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花海咲季の不思議飯っぽいものを作って食べてみた

アイマスブランド最新作、学園アイドルマスター。
その看板アイドルである花海咲季は自称料理上手であるが、出来上がる料理は一般的な「美味しい料理」とは一線を画している。

ゲーム内外で何度か彼女の料理については言及されてきたが、先日公開された『初星コミュ第2章 vol.3』においてその実情が大きく明らかになった。

そこで料理の中身や味の方向性などが分かってきたため、「そろそろ作ろうと思ったら割とそれっぽいものが出来るんじゃないか?」と思ったので実際に作って食べてみることにした。


花海咲季の料理について

最初に咲季の料理がどのようなものかについてゲーム内の言及をまとめてみる。
まずこちらがその画像。

無機質なプレートに盛り付けられたサラダチキンと野菜、謎のペーストとサプリメント。あと発光する謎の液体。
いわゆるディストピア飯のようなビジュアルである。

なんでこんなことになっているかというと、花海咲季というキャラクターは元アスリートで徹底した栄養管理を行っており、食事を単なる必要な栄養の補給手段として認識しているため。
見た目や食べる楽しみを一切考慮していないのだ。

では味にも全くの無頓着かというと、そんなことはないのがポイント。
常食している花海姉妹は一旦除外するとしても、作中で食べた月村手毬からは「意外と美味しい。身体にはよさそう。」藤田ことねからは「うっまー!お姉ちゃん、やるね~!」との反応を貰っている。

一方でプロデューサーには「とても……美味しい……かと。」という微妙な反応、篠澤広からは眉をひそめながら「とっても不思議な味。」と言われてしまっており、今一つ評価が安定しなかった。

そこに来たのが『初星コミュ第2章 vol.3』。
このコミュでは咲季の料理を半月ほど食べ続けた手毬から、初見の反応からは打って変わって「もう限界」「変な物」「無理」「代わり映えのしないメニューがずっ……と、永遠に繰り返される地獄」「ものすごく飽きる」と散々な評価をされてしまい、ことねも「人様に作ってもらった料理に文句言いたくねーの」と直接的に批判したわけではないが思う所はある様子を見せる。

謎の汁…の顔と言い方好き

そして新たに食べた葛城リーリヤからは「すごく不思議な味」、紫雲清夏からは「美味しいのに二度と食べたくない」「咲季っちの料理はケミカル」「味はいいけど半年に一回くらいでいい」と言われてしまった。

この顔好き

総合すると、『味は変わっているものの悪くはないが、食べ続けるには辛い』というのが大まかな評価だと思われる。
実際に似たような料理を作ってみて、この評価がどこまで妥当なのかを考えてみたい。

調理

ここからは実際に調理していく。
なお、咲季の料理はいくつかビジュアルが存在するが、今回は先ほど掲載した初星コミュ内で登場したものの再現を試みる。

ゲーム内で材料が全て語られたわけでもないので、雰囲気と自分の想像で補っている部分が多く正確性の保証はない点に注意してほしい。

また、発光する謎の汁ことSSD(スーパースタミナドリンク)は飲まされた倉本千奈が泣き出すほど不味いという情報しかなく、中身も発光する原理も不明のため今回は再現を諦め、シェイカーに半透明のパールカラーセロファンを貼って雰囲気だけ味わうことにした。許してくれ。

SSDを飲んでる気になれるボトル。製作費¥220

サラダチキンと野菜

見た目通りのブロッコリーとサラダチキン。筋トレ飯の定番コンビ。
下に敷かれた葉物野菜はおそらくレタス、添えられているのはラディッシュだろう。
パサチキことサラダチキンは出来合いのものを買って来ても良かったのだが、せっかくなので鶏ささみを買ってきて自作した。ブロッコリーは茹で、レタスとラディッシュはそのまま乗せるだけ。

余談だがラディッシュが近場で見つからなかったためスーパーを5軒ハシゴする羽目になった。今回一番苦労したのは間違いなくここ。

緑のペースト

これの材料に関しては咲季の親愛度4のコミュでハッキリと言及があり、「マメとニンジンとピーマンのペースト」とのこと。
正確にはその際のビジュアルは別のものなのだが、このペーストの色合いから考えておそらく同じものだろうと仮定する。

