誤解|安全なパンと危険なパン|小麦は今も人類の糧で大切な栄養源
健康リスクの高い小麦パンと低い小麦パンがある
暖かくなり過ごしやすくなりました。
おはようございます、秋月です。
今朝は良いご質問が回ってきたのでnoteでお答えしようと思います。
参照記事を貼っておきますので、よろしければご覧ください。
「安全か危険か」という表現ではなく「健康リスクが高いか低いか」という表現の方が理解できるのではないでしょか。小麦に限らずどんな食品も「健康リスクが高い」と「健康リスクが低い」に区別することはできます。先に結論を言えば、福盛幸一氏の小麦パンは小麦粉を厳選した健康リスクが極めて低い小麦パンです。
健康リスクの高い小麦パンとは
私の投稿記事「1970年を境にグルテン不耐症が20倍になって増え続けている理由」をお読みください。
記事で述べたように、小麦パンは5000年以上前の古代エジプト時代から人類の糧・栄養源として食されてきました。50年前までは、小麦パンの健康被害といえば内臓の発育が不十分な幼児のセリアック病だけで成人のセリアック病はごくごく稀で、他の食品と同じように症状といってもせいぜい急性アレルギーくらいで、近年問題になっているアトピー性皮膚炎を含む遅性(慢性)アレルギーのグルテン不耐症患者の割合は0.04%(2500人に1人)で極少数でした。アジア人の10人中9人(90%)が牛乳による乳糖不耐症という数字と比較するとお分かりだと思います。
16世紀、スペイン、ポルトガル、オランダと競って交易を拡大し物質文明が世界の覇者を生みました。18世紀、植民地の覇権を握ったイギリスが世界の覇者となり植民地からイギリスへ輸入された豊かな物資によってイギリス産業革命が起きました。物質文明によって人類の食環境・生活環境は向上し寿命が徐々に長くなりました。第二次、第三次と続いた産業革命による人類寿命の伸長に比例して人口が激増しました。
西暦1年には約2.5億人だった世界人口は1500年後、16世紀に入った時は1.6倍の4億人でした。しかし、中世史を終えて西暦1500年以降始まる物質文明に基礎を成す近代史において第一次産業革命途上の19世紀初頭の人口は9億人に倍増しました。こうして、世界人口は第二次大戦後1950年に25億人に達し、1987年には倍増し、この記事を書いている今7,935,725,972人です。世界人口時計をご存じですか?あなたがこの記事を見る時までのわずかな間にどれくらい増えたか計算してください。そのスピードで増えています。
話を戻しましょう。この急激な人口増加に対して食糧問題をどう解決するか?人類の主食の一つである小麦の生産量をどのように急増させるかが検討されました。
1960年代、小麦生産量拡大策の一つとして開発されたのが「劇薬や放射線による人工的突然変異誘発技術」です。この技術によって産出されたのが現在スーパーやコンビニで販売されているほとんどの小麦パンの原料として使われているモダンウィート(modern wheat;現代小麦)と称されるズングリした大粒の小麦です。企業の利益を優先するか消費者の安全を優先するか。企業は企業利益を最優先して有害なモダンウィートを生産する道を選びました。
治験なしの決定でした。結果的に世界的人体実験だったことになります。ちなみに、治験を無視して現在進行中の世界的人体実験が遺伝子組み換え食品です。
現代小麦の登場によって、小麦の生産量は飛躍的に伸びました。
安価な現代小麦で加工製造された製品が大量に市場に出回りました。大量生産時代に現れたファストフード業態の無数の店舗が北米市場に蔓延して有害なモダンウィート商品の流通に拍車を掛けました。更に、大型小売店の乱立。現代小麦が北米市場の隅々まで行き渡りました。タイムラグの後、日本でも同じことが起きました。
1970年代になると、現代小麦が引き起こす様々な健康被害が報告されグルテン不耐症患者数が20倍、人口の0.8%(125人に1人)に激増して今も増え続けています。▼現代小麦を使った小麦食品が引き起こす病気
グルテン不耐症(gluten intolerance)の画像
「健康リスクの高い小麦パン」というのは「現代小麦を原料に使っている小麦パン」です。現代小麦はそれまでの小麦に比べて安価です。企業利益最優先を掲げる大手企業は製造に現代小麦を使います。スーパーやコンビニで売られている大量生産されたパンやインスタント麺などのほぼ全ての商品の原料は安価な現代小麦です。しかし、原材料欄には「現代小麦(モダンウィート)」ではなく「国内生産」と記載します。多くの日本人はこれを国産と勘違いしますが、これは「輸入した小麦を日本の工場で加工した」という意味です。一度ご確認ください。スーパーやコンビニにずらりと並ぶパン、菓子類、麺、インスタント食品など多くの商品に「国内生産」と記載しています。こうした、わざと消費者が誤想する言葉を使用する行為が政府・役所・企業の貧しく卑しい精神を表しています。いわゆる日本病です。
輸入小麦の健康リスク
日本の年間小麦消費量は約600万トンです。そのうち国産小麦は100万トン(17%)で500万トン(83%)が輸入小麦です。輸入小麦は船で輸送されます。輸送中の虫の混入やカビの発生を予防するために薬品が散布されます。これを「ポストハーベスト」といいます。毒性が強すぎる理由で使用を禁止されているような農薬が散布された小麦も少なからず輸入されています。いったん小麦に塗布された農薬を完全に無害化することは困難ですから大量生産される小麦パンの中に健康リスクの高い製品が混ざるのを防ぐことはできません。
