虫眼鏡
抜け殻のように目が渇き
這って穴倉を抜け出した
袖の大鋸屑を払って
河原を照らす青空に掌を翳した
幼い頃の半ズボン姿の私は
裾を濡らしながら中洲に上陸した
空に染みつく真っ赤な夜の兆しが
そんな冒険の意欲を剥ぎ取る頃に
ついに謎に塗れた獣の骨を発見した
やるせないほどの嗄れ声で
古い手紙を読んでみた
文字の上に翳した虫眼鏡の隅に
噛み砕かれた虹のような
悲しみに頷く私の顔が映っていた
その背後には
あの時の青空が広がっていたので
磁石を寄せて雲を集めようとしたら
青空がさらに集まった
ついに私も溶け込んだ