豆の種類については言及がなかったが、色味的に緑がかった豆を使用していると思われるため今回は青えんどう豆を使用した。

咲季の料理は農場を経営している祖父が送ってくれる食材を使っているとのことなので豆も生の状態から調理している可能性が高いが、今回は既製品でご容赦願いたい。

この青えんどう豆に小さく切って茹でた人参とピーマンを入れ、まとまりやすくするために少々のオリーブオイルを加えてハンドブレンダーで混ぜれば完成。豆自体に塩味がついているタイプだったので味つけはなし。

茶色のペースト

緑色の何かがかかった茶色のペーストとしか分からなかったが、『初星コミュ第2章 vol.3』でまさかの枝豆の味噌汁であることが判明した。
申し訳程度にかけられた緑色の何かはおそらく彩りの小ネギであり、ディストピアのマザーAIに残された人間の心のひとかけらなのかもしれない。

枝豆と味噌をそのままペースト状にするともっと緑がかった色になると思われるため、おそらく他の具材が含まれていると思われる。
咲季的にはあくまで味噌汁として作っていることを考えると、味噌の原料であり良質なタンパク質の摂取源でもある大豆を使っているのではないかと考え、今回は大豆のペーストに枝豆と味噌を加えることにした。うーん全部豆。

大豆の水煮に茹でた枝豆と味噌、そこに一応味噌汁ということで水だしした昆布だしを少々加えてハンドブレンダーで混ぜていく。

一応食べた人が汁物と認識しているということでもっと水分量を増やすことも考えたが、清夏が「汁物なのにめちゃくちゃ喉が渇く」手毬が「ミソフレーバーパサパサペーストスープ」と言っていることから普通のペースト程度に抑えることに。一体どこで汁物判定しているんだろう。

ただ、ここでちょっとした問題が発生。
ひとまず出来上がったものがこちらなのだが、想像以上に黄色と緑が強く、劇中のビジュアルほど茶色くならない。

出来上がったもの

原因を考えたのだが、味噌の種類によるものという可能性が考えられる。
咲季の出身地は愛知県であり、主流なのは色の濃い八丁味噌。
ところが今回それに気づく前に適当に冷蔵庫にあった白味噌を使用してしまったのが問題だった。
その後家にあった田楽味噌を加えて調整したところ若干茶色に近づいたものの、劇中の色ほど濃くはならなかった。

調整版

もし今後咲季の料理の再現を試みる方がいれば、ぜひこの点に留意してもらいたい。

白っぽいペースト?

これに関しては全く情報がないため、自分の勝手な想像で作ることに。
他のビジュアルで別の白っぽいペーストとして「蒸した鶏ささみをペーストにしたやつ」というのは登場しているのだが、今回のものとは色合いや質感から別のものだと判断した。

まずは栄養については考えられているだろうということで、これまで使用した材料を元に栄養計算サイトで不足している栄養分を検索。
すると、炭水化物、カルシウム、鉄、ビタミンB1などが表示されたため、これらを含む料理ではないかと考えられる。

加えて、茶色のペーストが一応汁物という認識であったことから、咲季にも日本食における一般的な献立の形式である「主食+汁物+おかず」を踏襲しようとする気はあるのではないか?と考え、このペーストは主食に相当するような何かではないかと推定した。

また、色合いと質感を見るに均一なペーストというよりは何かの粒が含まれているように見受けられる。

この条件を満たすものを考えた結果、オートミールを牛乳で煮込んだポリッジという料理が比較的近いように思われたので今回はこれを作っていく。

というわけでオートミールを買ってきた。

初めて買ったがやたら大きいものしか売っておらず残りをどう消費したものか現在頭を悩ませている。誰か食べ方教えてくれ。

ポリッジの作り方は単純で、オートミールを牛乳に浸してレンジで温めるだけ。海外では割とメジャーな朝食のメニューらしいが、食べるのは初めてなので味が気になる。

サプリメント

サプリメントなんか買ったこともないし種類も不明なのでとりあえず100均で色と効果がそれっぽい気がしたやつを適当に購入。

ビタミンとガラナは良かったが鉄の錠剤が印象に反して白かったのが誤算だった。

実食

実際に出来上がったものを盛り付けたのがこちら。

味噌汁(?)はともかく、他は結構それっぽい見た目に出来た気がする。
盛り付けに使ったのは100均の紙トレイ。せっかくなので劇中に出てきたものを自作しようとも思ったがプラスチックの食器を自作する術が分からず妥協した。咲季はどこであんなの作ったんだ一体。

以下食べた感想を記していく。

サラダチキンと野菜

まあこれは見た目通りというか知ってる味。
ドレッシング等がかかっている様子はなかったため野菜は一切味つけしていないが、サラダチキンの塩味と合わせて食べればまあ普通に美味しかった。
何よりありがたかったのが食感。
他が軒並みペースト的なものばかりの中で、咀嚼するという行為の重要さを教えてくれる。
これまでペーストにしなかったのは咲季の良心。

