無農薬で育てた野菜に化学調味料を大量にぶち込んだ手料理を振舞う人たち
僕の田舎ではどこの家の隣にも畑があって、そこでは自分たちや都会に暮らす子供や孫のために、農薬を使わずに「安心安全」な野菜が育てられています。
収穫したばかりの野菜は、はち切れんばかりの瑞々しさで、子供時代はおやつの時間になると、塩を持って畑に行って物色したものです。そのせいで、今でもトマトを生で食べるときは丸かじりじゃないと嫌だったりします。
大人になって実家に帰ると、母親が僕や僕の子供たちのために「無農薬で育てた野菜を使ってるから健康にいいよ」と言いながら手料理を振る舞ってくれるのですが、たまたま料理を手伝ったときに、「味付き塩こしょう」から「粉末だし」「旨味調味料」といった化学調味料のオンパレードで、少々面食らったのです。
個人的にはまち中華も大好きだし、化学調味料が絶対イヤというタイプではないのですが、「健康」や更には「無農薬」という価値観の人が化学調味料をジャバジャバ使う姿をとても不思議に感じました。
その不思議に感じる原因は、家庭菜園とは言え、農業をしている人が食卓に料理を運ぶまでに、隣の畑からキッチンで料理するまでに、思いが変化してしまっているように見えることです。
でも、よくよく考えてみると、思いは全く変化していなくて、実に人間クサい理由が潜んでいることに気がつきました。
農薬を使った農業というのは、一定の技術や知識や段取りなど、プロ的な仕事が必要だったりして、素人にはちょっと面倒くさかったりする一面があります。収穫量の安定化をそれほど求めなくて良い家庭菜園では、手間をかけてまで農薬を使うメリットがさほどない訳です。
逆に調理になると、オーガニックな調理の方がプロ的で手がかかるため、化学調味料に手が伸びるのではないでしょうか。
つまり、家庭菜園が無農薬である大きな理由の一つが「ハードルが低いから」というのが僕の見立てです。
その上、できる農作物は「安心安全」なので、広まるのは自然の成り行き。
ここで注釈入れておきたいのですが、無農薬農業もクオリティコントロールや収量の安定化を求めたり、規模を大きくしていくと非常に高いレベルの技術や知識を求められるので、あくまで家庭菜園に限った話です。
個人的には、理由がどうであれ「家庭菜園=無農薬」という流れができていることが非常に重要なポイントだと思っていて、そこを活かしたアクションが生まれると、どんどんと楽しくなっていきそうだと思っています。
自分自身が直ぐに着手する家庭菜園のプロジェクトはないので、気になる動きを2つほど。
すごく前にアメリカの星付きシェフが始めた取り組みとして、提携した家庭菜園で取れた無農薬の農作物をそのお店のフードクーポンと交換する、という取り組みが紹介されていました。
裏庭の野菜が高級料理に変わり、レストランの仕入れコストも下がるハッピーな仕組みながら、クオリティコントロールやデリバリー、農作物の偏りなど、様々な課題が挙げられていました。
レストラン名もプロジェクトの正式な名前も失念してしまって何とも。。
「みんなのうえん」というコミュニティ形成という観点で都市型シェア農園を運営するプロジェクトは、家庭菜園を仲間が集う場所として解釈・展開している点がとても魅力的で、近くにあったら参画したいところ。
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CONNECT TABLES 田村圭介
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