戦争の極意から学ぶ「試合の勝ち負けを分けるポイント」⑤戦闘力の限界
戦争の極意から学ぶシリーズ最終回は「戦闘力の限界」。
参考文献:「戦術の名著を読む」木元寛明
前回、勝利の為に、限りある戦闘力を集中させることが重要と紹介した。
しかしそれでも戦闘力に限りがあることには変わりがない。
それが「戦闘力の限界」という考え方である。
「戦術の名著を読む」によると、「戦闘力の限界」を理解する為には、まず2つの考え方を知る必要がある。
①戦力転換点
②攻勢終末点
①戦力転換点
戦力転換点とは、相対戦闘力が逆転するような状態になる点をいう。
自分達のチームが優勢だったのに、いつのまに劣勢になっている。
その状況が変わるポイントのことである。
サッカーで言うと、ボール支配率が50%以上あり、シュートの本数も相手より多いのに、いつの間に攻め込まれ点を取られて、負けるといったところか。
そして、一般に攻守所を変える結果となるので、判断や対処方法は極めて重要で見誤ると大敗を喫してしまう。
②攻勢終末点
攻勢終末点とは、攻者が戦線の拡大や物資の欠乏などにより、攻撃能力の限界に達する点のこと。
延長戦に入ってスタミナが無くなってしまったり、エースや主軸がケガなどで退場してしまった場合などがわかりやすい例である。
そして「戦闘力の限界」に話を戻す。
どんなチームでも組織でも、戦闘力には限界がある。
そして、その限界(攻勢終末点)を迎える前に勝負を決めないといけない。
下馬評が高い、戦闘力が高いチームは攻勢終末点を戦力転換点以前に求めることで、戦闘力の限界を打破することができる。
一方でどれだけ戦闘力があろうと攻勢終末点を迎えてしまうと、戦力転換点となり、敗北の一途を辿ることになる。
とても当たり前で平凡的なことに聞こえるかもしれないが、勝負において一番重要なことなのである。
よく「決め切るところで決められなかったことが敗因」などと耳にするが、まさにこのことである。
いつまでもチャンスがあるわけではない。
反対に、戦力が劣るチームは戦力転換点まで粘り、相手の攻勢終末点を迎えることで相手の「戦闘力の限界」に達することが出来れば勝機が見えてくる。
スポーツの試合を観る時は、それぞれのチームの「戦力転換点」や「攻勢終末点」を気にして観戦してみると、面白いかもしれない。