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社会保険労務士の市場価値と労働市場

社会保険労務士(以下社労士)は8士業と言われる専門職の内の1つであり、 その名の通り社会保険と労務に関する独占業務を持つ士業である。具体的には手続き代行業務( 1 号業務)、労働社会保険諸法に基づく帳簿書類の作成業務( 2 号業務)がその独占業務に当たる。

また、社労士には企業に勤務するタイプの方(以下勤務型)と 独立するタイプの方(以下独立型)がおり、男性の平均年収は512 万円(※¹ )であり、女性の平均年収は 434 万円である。 大学・大学院卒の男性の平均年収が 400 万円(※¹ )であり、女性の平均年収が 296万円であることと 比較すると、 110~ 140 万円程 高い 。

しかし、業務という点に目を向けてみると、平均年収を引き上げている方々はいわゆる社労士業務だけをやっている方は殆どおらず、マネジメントや他の資格の業務(公認 会計士等)を担っている方が目立つ。つまり、社労士自体の市場価値がそれ以外の方よりも高いと言い切れる程明確なデータは無い 。

そこで、ある社会保険労務士事務所に勤務する社労士ホルダー5 名に市場価値についてのインタビューを行った。その結果、主に2つの危機感を持っている事が分かった。
まず 1 つ目は「社労士業務自体の付加価値の低さ」である。 1、2号業務だけをやっていては付加価値が出ず (他の社労士等と仕事の差別化ができない為、報酬も上がらない状態)、3号業務(コンサルティング業務)や他の業務でいかに差別化できるかが勝負であるという意見を 5 名全員から聞くことができた。

2 つ目は社労士というステレオタイプが、年収相場を固定化してしまうということである。転職をする際は、社労士を前提としたポストが中心になってしまう為、相場が固定化しやすいと言う。その為、転職の際は資格を隠して活動したという方も見られた。
因みに 、 本コンテンツ作成時のリクナビネクストに掲載されている企業を見ると 、社労士資格が必須資格で挙げられているケースは少なく、あくまで「付加的な扱い」であることが確認できた 。

上記より、社労士ホルダーの市場からのニーズは高いものの、 社労士の独占業務自体の難易度が低く、 外部プレイヤーも多く存在する為、それだけでは 市場価値が上がらない という実態を確認することができた。


カトキチ@人材・組織開発コンサルタント


※¹:令和元年賃金構造基本統計調査

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