【イケてる企業のC.I.(コーポレートアイデンティティ)を切る!】◆第25回:株式会社 天神愛眼
福岡県民なら、誰もが歌える「あいら~ぶ らぶ あいが~ん♪」のご当地CMで知られる愛すべき会社があります。
第25回は、福岡市の中心地 天神のシンボル的存在である「瞳のデパート」の愛称で知られる天神愛眼ビルを経営する「株式会社 天神愛眼」です。
「天神愛眼」は、明治12年(1879年)に創業(設立1967年)し、約140年の歴史がある福岡を代表する「メガネ、コンタクト、補聴器、装飾品の卸・小売業」を営む老舗企業です。
「天神愛眼」は、全国のメガネチェーンの中では、決して大きくはありませんが、"凄い武器"を持っています。
それは「世界で唯一 福岡の天神愛眼ビル」のみで販売している「夢のレンズ」です。
「夢のレンズ」は、メーカーと共同開発し、完成までに"10年以上"の年月を掛けて開発されています。
顧客一人ひとりの眼に合わせて、一から作り上げる「完全フルオーダーメイド」のレンズです。
凄いのは「夢のレンズ」を求めて福岡県内は、勿論 県外はもとより、海外からも来店されています。
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実は、私も「天神愛眼さん」と「夢のレンズ」のヘビー愛用者です。もう30年ぐらい お付き合いさせて頂いています。
東京 大阪で勤めていた時も、福岡に戻って お店に行っていました。
私が好きな所は、眼科医(検査など含め)がしっかりされている点です。私は、「緑内障」に掛かってしまい片目は見えていないのですが、最初に「緑内障」を見付けてくれたのも天神愛眼内の眼科医でした。
それから 店員の方々が、ベテランさんが多く話が早い所です。
アフターケアと、顧客データ管理もしっかりされていて、いつ行っても直ぐ対応して頂いています。
愛眼ビル1階で、自分が使ってる数本の「メガネ」を持って月一回 美味しいお茶を飲みに「メンテナンス」に行っています。
ありがとうございます。
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ここで、歴史を少し振り返ります。
元々「天神愛眼」は、1879年(明治12年)に、福岡県の南部 夜須郡甘木町(後の甘木市。現在 朝倉市)で創業されました。
そして 1967年(昭和42年)に法人化し「天神愛眼グループ」を設立しています。
創業100周年を迎えた1979年に、黄色いビルの「天神愛眼ビル」(初代)が現在の地に竣工。1996年頃に現在の「天神愛眼ビル」(2代目)が完成していす。
初代のビルの屋上に出されていた看板には「福岡愛眼」となっていました。
これまで 全国にある「愛眼」と「天神愛眼」は恥ずかしいながら同じだと思っていましたが…
今回 色々 調べて違いが分かりました。
実は、大阪市にある「メガネの愛眼」(愛眼株式会社)とは、資本も人的関係も全くありませんが、過去に遡れば、色々と合ったようです。
お互い「愛眼」という商号を使用するに当たり「商標登録」を争う訴訟問題になり、裁判までされています。
しかし そこは大人の対応で 和解され、今は「愛眼」と「天神愛眼」で合意されています。ちょっと 紛らわしいのですが、福岡県民は「天神愛眼」で行きましょう!
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ここで メガネ業界に於ける売上高 及び シェアのランキングを記載します。メガネ業界全体の市場規模は、年々縮小して現在では、約3.500億円になっています。
【メガネ業界 売上高&シェア ランキング】(2018年-2019年)
(企業名/ブランド名/売上高/シェア)
◆1.ジンズ /「JINS」/548億円/37.3%
◆2.三城HD /「パリミキ」「メガネの三城」/496億円/33.7%
◆3.ビジョナリーHD /「メガネスーパー」/264億円/18.0%
◆4.愛眼 /「メガネの愛眼」/162億円/11.0%
◆天神愛眼/「天神愛眼」/14億5875万円/従業員数 43名
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では、「天神愛眼」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。
【企業理念/CORPORATE VISION】
「お客様を幸せにすること」
私たち天神愛眼グループは、皆さまのおかげで、
今年で創業140年になる老舗企業です。
創業時は時計、カメラ、宝飾品など幅広い事業を展開しておりましたが、現在は、メガネ・コンタクト・補聴器を主軸とし、事業を展開しています。
あらゆる事業を展開して来ましたが、今も昔も変わらず根底にあるのが、お客様の幸せのためにできることを実行するという理念です。
私たちにできること、私たちにしかできないことを正直に、日々コツコツと積み上げていくことが私たちの仕事であり、使命であると同時に、明るく元気で素直にお客様と接することが大事だと考えています。
「理念」
◆奉仕の精神
◆謙虚な心
◆感謝の気持ち
「ミッション」
お客様の視、聴生活を最上のものにし、お客様の人生、生活を豊かで、幸福にすることを目的とすると同時に、全従業員の物心両面の幸福を追求する。
「ビジョン」
お客様にとって最高のサービス、満足、感動を提供する店
「クオリティ基準」
◆1.安全:お客様の安全、安心
◆2.誠実:思いやり、奉仕、素直、王道
◆3.喜び:新しい体験、経験、成長、感動
◆4.効率:時間短縮、業務の効率化、費用対効果
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【存続&成長の理由分析】
「天神愛眼さん」が存続、そして 成長されてきた理由は仮説ですが、一言でいうと…
「博多商人魂」を全面に打ち出されて来たからではないでしょうか。それは 大きく2つです。