こうした輸入小麦を原料にして小麦パンを大量に製造する際には、毒性を中和したり、低品質を補う目的で様々な化学食品添加物が大量に投入されます。Y製パンのクロワッサンの原材料です。
小麦粉(国内製造)、①ファットスプレッド、②糖類、③ショートニング、
④マーガリン、⑤発酵風味料、⑥パン酵母、卵、食塩、⑦バター入り小麦粉調製品/⑧ソルビッド、糊料(⑨加工デンプン)、⑩乳化剤、⑪イーストフード、甘味料(⑫スラロース、⑬アセスルファムK)、⑭グリシン、⑮香料、⑯V.C、酸化防止剤(⑰V.E)、⑱カロテノイド色素、(一部に乳成分・卵・小麦・くるみ・大豆を含む)
なんと18つの化学添加物が入っています。化学添加物は大きな健康リスクになります。
小麦粉は輸入小麦であることは確かですが、現代小麦(モダンウィート)かどうかについては、この表示だけでは分かりません。名の通ったパン専門店でも輸入小麦を使います。パンを造る上で国産小麦がベストとは限らないからです。品種によっては外国産小麦の方が国産小麦より美味しく焼きあがるからです。理由は国産小麦より外国産小麦の方がグルテンが強いからです。
味にこだわる一流の職人ほど日本産でなく輸入小麦を使うというのはよくあることですから、その点は勘違いしないでください。
クロスリアクション
クロスリアクション(cross-reactivity;交差反応性 )とは「予測した主反応とは別の反応を開始する被験物質の反応性」とありますが、ここでは現代小麦リスク・ポストハーベスト塗布薬品リスク・化学添加物リスクなど複数のリスクが交差して起きる反応です。
つまり、輸入現代小麦に化学添加物を混ぜて大量生産される小麦パンは究極の「健康リスクの高い小麦パン」ということになります。
健康リスクの低い小麦パン
ご質問の最後に、「この小麦パン(福盛幸一氏のパン)は安全なのでしょうか?」というのがありました。
結論を言いますと、福盛幸一氏の小麦パンは健康リスクが極めて低い小麦パンです。
福盛氏は、化学添加物の使用を可能な限り避けます。油脂も米油やオリーブオイルなどコストが掛かっても健康リスクを考えた原料を選んでいます。当然、使う小麦も厳選されます。そうしたパン作りの揺るぎない理念を持たれているから日本のパンの神様と称されるのではないでしょうか。
ちょっと気を付ければパンの品質を見分けるのは簡単です。例えば、スーパーやコンビニで売っている食パンと福盛氏のような理念を持ったパン専門店の食パンを冷凍してから比べてください。先ず匂いです。添加物が多いパンは鼻につく匂いです。福盛氏のパンはやさしい小麦の香りです。添加物を大量に加えたパンは老化・劣化して見た目も味も悪くなるのが分かります。ちなみに、「高級パン」と称する商品は添加物を大量に使う傾向があります。同じように、冷凍してください。添加物の多いパンは味が極端に悪くなるので分かります。添加物が多いことも高級パンが売れなくなっている原因の一つです。
私自身、福盛氏の小麦パンのファンです。理由は福盛氏の小麦パンを頂くのは健康に良いとは考えても悪いと考えたことは一度もありません。古代エジプトの時代から小麦は人類の貴重な栄養源です。それは今も同じです。問題は、どんな小麦パンを摂取しているかということです。ほとんどの消費者はスーパーやコンビニの小麦パンを食べ続けています。オフィス街では、毎昼コンビニ弁当を食べている消費者もいます。その結果、食品添加物だけで、日本人一人当たり年間に4㎏食べていることになっています。それは最悪です。グルテンフリーと同じように「炭水化物ダイエット」も耳にします。炭水化物も大事な栄養源です。問題は、どんな食品を食べているのかということだけです。ダイエットを声高に語る方々は、ほとんどの場合ただの食べ過ぎです。
誤解しないでください
小麦は今も人類の糧であり大切な栄養源です
第二次大戦後の急激な人口増加による食品の産業化。より安価な商品を要求する消費者。企業利益を最優先する企業。その結果、人口増加→需要拡大→大量生産→品質劣化→大量消費→健康被害、という構図になります。
誤解なさらないでください。自然の恵みである小麦は有害ではありません。5000年以上の昔、古代エジプト時代から私たちが日々の糧・貴重な栄養源として食し続けてきたすばらしい食物です。
有害なのは、食糧危機を理由にして大企業が人工的に生み出したモダンウィートであり、それを原料にしているパンやその他の小麦食品です。
たまに、面白いことを言われる方がいます。
「小麦パンは体に悪いという記事を載せているのに小麦原料の冷凍生地を販売するのですか?」などというご意見です。
そうすると、「小麦パンは体に悪いのに福盛パンを売るのか?」ということになってしまいます。
それは大きな誤解です。申し上げたように、小麦パンは5000年以上昔の古代エジプト時代から人類が糧とし栄養源としてきた食物です。その自然の小麦を変異させて有害な品種の小麦を作り出したのは利益最優先企業の利己的な人間です。
私はそういう小麦パンは決して食べませんが、古代からあるおいしい小麦パンは常に頂いております。
最後までお読みいただきありがとうございます。
Nさん、ご参考になったでしょうか?スッキリされたでしょうか?もし、スッキリしないことがあれば、ご遠慮なく再度メールしてください。お好きなパンもどうぞ召し上がってください。毒でも入っていなければ美味しく頂くのは人生の楽しみでもあります。あれがダメこれがダメというのはまったくナンセンスな話だと思います。但し、無知なままで何でもかんでも頂くのは問題があると思います。
エムケイコンサルティング 秋月