マティス 自由なフォルム 展
好きな作品
<バーンズ財団壁画 ダンス>
マティスのダンスシリーズの中で、この作品が色合い・構図・フォルムの全てが一番好み。生命の喜びに溢れた作品。
実物大で作成した後に、作品のサイズが間違っていて描き直したというエピソードにもびっくり。マティスほどの大御所でもそんな間違えするんだ・・・そして61歳で大作を描き直す気力があるのがすごい。この時にサイズを間違えてボツになった作品がパリ近代美術館に所蔵されているのだけど、バーンズ財団壁画の「ダンス」より人物がパキッとデフォルメされていて好みだった。特に中心の人物がバーンズ財団壁画ではふにゃふにゃに描かれていて、全体的に生命力や力強さが弱まっている気がするけど、どういう心境の変化があったのだろう・・・
<ブルーヌード>
青い紙をざっくりと人物のフォルムに貼り合わせただけなのに、若い女性の瑞々しい雰囲気が伝わる。シンプルな作品なのにずっと見ていられる。紙の質感の違いや、青い絵の具の塗りムラが作品の表情をより豊かにしている。
<ヴァンス礼拝堂の再現>
現地の自然光と環境音が再現されている体験型の作品。タイルに描かれた巨大なのっぺらぼうの聖ドミニクスは、人間のようで人間ではない、この世の存在ではない「何か」という雰囲気があり、神聖だけど不気味な恐ろしさを感じる。
<マティスの机>
実際にマティスが使っていた机が展示されていた。引き出しの中に使いかけの絵の具チューブがごちゃごちゃと入っている。描くことを楽しんでいるのが伝わってくるようで、見ていて嬉しい気持ちになった。展示されていたのが撮影OKのエリアじゃないのが残念!
まとめ
画集で見て憧れていた、バーンズ財団壁画 ダンスの習作が観れてよかった。尋常じゃない数のデッサンを描き、鍛錬を積んだ末の傑作なのだろうけど、私もあんなのびのびした線を描きたいなと改めて思った。マティスが現代に生きていたら、グラフィックデザイナーとしてもかなり活躍していたと思う。マティスのポスターをよく見かけるけど、空間が華やぐ色彩と構図は、いつの時代でも新鮮で刺激的。