豆と人参とピーマンのペースト

多分これが一番象徴的な一品。
一口目の感想は「おっ意外といける」だった。野菜の甘味が感じられて割と美味しい。

だが、なぜか手が進まない。食べていけばいくほど食欲が無くなる。
最初は美味しく食べられていた野菜の甘味が何かわざとらしいというか、不思議とケミカルとさえ感じられるほどに鬱陶しくなっていく。

自然な甘さみたいなものは料理の中でたまに見え隠れするからいいのであって、そればかりを押し出されるとどんどん苦しくなっていくという発見があった。

味噌汁(?)

これはなんかちゃんと美味しかった。
他がほぼ塩のみの味付けな分、味噌という調味料の旨さがよく分かる。
基本的に知ってる味噌の味なので食べ進めてもそこまで苦しさを感じない。

ただ、結局は味噌味のする豆のペーストにすぎないのでそのまま延々と食べたいかと言われると微妙ではある。多分何かに添えたり塗ったりするのがベスト。

ちなみに味噌汁感はなかった。

ポリッジ

試しにオートミールをそのまま食べてみたら口の中がパッサパサになり「あっこれフルグラのハズレの部分だ」となって心配になったが、牛乳と合わせることで食感も改善され素朴ながらもまあまあ美味しかった。

薄味でクセが少ないことがこの献立のバランスを取るのに結構活躍してくれ、他のペースト2種が意外と味が強い分緩衝材として機能してくれていた。
まさに普通の和食の献立における白米のポジション。
本当に咲季の料理に入っているのがこれなのかは定かではないものの、少なくとも味のバランス的にはこのチョイスで正解だったと思う。

サプリメント

飲み込むので当然味の感想とかはないです。
手毬も言っていたが同じ皿に盛り付けてある意味が分からない。
食事の合間に摂る意味もないから食後に別で飲めばいいのでは…?
多分「食事=栄養補給」「サプリメント=栄養補給」という思考から「食事=サプリメント」という図式が完成し、「同じ食事なので1プレート内に盛り付けるべき」という機械的な判断から意味もなく盛り付けられている。やはりマザーAI。

総評

前述した通り、一つずつのメニューの最初の一口目は割と美味しかった。

が、食べ進めれば進めるほど「もういいかな…」という感想になっていく。豆と人参とピーマンのペーストで特に顕著だったが、素朴な味わいというものはひたすら食べ続けると結構キツいらしい。

そしてペーストという形式も悪い
咀嚼という行為がないし、一品が完全に均一なので食べていく中で味の変化という要素が全くなかった。これが想像以上に厄介。
めちゃめちゃ食べ飽きるまでの速度が速い。

そもそもビジュアルがディストピア飯なのも相まってとにかく食欲が湧かない。
別に不味くはないものの食事を口に運ぶためのモチベーションが出てこないというかつてない感覚を味わった。

加えて言うと、作中でも指摘されていたがペーストばかりなのでかなり喉が渇く。
今回はなんちゃってSSDボトルに入れたただの水だったので特に問題はなかったが、劇中では咲季自身も「味がよくない」と認める本物SSDであることを考えると…

ここで劇中の感想を思い返してみるとその解像度の高さに気づく。

『味は変わっているものの悪くはないが、食べ続けるには辛い』というのが作中の大まかな評価だとまとめたが、この評価は完全に正しかった。
特に「ものすごく飽きる」「美味しいのに二度と食べたくない」という感想には共感しかない。
手毬はかなり食事に楽しみを求めるタイプでこってり系が好みなのにこれを半月食べ続けたのすげえよ。そりゃレジスタンスにもなる。

もしかしたらシナリオライターの方が実際に作って食べた感想なんじゃないか?と思うほどの理解度の高さに驚くと同時に実体験として作中のキャラに感情移入出来るのは面白い体験だった。

ハンドブレンダーかミキサーさえあれば作るのも材料調達も比較的簡単なので手毬や清夏の気持ちを味わってみたい人はぜひ試して欲しい。逆に花海姉妹のことは怖くなるけど。
少なくとも健康にはいいだろうし、味にこだわらないタイプの人やトップアイドルを目指している人なら普通に日々の食事として作るのも良いかもしれない。

自分は背脂とんこつラーメンとかカツカレーとか厚切りのとんかつとかを食べようと思います。


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