【地域で輝く学生vol.78】兵庫県立大学~加古川市のスマートシティ推進に協力しています!~
取組の概要
「COG2023」という東京大学公共政策大学院等が主催する行政課題について自治体と市民学生が協力して解決しようというコンテストに応募し、ファイナリストに選出されました。このコンテストは、オープンデータやデジタル技術を活用して地域の課題解決に取り組むコンテストです。
その応募以外にも加古川市の行政課題についてデータ分析による研究を行い、その研究成果について全国的な研究会等で積極的に報告を行っています。
目的
地元大学においてICT技術やDX関連技術を学ぶ学生として、加古川市のスマートシティ構想の実現に協力し、課題解決に取り組むことで、大学で学習した内容について現実のフィールドで応用する活動を行っています。
現実の課題についてオープンデータを利用して分析することで、実践力を付けるとともに、地元兵庫県の自治体に対して貢献することを目的として活動しています。
取組の内容
2023年度
加古川市が安全安心のまちづくりのために導入している「見守りサービス」。子どもや認知症のため行方不明となる恐れのある高齢者にBLEタグと呼ばれるコイン大の端末「見守りタグ」を持たせることで、どのカメラの近くを通過したのか、ほぼリアルタイムで家族が把握できるサービスも提供しています。
しかし、BLEタグの検知器や「見守りカメラ」の設置台数が限られる同市北部の農業が盛んな地区などにおいては十分検知できません。
学生による「さんぽでポイ活」は、その課題を市民参加型の活動により低費用で「見守りサービス」をより効果的に実現できるようにするとともに、住民の方のフレイル予防につなげてはどうかというアイディアです。具体的には、地域の多く住民の皆さんがお持ちのスマートフォンに、加古川市が当時すでに開発しておられた「みまもりアプリ」というアプリを導入してもらうことで、アプリをインストールした住民の方のスマートフォンを「見守りサービス」のBLEタグの検知器として機能させることで、幅広い市民の方などにも「見守りサービス」の充実に協力してもらおうというアイディアです。
このアプリをインストールしたスマートフォンを身に着けて市民の方などに外出してもらい、加古川市の内外で移動してもらえれば、加古川市内であろうと市外であろうと検知ができるようになります。
ただ、それだけでは協力してくださる方も限られるので、スマートフォンに「みまもりアプリ」を入れて検知器としての機能を提供してもらうために、加古川市が実施している「かこがわウェルピーポイント」をインセンティブとして付与することを考えました。
こうしてインセンティブをつけることで、アプリをインストールしたスマートフォンを持って積極的に加古川市の内外を散歩などで移動していただき、市民の方のフレイル予防にもつなげようという提案です。
「COG2023」でこの提案をする過程で、当時内部でもポイント連携を検討しておられた加古川市と一緒にポイント連携について検討していきました。そして、ポイント連携に向けたシステムの改修とその検証作業を現在加古川市では進めておられます。
2024年度
現在、スマートフォンアプリ「みまもりアプリ」の改修とその検証実験に応募メンバーを中心に協力しています。
自転車盗や人身事故も分析
2023年度に加古川市から非公式に依頼があった市内の自転車盗に関するGISを用いた空間的・定量的な分析を卒業研究として社会情報科学部4年生が行いました。類似の取り組みとして、学部3年生2名が加古川市内の人身事故の発生状況について、空間的データを活用した分析を実施して、「JMP Discovery Summit TOKYO 2024」のポスターセッションで、ポスターの展示を行いました。
現在、これらの取り組みを受け継ぎ、学部1年生が加古川市のスマートシティの推進において導入されているDecidimがより多くの人に利用されるための取り組みや改善策についての議論を行い、その議論をまとめて提案書を作成する作業の実施もしています。
今後の展望
2023年度の「COG2023」応募チーム「さんぽでポイ活」の提案は、加古川市の政策として採用されました。現在アプリの改修中ということで、その改修に協力しています。また、社会情報科学部の1年生を中心としたメンバーでCOG2024への応募準備しており、加古川市のスマートシティの取り組みの課題に対しての新たな提案を準備中です。
自転車盗の分析に関しては、SASユーザー総会2024など共著論文で発表し、CSIS Days2024では学部4年生が発表しました。加古川市内の人身事故の発生状況について、空間的データを利用した分析を学部3年生が実施し、この成果については「JMP Discovery Summit TOKYO 2024」 で発表を行いました。今後とも、加古川市のスマートシティの推進のために引き続き協力していく予定にしています。
寄稿:兵庫県立大学 社会情報科学部 准教授 川向 肇