スポーツ界にこそ「言語化」が必要とされる理由
以前、権田選手のインタビューを見ていて、「言語化」スキルの高さに驚いた。
インタビュー内で、まるで権田選手はビジネスパーソンのようだ、と言われていたが全くその通りだと思った。
1つ1つの事象に対して、解像度高く、時には具体例も交えながら、誰でもわかりやすいように説明をしていた。
コーチングが必要なポジションということもあるかもしれないが、全てのスポーツ選手ができるというわけではない。
近年変わりつつあるが、それでもスポーツ界というのは言語化がうまく機能していない場面が多くみられる。
しかし、そんなスポーツ界こそ「言語化」が必要なのである。
その理由は主に3つ。
①再現性を高めるため
②組織内で認識を共有しやすくするため
③固定観念をなくすため
まず1つ目の再現性を高めるため。
点を競うスポーツの場合、いかに得点を奪うシーンを増やし、失点するシーンを減らすかが、勝負のカギである。
その為には、どれだけ得点を奪う場面を再現するかが重要になる。
優秀な選手はそれを感覚で出来てしまう人もいるかもしれない。
しかし、どのように得点を奪う場面をつくるか、このケースの場合はどうするのか、言語化することで、誰であってもその場面を何回も作りやすくすることが可能となる。
この「誰でも」というのが重要なのだ。
言語化することで、優秀な選手だけでなく、チームの誰であっても再現することができれば、そのチームは強い。
そして2つ目が組織内で認識を共有しやすくするためだ。
練習をして、お互いのイメージを擦り合わせすることは重要だが、あくまでもそれは無意識にできるレベルに落とし込むフェーズ。
その前にいかに原理原則を言語化して組織内で認識を共有出来ているかが大切である。
そして、修正する時も言語化できていればそこに立ち返ることができる。
最後に3つ目の固定観念をなくすため。
よく、試合を観ているとサッカーの場合、「2-0は一番危ないスコア」とか野球の場合は「ノーアウト1塁はバント」などを解説の人が言っているのを耳にする。
試合を楽しむネタ的な要素としては良いのだが、基本的には発生する事象には要因があるはず。
例えば2-0が危ないスコアなのは、スコア自体に問題があるのではなく、そのスコアになることで、安心してマークが緩くなったり、意識の違いで最終ラインと前線が間延びして失点をする、など要因があるはず。
それを言語化出来ていれば、どうなることが良くないのか事前に認識ができ防ぐことができる。
何故かいつもそうなるんだよな、という固定観念をなくし、要因を分析して防止策を打つために言語化が必要なのだ。
「言語化」はビジネスの世界では当たり前に行われている。
言語化した内容をまとめているのが、マニュアルであったりノウハウであるのだと思う。
これは、優秀な人だけでなく誰でもその通りやれば成果をあげられるためのツールなのだ。
その言語化がより具体的に、詳細になればなるほど、より簡単に成果があげられるから、その組織は強いはず。
スポーツの世界では「センス」や「経験」で片づけられてしまうことも多いが、そこを言語化することで、成功の再現性を高め勝利に近づくことができるのだ。
選手、監督、チームスタッフ、スポーツビジネスに関わる人が特に意識するべきポイント。それが「言語化」なのだ。
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