【地域で輝く学生vol.83】神戸親和女子大学〜学生たちが挑んだ異文化共創、もち麦の魅力を発信し日々の食事に〜
神戸親和大学では、「プロジェクトベイストラーニング基礎B」を受講する学生たちが、株式会社マルヤナギ小倉屋様の企業課題解決プログラムに参加し、「兵庫県産もち麦の認知度向上と若年層の市場開拓」というテーマに取り組みました。柔軟な発想で新しい提案を、という企業からの期待のもとに大学生が活動しました。
多様なチームで意見交換、課題解決に挑む
もち麦は食物繊維が豊富で、血糖値の上昇も緩やかという健康的な食品です。中でも、兵庫県加東市産のキラリモチは、ひょうご農畜水産物ブランド戦略策定品目に指定された、高品質な国産もち麦です。しかし、まだ十分に知られていないのが現状です。
そこで、日本人学生10人と、ベトナム、中国、ネパールからの留学生14人という多様なメンバーで、「もち麦といえば、ひょうご育ちのもち麦(北播磨産のもち麦)」という認知度を向上し、食べる機会を増やす方法を考えました。課題1では「もち麦おはぎ」について、課題2では「もち麦」について取り組みました。
まずは体験!もち麦おはぎの試食と意見交換
留学生はおはぎを見たことも食べたこともない人が多く、まず店舗見学と試食会を行いました。留学生からは「おはぎは甘いというイメージだったけど、これなら大丈夫」、「きな粉はネパールにもある。もち麦もあるけどもっと粒が大きい」などの意見がでて、日本人学生からは、「もともとおはぎが苦手だったので10年ぶりくらいに食べたが、もち麦が入っているとおいしい」といった意見が出ました。実際に食べるとイメージが変わったことを実感して、興味がない人にどのようにおいしさを伝えるか、留学生は自分の国の人にどう広めるかを提案のヒントにしました。
文化や習慣の違いから得られる気づき
すべての活動をグループワーク形式で進めました。出身国が異なる3~6人のメンバーが意見を出し合って、文化や習慣の違いから多くの気づきを得ながら、「もち麦おはぎ」と「もち麦」のターゲット顧客、訴求価値、商品企画やプロモーション方法について、提案アイデアを練りました。
その中には、留学生の自分の国での食べ方をもとにした提案もありました。もち麦ミルク(中国やベトナムではよく飲まれているが、日本ではあまり商品としては少ないので商品化する)、タピオカ風もち麦、アイスおこわ~もち麦VER~(ベトナム料理に似ている)などです。
日本人学生からは、「もち麦をミルクに入れるなどの意見は、日本人にとっては知らないことだったので、斬新な意見で面白いなと思いました」「面白かった点は、外国の方との文化の違いです。ベトナムの方のお菓子の文化や、物を買う文化も違い、とても興味深かったです。」のような感想があり、文化の違いから気づきを得ることも多かったようです。
また留学生からは、グループの中で自分の意見を言って議論するという経験が、難しいながらも楽しく成長したと感じることができたようでした。
「自分の意見もグループメンバーの前で出してそれに取り組むこともできてとても楽しかった。難しかったことは発表で自分が言いたいことを日本語でうまく表現できなかったことでした。」「みんなは思想がぶつかっているが、最後には共通点を求めながらも異論を残し、相手を尊重することができる友好的な雰囲気が面白い。」「この課題を通じて、グループの力は一人の優秀な人材だけではなく、全員で力を合わせて問題を解決することでより重要な成果をもたらすことが分かりました。また、社会人になってからのキャリア指導のように、自分の意見を企業に提出する機会にもなっています。」などの意見がありました。
未来を創る異文化共創の場を大切に
「この講義は留学生とのコミュニケーションが常にある状態でした、文化の違いによって出る意見もあり、他の国から見た日本のこと、何が海外で流行っているのかを常に聞けて、楽しめました。」という学生の意見に代表されるように、日本人学生と外国人留学生が異なる視点を持ち寄り、互いに学び合うことで、新たなアイデアや価値が生まれました。文化の違いを尊重しながら共に課題に取り組むことは、異文化理解を深めグローバルな視野を広げることにもつながりました。
日本人学生と外国人留学生の交流は、単に学びを深めるだけでなく、未来の社会をより豊かにするための大切な一歩として、今後もこうした共創の場を大切にしていきたいと考えます。
寄稿:神戸親和大学 文学部 国際文化学科 河野泉 先生