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コンサートレポート

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コンパスをご利用いただいたコンサートの開催レポートです。
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記事一覧

詩と旋律の饗宴──情熱あふれる歌声が響いた夜

『愛こそすべて Romantic Gala Concert』に伺いました。(2025.02.08@豊洲シビックセンターホール) 「歌のギフト」は、歌の持つ力をさまざまな形で役立てたいという思いから、2020年にコンサート活動を開始した声楽家の団体です。チャリティーコンサートの企画や、子ども向けの演奏会など、より多くの人に声楽の魅力を身近に感じてもらえるよう、幅広い活動を展開しています。 今回のコンサートは、リートとオペラ・アリアを対照的に配置した構成が印象的で、聴衆を惹き

若き才能が紡ぐ熱演の室内楽

『MUSECEDE in MUSICASA エクセレント・アーティスツVol.1』に伺いました。(2025.01.22@ムジカーザ) 〈ミューゼシード〉は、若手音楽家の活躍を支えるネットワークとして1990年にスタートし、毎月ムジカーザで〈ミューゼシード・イン・ムジカーザ〉を開催しています。音楽監督・飛鷹佑依さんのもと、若い演奏家に発表の場を提供し、聴衆に親しみやすいクラシックコンサートを届けています。今回の公演では、過去にこのシリーズで特に好評だった4名のアーティストが再

華やかさを超えた感動—とものり組の黄金のアンサンブル

『とものり組トランペットコンサート2025 トランペット奏者 佐藤友紀と門下生によるトランペットアンサンブル』に伺いました。(豊洲シビックセンターホール@2025/01/23) 「とものり組」は、トランペット奏者・佐藤友紀さんとその門下生が集まる音楽コミュニティです。佐藤友紀さんは、東京藝術大学卒業後、国内外のオーケストラやコンクールで活躍。東京交響楽団の首席奏者を17年間務めた後、2023年に退団。現在はソロや室内楽を中心に活動し、後進の指導にも力を入れています。その佐藤

バッハへの敬愛が響く—ヨハン・セバスチャン・カンマーコーア・ヨコハマの記念演奏会

ヨハン・セバスチャン・カンマーコーア・ヨコハマ 第100回定期演奏会に伺いました。(2025.01.19@横浜みなとみらいホール 小ホール) 合唱団ヨハン・セバスチャン・カンマーコーア・ヨコハマ(JSKCY)は、1986年に結成されたバッハの宗教作品を専門に演奏する団体です。名前はバッハの名と「室内合唱(カンマーコーア)」、そして活動拠点の横浜にちなんでいます。初代音楽監督の前田幸市郎氏の遺志を継ぎ、現在は阿部純氏の指揮で活動中。少人数精鋭の編成で、プロの指導のもと週1回練

故郷の絆が紡ぐ音楽の調べ―Terzetto di Viola Concert Vol.1

Terzetto di Viola Concert Vol.1 東京公演(2025/01/11@スペースDo)に伺いました。 このコンサートは、九州産業高校吹奏楽部の卒業生3人で結成されたグループ「Terzetto di Viola(テレツェット ディ ビオーラ)」による記念すべき東京初公演です。今回はゲストにピアノの江田諒太郎さんが参加しました。同郷ならではの絆を感じさせる温かい雰囲気と、多彩な選曲で魅了されるひとときでした。 プログラムはクラシックからミュージカルまで

情熱と調和が織りなす音楽の饗宴:黒岩航紀・伊藤万桜・陬波花梨トリオによるクリスマススペシャル公演

『夢の色彩 2024 CHRISTMAS SPECIAL』に伺いました。(2024/12/13@練馬文化センター小ホール) 情熱と技巧を兼ね備えた異色のトリオ、黒岩航紀さん(ピアノ)、伊藤万桜さん(ヴァイオリン)、陬波花梨さん(サクソフォン)によるクリスマススペシャル公演に足を運びました。このトリオは2021年から銀座ヤマハホールや軽井沢大賀ホール、新宿文化センターなど各地で公演を重ねており、今回はその集大成ともいえるプログラムが披露されました。 ピアノの黒岩航紀さんは東

情熱のベートーヴェンの世界

『第九特別演奏会 ~初演から200年を記念して~ 』に伺いました。(2024.12.06@世田谷区民会館ホール) 石川智己さんの指揮と安斎航さんのピアノによる今回のコンサートは、音楽の喜びに満ちた、ゆったりと落ち着いた素晴らしいひとときを提供してくれました。お二人の演奏が見事に融合し、各楽曲の個性が鮮やかに浮かび上がるような印象深い時間となりました。 プログラムは「献堂式序曲」から始まりました。 この序曲は、ベートーヴェンがウィーンのヨーゼフシュタット劇場の新築を祝うため

