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閉店続出|売れなくなった高級食パンの終焉

こんにちは、良仁です。

三寒四温、近年は冬だけでなく春先にも使われるようです。関東では、そろそろ花粉症の人も… なにしろ日本の花粉症人口は2500万人、5人に1人が花粉症です。仲間の中には花粉症は0人。偶然なのか必然なのか改めて考えると不思議なことです。

さて、アヤとサリー米国コンビの参画もあって、「パトリエフクモリ&エムケーマート コラボ企画」が徐々に成果を上げているようです。二人のパワーで企画を牽引してグルテンフリー市場に占めるベーカリー製品のパラダイムを福盛ファミリーと一緒に指し示してほしいと思います。

高級食パン専門店の終焉

一方、『高級食パン専門店の閉店が相次いでいる』という記事を見つけました。

記述にある、「高級食パンは価格と価値が一致していなかった」の一言に尽きると思います。プロの目から見れば食パン自体のプライスバランスが悪いのは一目瞭然です。

日本人は選択的購買動機で購入する

サリーが投稿記事で述べていたように、高級食パン購入者の購買動機も基本的購買動機(利便性や必要性などの基本的ニーズ)ではなく選択的購買動機(見栄えやブランドなどの購買動機を刺激する要素)だったのだろうということです。

さまざまな調査によって、「日本の消費者は選択的購買動機で購入する傾向が強い」という結果が出ています。ビトンなどの高級ブランド商品が日本で売れる理由もそこにあるようです。

【2022年最新】高級ブランド格付けランキングTOP10 1位はルイ・ヴィトンより


パンは最寄り品

コープランドの製品分類法では商品は次のように大別されます。

最寄り品(スーパーやCSの食品・お菓子・雑貨)
購入頻度高い|製品知識高い|製品価格低い|習慣購買|最寄店舗で購買|最寄品は、消費者購買頻度が高く消費者の商品に対する知識も高くなり同じ商品ならできるだけ住まいの近くで購入しようとするのが購買行動特性です。

◎買い回り品(百貨店や商業集積地小売店の衣類や電化製品)
購入頻度低い|製品知識低い|製品価格中ぐらい|比較購買|商業集積地で購買|買い回り品は、多くの消費者が品質や価格を比較検討して購買するのが特性で品揃えの豊富な店舗ほど優位になります。

専門品(ブランドショップや専門店の製品)
購入頻度低い|製品知識高い|製品価格高い|指名購買|特定店舗で購買|専門品は、製品知識の高い消費者が価格の高低や売場のロケーションに関係なく指定購買するのが特性です。


高級食パン専門店を成功させるには

交通インフラが発達したため日常生活活動の中の動線上にある百貨店や商業施設内の小売店で購入するのも含めて、パンは元々「最寄り品」ですから習慣購買する購入頻度の高い食品です。したがって、買い回り品のような売り方をしても購入者は『比較購入』するので一定の時間を経て小売店は自然淘汰されます。

記事にある、「高級食パン専門店の閉店が相次ぐ」のは景気がどうこうではなく、上記の『自然淘汰』の結果であり、閉店する店は「高級食パンの価格と価値が一致していなかった」ということです。

「高級食パン専門店」という業態を成功させるためには、元々「最寄り品」である食パンとは似て非なる製品を「買い回り品」として成立させる企画が必須となります。


今後のベーカリー市場について

先に述べたように、パンは「最寄り品」です。私に言わせれば大多数の高級食パン専門店の閉店は必然であり景気もブームも関係ありません。つまり、小売店の成否に蓋然性などありません。結果はすべて必然的です。

パンは「最寄り品」であり購入頻度が高く製品価格は低く習慣購買が基本です。「高級パン専門店」と同じように「パンの通信販売」にも落とし穴があります。『配送費』です。

例えば、『お好きに注文♡MENU』で「湯種セット」を購入すると、税込み商品代2321円に対して送料が1260円です。購入動機は基本的購入動機から選択的購入動機に変わります。つまり、購入率が半減します。言い換えれば「小麦パンの通販」売上高は選択的購入動機によって決まります。

ソリューションとして「送料無料」と記載して「アソート売り」するパン通販がありますが、パンの値段を合計すれば送料が含まれていることが分かりますから通販企画として成立しません。「送料込み」と記載する方が賢明です。

他のソリューションとしては「均一価格おまかせ販売」がありますが、小売店で売れ残ったパンを送料込みで2000円とか3000円で予約販売します。しかし、単なる川下商売でありロス率の高いパンが常に供給されるという考え方が異常です。

パン通販で伸びる可能性があるのは、

1)「米粉100%食パン」のような小麦アレルギー者が基本的購買動機で購入するパンを販売できる通販。

2)商品価格は割高でも購入者が選択的購買動機で商品価値を認めて指名購買したいと思うプレスティッジなパンやベーカリー製品を適正価格で販売できる通販。

パトリエフクモリのパン通販については、コミュニティ流通網を築く試みは正解だと思います。

「米粉100%食パン」については、サリーが指摘したように、基本的購買動機(利便性や必要性などの基本的ニーズ)を有する購入希望者に対する宣伝告知が企画成否を分けると思います。プラス、基本的購買動機を有する購入希望者が「最寄り品」として購入できる条件(1個単位で購入できる|価格が適正で習慣購入できる|送料が小さい)を整えることができれば理想的だと思います。

小麦粉パンについては、購入者の選択的購買動機(見た目・味・品質・安全性・安心性・ブランドなどの購買動機を刺激する要素)を満たすプレスティッジな商品開発を目指してほしいと思います。

エムケイコンサルティング 良仁