キャリアカフェ「Nada Global Village(NGV)」第68回 剣道体験から知る 面白い!日本文化!
開催の背景
キャリアカフェは、多文化共生社会の実現を目指し、日本で学ぶ留学生と日本人学生の関心がある課題をテーマに、それぞれの価値観・人生観を率直に語り合い、相互理解を促す場として定期開催しており、第68回は、剣道体験を通して、日本人が古くから大切にしている精神や価値観を知ること、留学生と日本人が交流しながら互いの学びや気づきに触れ、視野を広げることを目的としました。また、剣道の武士道精神から繋がる現代の日本社会で必要なビジネスマナーについて学び、今後の日本での生活や就職活動に活かすことをねらいとしました。
プログラム内容
1.第1部:剣道体験 (実演鑑賞と解説)
①甲南女子大学 三宅 肇教授と剣道部員による剣道パフォーマンス
初めに剣道の演武と講義を行う三宅教授より、登壇する講師の紹介があり
ました。
その後、三宅教授と剣道部員による剣道パフォーマンスがありました。生の剣道を初めて目にする参加者も多く、剣道着を身に纏った剣道部員達が、張り詰めた空気の中、声を上げて演技をする様子に圧倒され、目を見張っていました。
②古くから日本に伝わる剣道と武士道精神(講義);講師:三宅 肇 教授
講師の三宅教授より剣道について詳しい解説がありました。剣道は、「礼に始まり礼に終わる」と言われており、剣道において礼をする目的は、お互いを尊重し、相手に対して敬意を示すことを、態度で表すことであると説明がありました。
さらに、「立礼」には、友人に出会った時などに行う「会釈」、上司やお客様に対して行う「敬礼」、大切な相手への挨拶や、謝罪時などに行う「最敬礼」があると説明がありました。参加者は、3種類の礼を体験し、その後「座礼」をしました。
③剣道体験を通して武士道精神を感じる(剣道体験);指導:三宅 肇 教授、剣道部員
参加者は列に並び、竹刀を手にもち、剣道体験をしました。初めてもつ竹刀に目を輝かせる様子が見られました。講師の掛け声に合わせて剣道部員が前に立ち、「面」の声を上げて相手の頭や肩を打ちました。中には、「本当に叩いても良いのか」と戸惑う留学生の姿も見られましたが、剣道部員の指導と声掛けのもと、思い切り竹刀を振り、普段できない体験を楽しむ姿が見られました。
第2部:多国籍まぜこぜ異文化交流会
剣道体験を通して「武士道精神」に触れた後、雰囲気を変えて、留学生の出身国では「こんな時どうするか?あなたの国の「道」は?」ということを以下の2種類のお題をテーマに話し合いました。
お題①「プレゼントをもらった!あなたなら、どうする?」
お題②「目上の人に出会った!敬意をもって挨拶するには?」
学生スタッフが、テーマについて複数の行動パターンを見せた後、参加者は「自分ならどうするか」グループに分かれて、8分間ディスカッションをしました。 各グループ学生スタッフを中心にファシリテータが入り、場を進行しました。 国籍や文化が違えば、身近な生活場面一つを取っても行動が違ってくること、その違いを知る面白さを実感できる時間となりました。
第3部:日本のビジネスマナーセミナー;講師:コミュニカ学院
顧問 竹田悦子先生
第3部では、剣道体験を通して感じた武士道精神と繫がる日本社会で必要なビジネスマナーについて学びました。
ビジネスの場では、先に挨拶をしてから礼をする「語先後礼」「分離礼」を行うことを動画を見ながら学びました。名刺交換の仕方では、名乗りながら名刺を差し出す、「頂戴いたします」と言って両手で受け取ること等を学び、参加者は、カードに自分の名前を書き、近くに座っている人同士で名刺交換をしました。
ビジネスの場では間違えないように振る舞うよりも、相手を思いやる気持ちが伝わるよう行動することが大切であり、それが一番のビジネスマナーになるとのお話がありました。
所感
「日本に来て初めて剣道を目の前で見て、体験もできてよかった」「留学生、日本人学生と楽しく交流しながら他国の文化や習慣を知れて視野が広がった」という感想が聞かれました。留学生は、体験を通して日本文化、言葉では言い表せない武士道精神を体感していました。
交流会では、あらゆる国籍や兵庫県内大学の学生が集まり、言語にとらわれず話し合える場となっており、ファシリテーション講座の参加学生が学んだことを実践できる場にもなっていました。各々のグループでは、違いを非難せず、共感し、理解しようとする姿が見られ、ダイバーシティ&インクルージョンを実感できる時間となりました。
留学生達は、日本で生活するにあたり、相手と円滑にコミュニケーションを取るために必要な知識を身に着けていました。
また、本イベントでは、地域住民や子ども達も多数参加していたことから、兵庫国際交流会館が国際交流の拠点であることを知ってもらえる良い機会にもなりました。
終了後の打ち上げで行った流しそうめん大会では、日本の夏の情緒的な雰囲気を留学生と地域住民が交わって体験し、大いに盛り上がっていました。