山〇パン工場日雇い夜勤バイトから考えるワークエンゲージメント
社会人となり、様々な経験を経て管理職になった現在「どうすればエンゲージメントサーベイの数値は良くなるのか?」という具体的な話に頭を悩ませている方も多いのではないか。よくある形は、3要素(活力、熱意、没頭)の度合いをアンケート形式で測っていくものであり、その数値結果が管理職の評価の一部になるところも多い。その為、かなり真剣に考えなければならないテーマではあるが、切り口が多いだけに色々悩みは尽きない。そんな管理職の方々に一つ伺ってみたいのだが、「山〇パン工場日雇い夜勤バイト(以下山パン日雇い夜勤バイト)」を経験した事はあるだろうか。
山パン日雇い夜勤バイトとは、
◆18:00~翌5:00
時給1,100円(4時間)
時給1,375円(4時間)※深夜手当込み
時給1,650円(2時間)※深夜手当、残業手当込み
⇒日収MAX14,000円!!
※交通費込み
の様な条件であり、即金で1万数千円の報酬が手渡しで支給される。金欠の学生にはとてもありがたいバイトである。しかし、その分「きつい」のである。グーグルで「山パン 日雇い 夜勤」と検索してみると、間髪入れずに想定キーワードに「きつい」と出てくる。
問題は、なぜ「きつい」か、これを考えていくとワークエンゲージメント向上へのヒントとなるかもしれない。ワークエンゲージメントの1つの要素にモチベーション(動機づけ)があり、そのモチベーションは外発的動機付けと内発的動機付けに分かれる。
心理学の考え方で、動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあるとされている。外発的動機付けは行動の要因が評価・賞罰・強制などの人為的な刺激によるものであるという考え方に対し、内発的動機づけは行動要因が内面に湧き起こった興味・関心や意欲によるものであるという考え方である。
リクルートマネジメントソリューションズウェブサイトより
山パン日雇い夜勤バイトをなぜやるか?と問われれば、「お金の為」と回答する方が大多数を占めると思われる(「面白くて仕方がない」「やりがいがある」と回答される方はごく少数であると思うが、経験者の皆様は如何であろうか)。この「お金の為」が外発的動機付けにあたり、一般的に山パン日雇い夜勤バイトは外発的動機付けに振り切った仕事と言って良い(と思われる)。
では、この外発的動機づけに振り切れている山パン日雇い夜勤バイトの内発的動機付けを高める方法を考える事で、部下のモチベーション、そしてワークエンゲージメントを高めるヒントになるのではないか。
考え方の1つとして、職務特性理論がある。これは
① 多様な能力が求められる仕事
② 任された仕事がある程度自己完結している仕事
③ 全体にとって重要である仕事
④ 自立性のある仕事
⑤ フィードバックが得られる仕事
以上5つの職務特性のうち、①~③があると「あ~やってて意味あるな~」と感じる事ができ、④がある仕事は「ちゃんとやらなきゃな」と感じる事ができ、⑤がある仕事は「そういうことか!」と結果に対する納得が感じられる。これら3つが相乗的に感じられることが、内発的動機付けを高めるとされているのが、職務特性理論である。
話を山パン日雇い夜勤バイトに戻そう。職務特性理論から確認してみると、山パン日雇い夜勤バイトは、メロンパンをAレーンからBレーンに移動させるだけの作業を10時間やる、バナナをむいて謎の液体に入れるだけの作業を10時間やる等、基本的に多様な能力は求められない。従って
① ×
② 〇(細分化された作業は自己完結している)
③ ×
④ ×
⑤ △(不良があれば後工程から文句がくる)
であり、「やってて意味あるな~」「ちゃんとやらなきゃな」「そういうことか!」は極めて低い状態であると言えそうである。
では、現在の皆様の部下の仕事はどの様な状況であろうか?
① は、あれもこれも、色々求められているであろうか?
② は、全体が見え、自己完結しているであろうか?
③ は、全体にとっての重要性が感じられる仕事であろうか?③についてはこんな話が有名である。
④ はある程度自分の裁量でやれることが多いという事だが、どう感じているだろうか?
⑤ は1on1とか人事評価とか、一緒に出張に行った時とか、良かった時とか、失敗した時にちゃんと本人に伝えているだろうか?
この①~⑤は「本人の成長意欲」次第という側面もあるが、考え方のフレームとして持っていても良いかもしれない。
さて、山パン日雇い夜勤バイトを楽しくて仕方がない仕事に代える方法を考える事としよう。
カトキチ@人材・組織開発コンサルタント