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PDCAが古いと最近よく耳にする。その代わりとしてOODAとかPDRとかCAPDとかの別なフレームワークが持ち上げられている。

メンタリストのDaigoさんなどはPDCAをぼろくそ言っていますね(TT)
参照:PDCAを遥かに超えるPDR仕事術とは

結論から言えば、PDCAの問題ではなく、PDCAの使い方の問題である。

PDCAとは 参照:【もう時代遅れ?】PDCAとは? 致命的な問題点、失敗する原因、企業事例
OODAとは 参照:OODAループをビジネスに活用する具体例
PDRとは 参照:VUCAはPDRでマネジメントする

それぞれの内容については上記を参照していただきたい。

●PDCAが古い理由

①時代に合っていない。
PDCAが古いと言われる理由ですが、『古い=時代と合わないので使えない』という評価になっています。そもそも何故時代と合わないのか?
・VUCAの時代
Volatile = 変動
Uncertain = 不確実
Complex = 複雑
Ambiguous = 曖昧
この言葉が表すように第4次産業革命と言われている現代では情報化により外部環境の変化が圧倒的に早い訳であり、その結果として将来予測の精度は悪化する。つまり計画を作るような環境変化が大きくなく、将来予測が可能であるという前提そのものが、現代の時代にそぐわない=古いという評価になっていく。

②PDCAは漸進的な手法
PDCAがスタートしたきっかけはアメリカの統計学者である デミング博士が1950年代に日本の製造業に向けて統計的な品質管理手法を講義で話した内容を、受講していた人たちがまとめて使われ始めたのがスタートだそうです。その後、トヨタの看板方式など改善手法に取り入れられたと言われ品質管理手法から経営管理手法へと広がっていきました。
つまり、継続的な品質改善が前提となっている手法であり、第3次産業革命(情報革命)前のネットが普及していない時代には、経営も漸進的な取り組みで機能していた。1年計画、3年計画、5年計画というような経営計画を策定し、その経営計画に基づき経営することに問題が起きなかった。
PDCAは漸進的な取り組みの手法である。

ところがイノベーションのジレンマの様に、過去の経営計画を踏襲しながら漸進的な手法で経営を改善していく取り組みは、業界を席巻する破壊的な取り組みにより経営土台そのものから覆されてしまうわけだ。世界でNO1のシェアを誇ったフィルムのコダックがデジタル化により破産に追いやられたように、レコードがCDに駆逐され、更にはMP3プレイヤーにCDが淘汰され、いまではSPOTIFYなどのサブスク型が主流になりつつある。5年、10年で技術的な基盤そのものが変わってしまい、顧客の求める欲求が変化する。そんな時代には漸進的な手法では対応できない。

➂経験値に勝る改善法はない。
PDCAとは計画と実施に対する差を評価して改善を行い、次の計画に反映させることで成果を上げていく手法である。それはあくまで計画が優れている場合によるわけで、基本は現在の計画が前提となっておりその計画との差が改善なのである。しかし計画が崩壊しそうなほど大きなイノベーションが発生したり、環境変化が激しく結果の変動幅が大きい場合には計画と結果の差を正しく評価することができない。つまり変化が激しい場合には、その変化を受け入れるために現状把握を行いながら柔軟な対応が求められる。

 陸でクロールのフォーム練習をいくら行っても実際に泳げるようにならない様に、まず水に入り水の中では呼吸ができない。空気を吸うと体が浮くなどを体感として学習することが経営でも求められている。リーンスタートアップの様に小さく始めるて失敗を前提に、ダメージコントロールをすることを学ぶことが、経営としても重要である。

●PDCAは使えない?

『PDCA 古い』と検索すると様々な考察があるが、多くは的を得ておらず上記の3つのポイントを踏まえた上で本質的なとらえ方をするべきである。良く書かれている内容について考察しておく。
①PDRに比べて工程が多いは使い方の問題
PDRと言われる手法がある。PDCAは4つの工程に比べて3つで済む。その分一つのサイクルの時間が節約できて早くサイクルを回せるという内容であるが、そもそもそれぞれの工程を完全に独立させて行うモノでもない。あくまでサイクルの回し方や捉え方の問題である。

②PDCAは海外で使われていない。
PDCAは確かに海外で使われているものではない。結果として日本式になっている。その結果として日本特有の問題の原因とされている。ただ、事業計画や経営計画などはMBAなどでも教えているわけで、海外で計画づくりも否定しているわけではないし、AAR(アフターアクションレビュー)のように行動後の検証というように、検証も推奨している。大事なのは計画倒れにならないような実行と、終わった後に検証を正しくすることが求められているだけである。

●PDCAのメリット

(1)事業計画により全体共有が図れる。
創業段階や経営計画作りを支援している中で、計画があまりにもずさんなことがある。事業計画や経営計画は経営の羅針盤であり目標設定や方向性を指し示すことが求められる。

事業計画は誰のために書くべきかというと、利害関係者(ステークスホルダー)と言われているが利害関係者はその立場によって求めるべき内容が異なってくる。
①自分 = 考えていることを客観視する。(全体把握)
②家族 = 安心したい、少しでも知りたい(ボリューム)
➂業者 = 何を提供するべきか何が売れるか。(協力内容)
④金融機関 = 返済できるか (売上計画、返済計画)

それぞれがそれぞれの視点で求めるべきことが異なっている。OODAやPDRでは環境変化に対して強いが、企業や組織の中や外部に対して、計画は古いから実践を重視してますと言っても相手にされない。また組織で行動をするうえではある一定の判断基準や方針、役割分担がなくては同じベクトルに向かずに組織崩壊を起こします。そのために事業計画という骨子に向かい全体共有を図りながら進めていく事が求められます。

(2)大規模失敗を防ぐ
極端な例ですが、計画作りは古いと聞いて、PDRで計画に時間かけるよりも、早く行っていく事が大事なんて事を妄信し、無計画に多額の資金投入をしてしまうこともあります。レビュー段階ですでに瀕死の重傷で、次のPDRに入れない一撃崩壊です。PDRは計画がうまく回らないことに対するアンチテーゼであり、全体計画などがある中で機能したり、実験的な段階で有効であったり、高度な知識や経験による判断が可能な人が、行う場合に有効です。ティール組織では有効であるけれど、アンバー、オレンジ、レッド、の段階の組織では運用に難しさがある。

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●結論

PDCAそのものに問題点はある。やはり将来予測を前提にした計画と、その計画に対する再分析を行いながら実施していく事は、計画第一主義に陥りがちになり柔軟な対応ができない。
しかし、計画そのものが無用かと言えばそれは異なる。PDRのP(プレップ)は目的や効果について自問から始まるが、この目的や効果を考えること自体は計画とも言えるわけだ。

特に創業段階において事業計画をまとめずに、OODAやPDRで実行していこうとすると、事業融資は受けられないし、支援や協力を受けることも難しくなる。

VUCA時代において大事なことは
①プランに固執せずに、柔軟に変更し修正する。
②PDCAのサイクルを短くして短期的な試行錯誤を繰り返す。
➂検証に重点をおき、現実に向き合う。
④事業の予測性や事業の段階などによりツールを使い分ける。

という点を意識することで有用な手段となる。

ただ、それがPDCAと言えるのかと言われると・・・・使い方と定義づけの解釈によっては、PDCAとは言わないと言われそうです(笑)

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