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キャリアカフェ「Nada Global Village(NGV)」第67回 「“MANGA”「名探偵コナン」フランス語翻訳者と、異文化理解の謎を解け!」


実施の背景

キャリアカフェは、多文化共生社会の実現を目指し、日本で学ぶ留学生と日本人学生の関心がある課題をテーマに、それぞれの価値観・人生観を率直に語り合い、相互理解を促す場として定期開催しております。第67回は、異文化理解とグローバルキャリアをテーマに、フランス人落語パフォーマーでもあり、有名なマンガ「名探偵コナン」のフランス語翻訳者でもあるシリル・コピーニ氏に登壇いただきました。
25年以上にわたる日本生活でいかにキャリアを形成してきたか、翻訳を通して知った文化の違いや、今後海外・日本で活躍を目指している日本人学生・留学生が知っておくべきことを探る機会を提供しました。

開会の挨拶

共催団体(公益財団法人兵庫県国際交流協会)・後援団体(一般社団法人神戸日仏協会)・協力団体(兵庫EU協会)など、多くの団体が関わり支持を得ていることを紹介させて頂き、共催団体である公益財団法人兵庫県国際交流協会専務理事 横川太さまより開催の挨拶を頂きました。

シリル・コピーニ氏による講演及び質疑応答


日本との出会いから現在までの経緯、漫画翻訳家として活動したきっかけ、などについて
講演頂きました。

①   日本との出会いについて

35年前、シリル氏の高校では当時まだ珍しい日本語授業があり、「この人 
がいたから、今の自分がいると言える日本人教師との出会いがあり、当時はインターネットもなく、日本の情報も、日本人を見かけることもめったにないく、漢字を見た時に、「これでコミュニケーションが取れるんだ!」と、良い意味で大きなカルチャーショックを感じた。

17歳で初めて日本・神戸でホームステイを経験し、日本が大好きになって帰国後、日本語を学び、信州大学に奨学生として留学し、母国に帰国後、また再来日し、福岡で在日フランス大使館付属文化センターに着任し、現在は翻訳家としてだけでなく落語パフォーマーとしても活躍中です。

②   落語パフォーマーとして活動そして翻訳家としてのスタート

信州大学時代、ロシア文学翻訳者・二葉亭四迷の研究が落語について知るきっかけで、落語に対して興味を持ち始め、フランス外務省と契約し、福岡の在日フランス大使館付属文化センターに勤務。
福岡でも異動先の東京でも落語文化は厳しく難しく、弟子入りはできなかったが、ある日、大阪の落語家と知り合ったことをきっかけに、大阪で落語を学び始め、落語パフォーマーとしての活動も始めた。
フランス語で落語を紹介したいと考えたが、フランスでは落語は超マイナー。そこで、まずはフランスで大人気のマンガ市場に、フランス語翻訳した落語マンガを投入することによって、マンガの力で落語を好きになってもらいたいと考え活動をスタートした。

しかし、現実は甘くなく、2年間かけて落語マンガを案内したが、認知度の低さに売れる見込みがなく、どの出版社からもドアを閉められてしまう。ある時、とある出版社から「まずわが社の提供するリストから1つ翻訳してもらってどのくらいのレベルかテストしましょう」と言われたリストの中に「名探偵コナン」があった。
マンガについて何も知らなかったが、名前は良く知っていたので仕事として受け、成功したのが2013年。やがて、めでたく念願の落語マンガもフランス語で翻訳・出版することができた。

ただ、今でもすぐに仕事は回って来ない。待っているだけでは仕事はやってこないし、営業をかけても、知らない人に仕事はないし、新しい会社はテストがあり、いまだに落ちることもあるとの事でした。

その後、「擬音語はどうやって訳すのか」、「落語日本語、明治文学の日本語、マンガの日本語、いろいろな日本語のうち、好きな日本語はどれか」、「翻訳の中で、作家が大切にしている表現や感情をどのように表現しているのか」など沢山の質問が良さられ、シリル氏からとても丁寧な回答がありました。


シリル氏からのメッセージ

今日は留学生もたくさん参加していると思う。日本で活動する、仕事する、生活するという夢があると思う。自分にもできているので、みなさんなら絶対できる。一生懸命勉強して、みんなで交流もしてほしい。交流にはカラオケやバーに行くのもとても大事。ぜひそこで交流してほしい、日本語も上達するから。日本人は親切で優しいし、困っていると助けてくれる。日本に住むのは本当にありがたいこと、みなさんもこのチャンスを逃さないようにしてほしい。


参加者の感想

「スピーカーのコピーニさんの経験やエピソードがすごく面白く聞き入ってしまいました!」、「アニメの国際的な浸透とフランス文化を知ることが出来ました」、「シリル・コピーニさんの来歴が翻訳だけではなく、実際に落語をお稽古されたり、上演なさっていたりと想像以上で、とても面白かったです。」「日本文化について新しい見方を知って、新鮮な風に触れられたような感じだった。翻訳の妙意なども聞けて、将来への参考にもなった」などの感想から、今回のねらいである、翻訳を通した異文化理解や、海外・日本でのキャリア形成のために知っておくべきことを共有できるイベントとなりました。