かしこくなる代わりに可愛らしさを失っていないか
より良くなろうと努力しているうちに、
実力は付いてくるだろう。
知識が増えたり、
結果を出しやすくなってきたりして、
どんどんかしこくなっていく。
それが
望んだ姿なのだと思う。
そのために
時間とお金と労力を
注いできたのだろうから。
でも、
実力を付ける代わりに、
可愛らしさを置いてきてはいないだろうか。
相手よりも自分が秀でることばかりに注目していると、
人を優劣で見るクセが付く。
そして誰かとの関わり方も、
気が付けば勝ち負けになってしまうことが増えていく。
そうやって
自分の心がカチコチにこわ張り、
柔らかくて温かくて
ふんわりとした可愛らしさが
失われてしまう。
成果を出すうえで、
ひょっとしたら
可愛らしさや健気さなんて
必要なかったのかもしれない。
強くて、
めげなくて、
スピード感とカリスマ性のある人になりたくて、
そこばかりを目指しているときは、
可憐で
滑稽にさえ見えたかもしれない。
でも、
いつまでもがんばれると思って、
自ら好き好んで
戦いに首を突っ込み続けて、
いつかクタクタになったとき、
いままでバカにしていたような、
ふんわりと温かい可愛らしさが
なにより自分を救ってくれるんだと
思い知る。
冷えた体にそっと毛布をかけてくれるような、
そんなやさしさに触れて、
その空気感に包まれて過ごしたいと
ずっと思っていたことに
やっと気付く。
かしこくなる代わりに
大事なものを失っていたのだと、
可愛らしさに触れたときに気づかされるのだ。