『おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子(講談社)』を読んだ感想。
何か、新聞の書評 から受けたイメージと違った。
芦川さんって、本当に、ただ、職場で大切にされてるって言えるのかな?
支店長のごはんの誘いにも付き合ってるし、支店長補佐の藤さんに勝手にペットボトルのお茶を飲まれても、「気にしてないですよってサインを出してる(P.8)」し。(私は絶対これは出来ない。)
仕事ができるとは別の意味で、努力してるような…。
(何か、ズレてるような気もするけど。)
仕事面に関しても、もっと、仕事を肩代わりさせられるとか、しょっちゅう休んだりしてどうしようもないとか、産休や育休や介護などに近いレベルでサポートが必要なのかな?と思ってた。
(研修を何回も当日欠席したりはしない方がいいし、正しい納品日はきちんと伝えた方がいいとは思うけど。)
省エネの働き方がしたいならそうしたらいいと思うし、能力の差って、どうしようもなくあると思う。
(みんながみんな、芦川さんみたいに、上司に謝罪を代わって貰えたり、取引先から怒鳴りつけられて、みんなに慰めてもらえたりするかどうかは分からないけど。)
私は、今よりもっと弱くて、若かった頃、母もビックリするくらい前時代的な会社をすぐやめたことがあったんだけど、芦川さん達のような働き方も今は認められるんだと分かっていたら、私ももっと気楽に働けたのかな?と思った。
その職場には、こちらの事情も知らずに、敵意を向けて来る人が一人か二人はいて、無理そうだったけど。
(一人は、有給使って、彼氏とTDLに行けるような人で、わざわざ人に敵意を向ける必要があるのか理解できなかった。もう一人は男性だったけど、オレンジ系の茶髪で、結構自由に働かれているように見えたし、職場の人達とも仲よさそうに見えた。)
給湯室で来客に出したティーカップを洗う仕事なんて、押尾さんはしなさそうだし、女子は交代/先輩が忙しければずっとやらされたけど。これ簡単なように思えて、結構大変なんだよね。
ドリンクサーバーを使えない階だと特に。
自分の仕事が中断されるし。
重役会議のために、一時間以上早く出勤しなければならなかったこともあった。
家庭のように、会社の給湯室は使いやすくないし、綺麗じゃない。
誰かの仕事を肩代わりされる人達の大変さに共感したくて、この本を読み始めたのに、変な感じ。
あまり、真木さんのように、「権利、権利」というのもどうかと思うけど、「省エネの働き方」と、手を抜くのは違うと思うし、以前、新聞で、会社も、社員の副業を応援していると読んだことがあるし。大手英会話スクールに通っていた頃、実際、そういう人を見たこともあった。
全部の職場がそうかは分からないけど、一昔前と違って、今はきちんと休んで貰わないと困る時代らしいし。
押尾さんが、「会社の上司は特別な訓練を受けた教職者ではないのだから、えこひいきをする。(P.41~42)」とあったけど、先生も色々では?と思ってしまった。
(押尾さんは、いい学生時代を送られたのかも知れないけど。)
芦川さんは、やはり、どこかズレているような気がする。頭痛が治ったので、お詫びにマフィンを焼いてくるなんて……。(人によっては、ぶち切れそう。)
押尾さんの毒がすごかった。
一人暮らしなのでごはんは作るけど、お菓子作りは出来ないって……。
何故だか分からないけど、二谷の、「したくないことも誰かがしないと、しんどくても誰かがしないと、仕事はまわらない。仕事がまわらなかったら会社はつぶれる。(P.66)」っていうのは、納得できる反面、会社の戦略のような気もした。
芦川さんといる時の二谷も二谷なんだろうけど、押尾さんといる時の方が自然体に近いような気がする。(手当てしてくれるし。)
二谷が芦川さんと付き合っていることはバレても、押尾さんとは噂にされないのを不思議に感じた。(最後までやらなかったし、ただ、ごはんを一緒に食べに行ってるだけだけど。)
残業中に、藤さんが間食で済ますのは、晩ご飯を用意されてるからだと思う。(二谷と押尾さんが二人で飲みに行く時に絡んできて、自分で言ってた。(P.44))
芦川さんって、弱いのかな?
彼女なりの生存戦略なのかも知れないけど、私にはすごくしたたかに見える。
人数分には足りないホールケーキを持って来るとか、小技もきかせてるように見えたし。
猫の救出も押尾さんに任せっぱなしだったし、現実的というか、助けられ慣れてるというか、誰か道を歩いている男の人に頼めば助けてくれると思ってたし。
押尾さんと二谷の方が、芦川さんよりサバイバル能力が低いような気がしてきた。
会社で、フルで働いていると、自分の時間を作ることは難しいけど、私は無理だけど、就業時間後も活動的な人達もいるし、時短レシピや、そんな人達向けのレシピ本が人気らしいと読んだことがあると、二谷の気持ちは分かるけどね……と思ってしまう。
芦川さんに対する二谷の複雑な感情を読まされても、彼女が作ってくれたごはんの後にカップ麺を食べてしまう、職場で貰ったお菓子を潰して捨てるエピソードを読んでいると、これで結婚できるんかなあ?やめといた方がいいんじゃないの?と思ってしまう。
二谷の他に、芦川さんのお菓子を捨てていたのは誰だったんだろう?
(原田さんは嫌いではないけど、芦川さんのお菓子を捨てて、彼女の机の上に置いてるのは押尾さんだと決めつけて、原田さんにまで言いつけて、つるし上げて、みんなにも押尾さんだと誤解させたところは苦手かな。二谷の転勤も、押尾さんのせいにしてたし。)
私には、押尾さんが芦川さんの机に捨てられたお菓子を置いていたのは、警告みたいに捉えられたんだけど。
(私なら、お菓子の差し入れより、仕事を頑張って欲しいと思ってしまうし。材料費まで回収されるのはちょっと……。)
芦川さんも実家で色々ありそうだけど、この二人、本当に結婚するのかな?
二谷の転勤と共に違う展開が待っていそうで、少し気になった。
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