぱら徒歩か地下鉄でした。特にニューヨークでは地下鉄での移動が多く、いろいろな人達と肩を並べて座席に座りました。基本的にそれぞれが自分の世界に入っているので会話をすることはないですが、目が合うと笑顔を向けてくれたり、私が立っていると座席を譲ってくれる人もいて、私がそれまで持っていたニューヨーカーへのイメージが変わりました。アメリカ人、特に大都会のニューヨークに住む人達はもっと冷たいイメージだったのですが、意外と人間っぽいというか、普通というか、同じ人間なんだなと思ったのです。

そんな中、こうしたシーンでは「袖振り合うも多生の縁」という言葉が頭をよぎります。

私が信仰している仏教では、私達はこれまで何度も生まれ変わり、死に変わりを繰り返し今の自分になっていて、今生でつながる縁はどんなに小さなものでも過去世から約束されたものだと教わります。

あの時、地下鉄で席を譲ってくれた人だけでなく、今回の旅行で少し会話したお店の店員さんや、ただすれ違っただけの人も、もしかしたら過去世で会っていて、何かしらの関わりを持っていたかもしれないのです。

ある日、こんなエピソードがありました。

アメリカのある都市から田舎街に向かう為にレンタカーを借りることにしました。初日から長距離を走ったせいで次の日の朝には給油が必要になり、早朝からガソリンスタンドを探してガソリンを入れることになりました。

普段からガソリン給油はセルフで行うので一人での給油には慣れてはいるのですが、いざ給油をしようとしたらなんだか勝手が違うのです。ガソリンの種類も違うようですし、セルフスタンドの扱いもなんだかよく分かりません。

早朝の寒い中、主人と二人で、ああでもない、こうでもないと戸惑っていると、一台の車が隣のセルフスタンドに停車し、地元の人だと思われる男性が車から降りてきました。

その男性は車の中から私を見つけたらしく、「きみ、僕の友達のヨシにそっくりだから、ハイ!ヨシ!って言うところだったよ。」と笑いながら話しかけてきたのです。私は私で「本当に?私たちは旅行中なんだけど、これ、どうやって使うの?」と、すかさず給油のやり方を聞いてみました。

その人は、丁寧にセルフスタンドの使い方を教えて下さり、私達は無事にガソリンを満タンに給油することができました。

最後に「助けてくれてありがとう。そのヨシって人によろしくね。」「OK,伝えとくよ。」と言って別れました。

私達を助けてくれたあのアメリカ人男性は、前世でも私達を助けてくれたか、私達が彼を助けたか、とにかく何かしらの縁があってこうして地球の裏側で出会えたのだと思うと、来世でもまた会ってみたいと思わされます。

私は40代後半まで生きてきましたが、まだ出会っていない人、出会わなければならない人がたくさんいると思います。これから出会う人の中には、前世では良い関係ではなかった人もいるでしょう。でも、仏教の教えに沿って生きていけば、過去世での悪い関係も今生で清算できると教わります。自分と相手の関係を良いものにして、来世では最初から良い関係で出会えるように、今の内に自分の行動を改めつつ、実践していきたいと思えた旅行となりました。

毎週月曜日更新。次回は1月6日です。★


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