CBAM移行期間のルールが最終決定(1)
CBAMの移行期間に適用される、規則及び附属書について、ドラフトが今年5月に公開され、コンサルテーションが実施されていました。
その際には、5回シリーズでご案内しました。
そのコンサルテーションは、7/11で締め切られましたが、187件のフィードバックが寄せられたようです。
内訳を見ると、当然ですが、企業や業界団体が大半を占めています。
その後には、EU域内の個人、NGO、政府機関と続いています。
国別にみると、ベルギーが39件(21%)でダントツなのが不思議かもしれませんが、EU本部を始めとする欧州の主要機関が集まっていますから、当然しょうね。
ドイツ、フランスと続きますが、その後には、EU域内への輸出が多い、タイや韓国、ブラジル、中国、インドが位置しているのも、納得の結果。
なお、現在の対象6製品では影響は小さく、1.9%程度と見積もられている日本企業はあまり関心が無いのか、わずか3件。USやオーストラリアも同数。
この傾向を見ると、EU企業がEU域外で生産している製品の輸入について、大きな懸念を抱いている様子が見てとれます。恐らく、これから出ていこう、ということではなく、現状からどのように変化するのか、どのような影響を受けるかに関心があるのでしょう。
フィードバックは全て公開されています。添付資料まで、全て閲覧が可能。
ご関心のある方は、こちらからどうぞ。
なお、日本のパブコメは、いわゆる「ガス抜き」である場合が多いかと思いますが、欧米ではまさに「コンサルテーション」。フィードバックには真摯に対応し、適切に対応します。ですので、フィードバックを返す方も、期待を持ちつつ、真剣なんですね。
精緻にレビューするが故に、予定を大幅にずれ込むことも多く、例えば、SECは気候変動開示規則を4月にリリースとしていたところ、10月になるようですし、GHGプロトコルの「Land Sector and Removals Guidance」は、23年半ばが24年半ばと、1年も後ろ倒しになると明らかにしています。
さて、それでは、これらのフィードバックを受けて、どのような変更が加えられたのか見ていきたいと思いますが、その前に、フィードバックの内容を、簡単ですがレビューしてみようと思います。
というのも、先日、アルミニウムについて「抜け道があるのでは」というFTの記事について書きましたが、当事者である企業は、どのように考えているのかという興味もあり、対象となっている6つの産業セクターの企業の、CBAMに対する危機感、感心はどの程度なのかが気になったからです。
187件全てに目を通すことは難しいですが、日本企業はEU域内へ輸出する立場ですので、域外からのフィードバックに限って、内容を確認しておきたいと思います。
お付き合いの程、よろしくお願いします。
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