Jリーグは「秋春制」を導入すべきか?
先日、「Jリーグが秋春制移行をほぼ全てのクラブが同意」
というニュースが発表された。
事実とは異なる情報もあった為、物議をかもす結果となった。
ただ、以前から導入の議論はされており、なかなか結論が出ないだけに、
結局どっちが良いの?と思う人も多いのではないだろうか。
今回は「秋春制」のメリット・デメリットと結局どちらを選ぶべきなのか
考えてみたい。
まずそもそも「秋春制」とはどういうことなのか?
「秋春制」とは名前の通り、シーズンが秋頃から始まり、
翌年の春頃に終わる年間スケジュールのことを指す。
現在のJリーグは2月に開幕し、12月に閉幕する「春秋制」を導入している。
それでは、「秋春制」を導入するメリットは何なのだろうか?
色々なメリットがあると思うが、大きくは2点ある。
メリット① 欧州への移籍がしやすい
メリットとして一番良く聞く内容である。
欧州の主要リーグはJリーグと異なり、秋春制を導入している。
今のままだと、Jリーグのシーズンオフの状態で、欧州のシーズンど真ん中に飛び込むことになったり、Jリーグでシーズン途中で疲れがたまってきている中、移籍したら欧州のシーズン開幕を迎えることになる。
コンディションが100%ではない中、欧州移籍を行う選手が出てきてしまうのである。
その為、Jリーグを秋春制にすることで、日程的にマッチするというのが大きなメリットであると言える。
メリット② 夏の試合を回避できる
日本には四季があり、夏は高温多湿な地域が多い。
現状、夏はシーズンの真ん中にあたり、疲労が蓄積する中、暑さが重なり、
明らかに選手のパフォーマンスが落ちる時期でもある。
秋春制に移行すれば、暑い夏にプレーする必要は無くなる。
選手だけではなく、観客にとっても夏の観戦は避けたい。
より多くのファン・サポーターに来てもらうためには、夏の試合を回避できることは大きなメリットと言えよう。
一報で、「秋春制」がメリットだけであれば、議論は難しくない。
デメリットも少なくない。
主に以下の2点が挙げられる。
デメリット① 雪の影響
今は雪の時期を迎える前に、シーズンが閉幕している。
しかし、「秋春制」を導入すると、雪が積もる時期がシーズンと重なる。
特に、北国のチームは練習場所の確保が難しく、試合開催が難しくなる。
また、ファン・サポーターにっとて、暑い中での観戦と同様、寒い中の観戦は体に応える。
デメリット② 過密日程
また、上記の雪の影響で試合が出来ないチームは、一定期間アウェイでの連戦が続く可能性があり、過密日程となることが予想される。
実際、北海道コンサドーレ札幌はシーズン開幕始まって数試合はアウェイでの試合開催が続く。
それでは結局どちらが良いのだろうか?
私は現状の「春秋制」を強く推す。
何故なら「秋春制」を導入するメリットは解釈の仕方次第といえるからだ。
欧州への移籍に関して言えば、Jリーグが開幕する時点では欧州移籍の力が無かった選手が夏までに力を付けて、その夏に欧州へ移籍することも良くある。
日程がマッチしないことが選手の移籍を阻害しているとは、あまり言えない。
また夏の試合を回避というのも、より多くの選手が試合に出ることで対処はある程度出来るし、多くの選手にチャンスがあることは良いことである。
サポーターの観戦環境に関しても、日本には高校野球(甲子園)という真夏の中でも多数の観客動員を見込めるイベントがある。
観客を集める意味で暑さを言い訳にするのは難しい。
暑さを和らげるグッズを販売することで新たなビジネスチャンスにもなり得るし、クラブの工夫が試されるところである。
一方でデメリットに関しては、施設の改善でしか対処する方法がないように思う。
そもそも雪の中で試合観戦をするというのは、日本では一般的ではない。
もちろん高校サッカー選手権や箱根駅伝など、冬に行われるスポーツイベントもあるが、開催されているのはどちらも関東で、雪の心配はそこまでない。
雪の影響に対応する為には、競技場をドーム施設にする、暖房を完備する等、多額の投資が必要である。
「秋春制」を導入するメリットに対して、コストがかかり過ぎる。
雪の影響に対応するために多額の投資をするのであれば、
その予算は他のことに使うべきである。
さて、議論はどのように決着するだろうか。
最後に、決してコンサドーレ札幌贔屓ではないことは伝えておきたい。