古民家に住んでいる話 11
ゾ邸は身内向け旅館化路線と喫茶店化路線を並行して進めているのだが、喫茶店としての応接間を見た時、足りないものが幾つかあった。その内の一つがBGMである。スピーカーを置こうかとも思ったが、あの部屋に似合う音響機器というと蓄音機の他にない。
しかし普通の蓄音機を買うとレコードしか聴けない為自由度の点で若干の不足がある。と、探しているとこんなものを見つけた。
Bluetooth4.2対応でUSBからも曲を流せる妙にハイテクな蓄音機! 26900円! 似たような商品でもっと安いものもあったが、サイズが小さくレコードが聴けないのは流石にどうかと思ったので、浮いたゾ邸経費に俺の私費を加えこちらを購入した。
大層な応接間に大変よく似合う。気掛かりだったのが信頼性で、全く聞いたことのないメーカーで型番を検索してもまともなサイトが出てこない。店頭で売っているのであれば音質を確かめてから購入したいところだが、それも望めない。賭けだった。
しかしUSBを繋いですぐに、その不安は氷解した。高音ベースのスピーカーを買う事自体が初めてだったのだが、ピアノや笛の高音が非常に綺麗に出る。ただし高音用なので重低音が死ぬ。ハードコアやメタルは聴けないが、まあここでその手の曲は聴かんだろう。BluetoothとUSBで同じ曲を聴き比べたが、当然ながらも明らかにUSB直挿しの方が音が良いので、基本的にはUSBから再生するようにしよう。ランダム再生が無いのが玉に瑕か。因みにCDが聴きたい場合、CDプレイヤーを買ってきて繋ぐか、一度USBメモリに取り込む必要がある。
そして、庭師のヒトケン氏が軽バンを買った。これでハードオフで見つけた安いソファが買ってこれる。
というわけで買ってきた。ついでに骨董品屋にも寄って諸々買った。
買ったレコードはルパン三世、サイモン&ガーファンクル、ベートーヴェン。森田童子も欲しかったが少々高かったのでまたの機会とする。早速回してみた。
中々良い。スピーカーではあるがレコードプレーヤーとしても問題なく使える。エモい音だ・・・。
帆船とフリントロックピストルの模型は酒瓶と並べ、17世紀頃の感を出す。
ソファが買ってこれた為それまで使っていた椅子は普段は使わなそうなので、人形を置いた。西洋系の人形の中ではこれまで買った2つと比して本格的である。
これらを並べるとこうなる。
ソファとテーブルの位置が気になっていた為、これをズラして暖炉に合わせた。
素晴らしい。非常に良い。あとは蓄音機に繋がる延長ケーブルが目立つ為、地味な色の物に買い換えた上で手間に何か置いて隠してしまおう。
入居時の画像と見比べていただきたい。
中々グレートになったものである。
しかし極力早く解決せねばならない問題も浮上した。この古民家で最も床板の状態が危険なのはこの応接間で、特に長年テーブルを置いていた場所がミシミシと凹む。丁度来客者が座るであろうソファの足元になった為、遠からずここは抜けると確信できる。
これについては近日中に解決を図る。
俺は断捨離という概念や、世に蔓延る多くのミニマリストが気に食わない。目的に合わせた部屋を構築するという本質を忘れぬ真っ当なミニマリストには好感を持てるが、物を捨てる事が目的になっている連中は実に病的である。座禅がしたいならそれでもよかろうが、そういった様子でもない。コロナ禍で彼らが所詮物流に依存しているに過ぎない事が明らかにされたのは中々愉快であった。
そして、ミニマリストの対義語としてマキシマリストという言葉を知った。画像をググったが最高だ。俺はこれだ。否、以前住んでいた寮の自室は物が多いだけの汚部屋だったが、この家に越してからはレイアウトをかなり意識するようになった。あとはもっと物が増えれば名乗れるようになるだろう。
物が多い喫茶店では新宿のアルルという店が参考になる。猫がおり、それでいて喫煙できるという最高の喫茶店だ。俺もよく行く。
幼き時分にミッケ!!はやっただろうか。あれが昔から好きだった。ただ、以前の記事にも一度貼ったこちらのリンク先を見ると、真のマキシマリストがどういったものかよくわかる。凄まじいの一言である。ここまでいくとこれはこれで病的と言えるのも確かだが。
聡明なる読者諸氏は、部屋や本棚を見てその持ち主を読み取る楽しみを知っているだろう。廃墟に打ち捨てられたガラクタを眺め、かつて住んでいた者達に思いを馳せる楽しみを知っているだろう。人の家に訪れた時、自分が持っていない道具や装飾品を見る新鮮さと、その部屋だけが持つ特有の空気を味わう楽しみを知っているだろう。
来客者を楽しませる家にしたいのだ。
然らば。