わが人生最悪の体調・病(2)
2020/09/29
(1)の最後に書いた素晴らしき減酒本、それは
「あなたの飲酒をコントロールする」
副題ー効果が実証された「100か0」ではないアプローチ
ウィリアム・R・ミラー/リカルド・F・ミューノス著
金剛出版
A4判で厚さ2㎝くらいある分厚い読み応えのある本だ。様々な実験・実証データに基づいた研究者の本であるだけあって、アルコール依存症になっていなければこの本で酒のコントロールはできるだろう。と私は思う。現に私は約4年ほどこの本の方法で苦しまずに酒を減らせているのだ。
まず、自分が本当に減酒でいけるのかどうかを検証する。本書で採用されているのは「ミシガン・アルコール症スクリーニングテスト(MAST)」と「アルコール依存スケール(ASD)」。この二つは日本で採用されているAUDITよりも細かく、自分の飲酒状況をより深く掘り下げる内容だと思うので私はミシガンを推す。
そのうえで、断酒ではなく減酒で行こうとなった時に、まず必要な医科学的根拠に基づいた節酒の知識が冒頭で提示される。
はじめに自分が何を、どのくらいの量を、どのくらいの時間をかけて飲むかで血中アルコール濃度が算出される。
この血中アルコール濃度(以下BAC)は、同条件の飲酒行動でも性別や体重によっても変わる。巻末にBAC表があり、また文中に体重1キロ単位で計算できるBAC表の外部サイトのURLも記載がある。もちろんアルコールの代謝にも個人差はあるので、そこはしっかりした自己分析が必要だ。
日本の厚生労働省にも適正飲酒量についての指針はあるが、個体差のある飲酒者を「成人」とひとくくりにするのは無理がある。
とにかくまず自分の適量を決める(限度は当然あり)。
その次の章からは、実践方法が詳しくわかりやすく解説される。
時間を計りながらの徹底したセルフモニタリング、飲酒の上手な断り方、進歩した自分へのご褒美の与え方等など。そのどれもが私のような酒好きア依存未満のものにとって誠実すぎるのだ。
本書は減酒のノウハウを扱うのみにとどまらない。後半は自身に寄り添い内面を見つめ、人生に躓いた時にも参考になる様々なアクションが多数提示されている。
ちょうど冠攣縮性狭心症になった絶望の淵で偶然出会えた本としてはこれ以上ありがたいものはないと思った。