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【読書メモ】嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか

落合監督の番記者を務めた鈴木忠平氏が、自身の膨大な取材結果から落合監督の実像に迫る一冊。

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた落合監督。

秘密主義を貫いたマスコミ対応、日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配…。賛否を生んだ異端の名将の実像を描いた一冊です。

「強いチームではなく、勝てるチームを作る」。そのために大事なことを教えてくれるビジネスマン必読書。

【おススメの読者】

  • プレーヤーからマネージャーに昇格して、マネジメントで悩んでいる方

  • 「仲良しチームから勝てるチーム」に変えるために、何が必要かを知りたい方

  • 選手、監督として超一流だった落合博満のことを知りたい方

【本書の概要】

2021年に出版された480ページ程度の書籍です。

著者の鈴木忠平氏は、落合監督時代の中日ドラゴンズの番記者を努めた人物です。落合監督と川崎憲次郎、福留孝介、宇野勝など12人の選手・裏方とのエピソードを交えて作られた大作です。

現場にいたからこそ描ける迫力、時間を忘れるぐらい続きを読みたくなる文章力に感服します。

本書を読むと「当たり前のことを言った落合監督がなぜ批判されるのか」「世論は簡単に変わるもの定期ある」ことを痛感させられます。

それまで聖域とされていた立浪和義の衰えを察知し、森野将彦に変えたときのエピソード、日本シリーズで完全試合直前の山井大介を降板させるエピソードなどには感動を覚えます。

【本書の「なるほど!」ポイント】

自分への備忘録として、本書を要約しています(原文ママではありません。興味がある方は購入をお勧めします)

<なるほどポイント>

  • 選手ってのはな、お前らが思ってるより敏感なんだ。あいつらは生活かけて、人生かけて競争してるんだ。その途中で俺が何か言ったら、邪魔をすることになる。あいつらはあいつらで決着をつけるんだよ

  • ここから毎日バッターを見ててみな。同じ場所から、同じ人間を見るんだ。それを毎日続けてはじめて、昨日と今日、そのバッターがどう違うのか、わかるはずだ。そうしたら、俺に話なんか訊かなくても記事が書けるじゃねえか

  • お前はもっと数字を残せる。一流ってのはな、シンプルなんだ

  • お前がテストで答案用紙に答えを書くだろう? もし、それが間違っていたとしても、正解だと思うから書くんだろう? それと同じだ! そんな話、聞きたくない!(藤川とウッズの対戦で、藤川が11球連続ストレートを投げたことにして、フォークを投げれば抑えられたのでは?の質問に対して)

  • 切り替えることはないよ。悔しさも怖さも、忘れることなく、次のマウンドまでずっと引きずっていく。そうやって引きずって引きずって初めて、次のマウンドに立った瞬間に開き直れる

  • そのシーズンに頑張った選手だからって続投させた。いつもと同じように戦いたいとか、ずっと働いてきた選手を使いたいとか、そういう考えが捨てきれなかったんだ。でもな、負けてわかったよ。それまでどれだけ尽くしてきた選手でも、ある意味で切り捨てる非情さが必要だったんだ

  • 監督っていうのは、選手もスタッフもその家族も、全員が乗っている船を目指す港に到着させなけりゃならないんだ。誰か一人のために、その船を沈めるわけにはいかないんだに

  • そもそも、万人に認めてもらおうなんて思ってないよ

  • なんで、みんな若いやつを使え、使えって言うんだろうな?与えられた選手ってのは弱いんだよ。何かにぶつかれば、すぐ潰れる。ポジションってのは自分でつかみ取るもんだ。不公平じゃないか。若いだけで使ってもらえるのか?ベテランにだって生活権はあるんだぜ

  • たとえば、君の前に沢村という男がいたとする。君が記者なら、彼はあの沢村栄治の知られざる末裔ではないか?とまず疑わなきゃだめだ。そんなことはあり得ないと決めつける奴にニュースは取れない。スクープをものにできるのは疑い深い奴だけなんだ

  • あれを見てみろ。あんなことをしていたら、打てるわけがないというのがよくわかるだろ?でも、今のあいつらにそれを言ったところで理解できないんだ。物事には言えばわかる段階と、言ってもわからない段階があるんだ

  • よくファンのために野球をやるっていう選手がいるだろう?あれは建前だ。自分がクビになりそうだったら、そんなこと言えるか?みんな突きつめれば自分のために、家族のために野球をやってるんだ。そうやって必死になって戦って勝つ姿を、お客さんは喜ぶんだ。俺は建前は言わない。建前を言うのは政治家に任せておけばいいんだ

  • 心は技術で補える。心が弱いのは、技術が足りないからだ。落合が求めたのは日によって浮き沈みする感情的なプレーではなく、闘志や気迫という曖昧なものでもなく、いつどんな状況でも揺るがない技術だった。心を理由に、その追求から逃げることを許さなかった

  • どんなことがあっても頭から飛び込むな。レギュラーっていうのはな、一年間すべての試合に出なくちゃならないんだ。もし飛び込んで怪我したら、お前責任取れるか?勝敗の責任は俺が取る。お前たちは、自分の給料の責任を取るんだ

  • 俺は、たまにとんでもなく大きな仕事をする選手より、こっちが想定した範囲のことを毎日できる選手を使う。それがレギュラーってもんだろう

  • 不思議なもんだよな。これまで批判されてきた俺が…俺は何も変わっちゃいないっていうのに、今度は褒められるのかよ

【終わりに 】

この本を読んだときに感じたのは「上に立つ者は確率をもとに、非情な采配を振ることに臆してはいけない」ということでした。

これまでの采配から「投げさせてあげたい」と判断を鈍らせ、結果としてチームが負ける。その気持ちは、マスコミやファンには共感できても、選手の年俸を下げてしまう。自分の経験をもとに、勝てるチームを創り上げていった考え方は非常に勉強になります。

また、定点観測することで、選手の衰えを察知することで、リスクを予知・回避していくことの重要性も勉強になります。

今後の人生・仕事において、以下を意識して実践しようと思います。

・気持ち、やる気ではなく「確かな技術」をもとに、人を判断する
・定点観測で物事の変化を見逃さない。世の中は、少しずつであるが、変化するものと認識する
・相手にとって辛いことでも、全体の成功を意識して説明する、代替する

 本記事では、鈴木忠平氏の【嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか】を取り上げました。

このnoteでは、若手ビジネスマンのスキルアップに関する情報を定期的に発信していきます。

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