心揺さぶる三重奏の調べ〜トリオ・エスパス 収穫祭 Vol.14

『トリオ・エスパス コンサート 〜収穫祭 vol.14〜』に伺いました。(2024.11.28@王子ホール) トリオ・エスパスは、同い年の3人がフランス留学中に結成したピアノトリオです。名前には「空間」や「時間」の共有を音楽を通じて実現したいという思いが込められています。ヴァイオリンの相川麻里子さんは国内外のコンクールでの受賞歴があり、現代音楽にも積極的に取り組む実力派。チェロの植木昭雄さんは、日本を代表するオーケストラで活躍しつつ、豊かな音楽性を披露。ピアノの佐藤勝重さん

新しい息吹で描かれる古典の美──メンデルスゾーンとブラームスの共演

『フィルハルモニア多摩 第 20 回記念定期演奏会』に伺いました。(2024.11.21@たましんRISURUホール(立川市市民会館) 大ホール) まず、プログラムの最初に披露されたのは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン、ピアノとオーケストラのための協奏曲 ニ短調」。この珍しい作品は、ロマン派の華やかさとメンデルスゾーン特有の繊細な旋律美が融合した名作であり、滅多に聴くことができない貴重な曲です。この日の演奏では、ヴァイオリンのダヴィデ・アローニャさんとピアノのジュゼッペ・

繊細さと情熱の調和―若林里紗さんが紡ぐピアノの世界

『若林里紗ピアノリサイタル 【東京公演】』に伺いました。(2024.11.22@すみだトリフォニー 小ホール) 若林里紗さんは、兵庫県出身のピアニスト。国内外の数々のコンクールで高い評価を得ており、神戸女学院大学や京都市立芸術大学大学院で研鑽を積まれました。モーツァルテウム音楽大学での夏期国際アカデミーにてディプロマを取得し、ソロや室内楽、伴奏など幅広い演奏活動を展開しています。コンサート企画にも力を注ぎ、地域文化の発展にも貢献する多才なアーティストです。 プログラムはド

昼下がりの響きと情熱 〜 Trio Misterioが紡ぐタンゴとクラシックの世界へ

「Trio Misterio タンゴ×クラシック〜悲しみの三重奏〜」に伺いました。(2024.11.09@加賀町ホール) Trio Misterioのメンバーは国内外で輝かしい実績を持つ演奏家たちです。ヴァイオリンの服部佐知子さんは「高嶋ちさ子12人のヴァイオリニスト」元メンバーとして活躍し、近年はヴィオラ奏者としても活動の幅を広げています。チェロの清水唯史さんはサントリーホール室内楽アカデミー出身で、国際室内楽コンクールでも受賞歴を持つ実力派。ピアノの藤原新治さんは、リス

マエストロ三石精一と新星の邂逅

「ミュージック・エトワール特別公演「絆」〜三石精一を迎えて〜」に伺いました。 (2024/01/31@かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール) 卒寿を迎えた巨匠、指揮者の三石精一さんと、中学生トランペット奏者、児玉隼人さんが出演するエトワール・スペシャルオーケストラのコンサートは新星と巨匠の邂逅、巨匠の若々しさが感じられる特別な雰囲気の演奏会でした。 オーケストラは三石精一さんに所縁のあるプロ奏者プロフェッショナルなメンバーで構成され、コンサートマスターには名古屋

注目のハーピスト、佐藤杏樹の主催コンサート。

2024年6月2日(日)、早稲田にあるトーキョーコンサーツ・ラボにてハープ奏者の佐藤杏樹さんが企画するコンサートが開催されます。今回のコンサートの聴きどころ、ハープの奥深さについて佐藤杏樹さん(以下「杏樹」さんと表記させていただきます)にお話を伺いました! コンパス 改めて伺いますが、ハープはピアノやその他の楽器に比べて、なかなか身近な出会いが無いように思いますが、きっかけはどのようなものでしたか? 杏樹 地元の企業が倉庫の広いスペースを使って、毎年、近隣住民を招いた無料

豪華出演者による刺激的な饗宴!

『対話、そして共感へ・・・日本とユーラシアをつなぐデュオの夕べ』に伺いました。(2023/11/30@すみだトリフォニーホール小ホール) ウクライナ、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、そして日本の作品も加わえた、近現代の作品を豪華な演奏家のデュオで披露されました。 それぞれの国の民族色が絶妙にちりばめられつつ、精緻な響きが融合した刺激的な作品群を一気に体験できるとても貴重なコンサートでした! 主催の「日本・ロシア音楽家協会」(https://japan-russia-