見出し画像

授業参観「いのちの授業」

先週、小学生の子供の授業参観。
小学4年生の娘を見に行く。
娘の授業は特別授業。
4年生が全員体育館に集まっている。
特別事業の内容は「命の授業」
助産師であろう女性がマイクを持ち、人間がどうやって生まれてくるのかを話す。

お腹に赤ちゃんがいる女性が登場。
女性のお腹に聴診器をあてる。
赤ちゃんの心拍音が聞こえる。

「赤ちゃんの心臓の音ですよ、みんなよりも早いんだよ」
赤ちゃんの心臓の音を聞いて小学4年生の反応は様々。
へー凄い、といって目を輝かせる女の子もいれば、興味がなさそうな男の子もいる。

「今からお腹を切って、と言われて、はい切りますという子はいますか?」「いやだー」「そんな人いません」
講師からの問いに反応する子供達。
「では、お母さんに聞きますね。お腹の中にいる赤ちゃんが苦しい、早く出してって言われたらお腹を切りますか?」
「はい、切ります」
ざわざわしていた子たちが一斉に静かになった。
この講師の空気感の作り方が見事。
子供たちに命の大切さ、母親の愛情を頭ではなく心に訴えかけている。

娘はと言うと、チラチラ私の方を見てくる。講義に集中しろ娘。

終盤1歳未満の赤ちゃんとそのお母さん3人が登場。
赤ちゃんを子供たちの膝の上に載せて回る。
「うわー可愛い」「いいにおいするねー」
目を輝かせる子供達。
なんて純粋なんだろう。
その光景を眺めている私の隣に座っているお母さんはハンカチで目頭を押さえていた。

相変わらず娘がチラチラ私を見てくる。大事なことを言っているぞ、集中しろ。

講師が3人のお母さんにそれぞれ質問する。
「夜、ぐっすり寝てくれていい子ですね」
「いいえ、2時間おきにおきて私は毎日寝不足です」
「泣きわめくことなくいつもニコニコして可愛いですね」
「いいえ、泣き出すと1時間以上抱き続けていることばかりです」
「ふとんにおくとじっとしてくれているので安心ですね」
「いいえ、いつどう動くか分からないので目が離せません」
「こんなに大変なんですか、それならば赤ちゃんの事嫌いですか?」
「いいえ、大大大好きです」
台本だろうが、お母さんの本音だろう。

「皆さん、最後にこの言葉を覚えておいてください」
スライドが変わる。
スライドには
「皆、愛されて産まれてきた。無償の愛をもらって生きている」
講師が話す。
「皆さんはお母さんお父さんが何よりも大切に思っています。何があってもお母さんお父さんは皆さんの味方、だから自分を大切にしなければなりません。命を大切にしなければなりません。それは皆一緒。だから他の人の命も大切にしなければなりません」

講師の言葉に力が入る。
グッと聞き入る子供。
涙ぐむ親。

こんな授業、自分が小学生の頃あったのかな、あったとしても全く覚えていない。

講義が終わり、体育館を出て、教室に向かう。
「ぱぱー来てくれたんだね」
後ろから娘が抱き着いてくる。
嬉しいがこういう時には抱き着かれると恥ずかしい私。
娘は全く気にしていないが。

「今の授業よかったねー」
「そーだね、赤ちゃん可愛かったね」
「他なんか感想ないの?授業中チラチラ見てたよね?」
「パパが泣いてないか確認。」
なんの確認をしているのだ、と思ったが、私が泣いている確認という事は本人もグッと来ていた証拠だな。
人前では涙を見せない、感情表現が上手くない娘、私とそっくりだ。
力いっぱい抱きしめる。
「じゃあパパ行ってくるね、見ててね」
次の国語の授業に向かう娘。

大きくなってきたな―娘。

いいなと思ったら応援しよう!