青果青箱1

農家の仕事の半分がパック詰めになる時期があることが異常だと思えない世界

5年ほど農業生産法人を経営していて驚いたことの一つが、農家には畑に出てない時間が多いということ。

スーパーなんかでキレイに整った状態で並んでいる農作物を見るだけで勘の良い方はピンとくると思いますが、収穫してから売り場に来るまでに沢山の手がかかっている訳です。
仕事はゴールを設定して組み立てられます。
売り場にキレイに整った状態で農作物を並べるためには、並べやすいようにサイズ毎に分けたり、包装の量を一定にしたり、包装方法を統一したり、土を落としたり、なんなら、売り場まで配達することが必要だったりします。

詰め合わせにして通販にしたらいいのかというと、そうでもなくて、収穫品数と収量とを考慮して内容を決めて、個別の配送先別に送り状を作成し、梱包する作業が増えるので、逆に手間が余計にかかってしまうことになりかねません。

農作物の収穫量には波があって、需要に合わせて作付けをすると、必ずオーバーフローする時期が出てきてしまい、捨てるのがもったいなくて、産直で投げ売りするのに日を跨いでパック詰め作業をしている方がいるという話も聞きました。

そこまでいかなくても、パッキングに追われてる時なんかには、「自分は土も触らずに何をやってるんだろう?」と思うことが自分にもありましたが、せっかく育てた農作物を食卓まで届けるためには、仕方がない手順でした。

パッキング作業を少しでも軽減できるように、僕たちは緩衝材を開発して特許も取得しました。他の農家さんも、絶えず改善策を考えては試していますが、決定的な方法は出ていません。
再度言いますが、流通の川下である売り場がキレイに整った状態で農作物を並べたいから。

量り売りなど、パッケージに拘らない販売方法にチャレンジする売り場も出てはいますが、日本では事業としてうまくいきません。
そもそも、大量出荷の場合、パック詰めすることで、ロスなく荷積みができるので、配送料の効率化につながっている点も無視できないのです。

そんな中、飲食店へ農作物を直接納入するサービスを提供する流通業者さんなどから、既存の規格を考え直す動きが生まれはじめていて、この流れから、川上である生産者と川下である売り場の関係性の改革に期待したいです。

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食卓を媒介に暮らしをもっと豊かに! 
CONNECT TABLES 田村圭介

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