1つ目は「博多」に徹底的に根付いた戦略です。
あのベタですが、福岡県民なら誰もが知るTV-CMを、ずっと変えずに続けてきた勇気。私が若い時は「ダサいな~!」と思っていましたが、歳を重ねた今の私から見ると、ここまで続けられて、県民に根付かせた力に、敬服すると伴に、ある意味「カッコよさ」を感じます。担当された広告代理店さん(多分 西鉄エージェンシーさんではなかったでしょうか?)お疲れさまです。
2つ目は、上記した「メガネ業界の売上高ランキング」を見ても分かるように「天神愛眼さん」は、全国的に見ると決して大きくはありませんが、いや寧ろ 小さい方だと思います。
しかし 小さいながらの戦い方が「カッコいい」です。
ターゲットを中高年以上に絞った世界で「天神愛眼」にしか売っていない遠近両用の「夢のレンズ」を武器に少ない社員数で、果敢に大手に戦いを挑んいる姿勢に「博多商人魂」を感じます。
「安いモノを安く売るのではなく、高いモノを安く売る」の姿勢です。
それから「緒方 憲専務(当時)」のインタビュー映像を拝見したのですが、存続の理由が、先代を立てて、自分が社長になっても自分の会社と思わず、先代が亡くなって初めて「自分の会社」になると言われていました。若い時は、中々 理解できませんでしたが、本当だなっと。この姿勢だから約140年も続くのだと感じました。
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◎C.I.については、シンプルですが「メガネ」を通して「お客さまの生活を幸せにする」の姿勢を「幹」に整理、構成されていて素晴らしいです。接客マニュアルも しっかりされているのだろうと想像しています。
C.I.は一般的な形のモノで構成されています。
◆ミッション→◆経営理念→◆ビジョン→◆バリューで纏められています。
●しかし C.I.について一言いわせて頂くと…
戦略が入っていないように感じています。今後の「出店計画」にもよりますが、「福岡」に拘り、「世界」を目指されるのであれば「グローカル」と「グローバル」などの"言葉"を「C.I.」の中に入れられる事をお勧めします。
そして一部 コンカンが考えるC.I.と違いがありましたので、
下記と照らし合わせて頂けると、ありがたいです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://note.com/concan/n/na4fd2dde30db
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それでは、話を存続、成長の理由に戻します。
詳細を「3つ」に纏めました。
■1.「世界で唯一の夢のレンズを開発・販売している点!」
*「メガネ」の疲れは、目と脳の関係にあります。
先ず「メガネ」に使われているレンズの話から。
◆一番最初に使われたレンズが「球面レンズ」。
これは、直径1㎝の所だけが、はっきり見え、他の部分は歪んで見えます。
◆次に使われたのが「非球面レンズ」(薄型レンズ)
これは、直径1㎝の周りの部分も歪んで見えませんが、一番外側の部分は歪んで見えます。
◆次に使われたのが「両面非球面レンズ」
これは、ガラスの向こうを裸眼で見ているのと同じ見え方ができます。ただし これは技術も高くコストも高いです。
次に「脳と肩こりのメカニズム」について。
人間の"脳"は、凄い働きをします。
例えば、真っ直ぐ伸びた「天神にあるビル」をレンズの歪みを通して見たとします。
すると、そのビルは真っ直ぐなのに歪んで見えます。
しかし "脳"はビルが真っ直ぐな事を理解しているので、勝手に判断して、歪みを修正して真っ直ぐに見せます。
すると、"脳"に負担が掛かり、レンズを付けた人は裸眼の人より、酸素と栄養を使います。
その為 "脳"はこんな命令を出します。"脳"に一番近い「肩にある動脈」に対し、活発に動き(ポップアップ)、血液を送るように。この動脈の振動が疲れになるのです。これが肩こりの原因です。何もしないのに疲れるとか、メガネを掛けてる人の「偏頭痛」の主な原因がこれです。「目の疲れ="脳"の疲れ」なのです。
次に、視力目線で人間の生活に支障をきたさない距離は「1.5メートル」と言われています。
しかし メガネを作る時の「視力検査」は「5メートル」で行います。「メガネ」は5メートルで合わせた焦点で、1.5メートルを見るので疲れるはずです。
この両方の距離を見えるようにした遠近両用のレンズが
「夢のレンズ」です。夢のレンズを使うと「肩こり」が少なくなると言われています。
「天神愛眼グループ」は、顧客の声を元に「夢のレンズ」を進化させています。
本当に良いモノを一度手にすると、それ以外の物は使えない。
こういう経験をした人は多いと思います。
「メガネ」のレンズでも同じことが言えます。
世界で唯一、天神愛眼ビルでしか手に入らない「夢のレンズ」は、まさに珠玉のレンズとして、多くの人を魅了しています。
このレンズの大きな特徴は、特殊な技術で「視界の歪み」を無くすことで、遠近の境界や視線を動かした際の揺れの見え方の違和感を解消したことです。
「まるで自分の目と一体化しているような自然な感覚でモノを見ることができる」と思います。
この高い機能性は勿論、豊富な知識を持つ社員さんが顧客と向き合い、目に関する多くの緻密なデータ解析と、入念な打合せを経て作り上げる精巧な「オリジナルレンズ」です。
だから、リピーターだけでなく、「本物の価値」を求めて、日本各地や、フランス、アメリカ、中国、韓国から遥々飛行機で、「夢のレンズ」を購入する為に来店しています。
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■2.「顧客との信頼関係を築き、財産にしている点!」
*顧客との信頼で築き上げた「約140年」。
今や天神愛眼ビルのシンボル商品とも言える
遠近両用「夢のレンズ」。
ストレスなく見えるその優れた機能性は、2007年の発売当初から、話題になり、今や国内だけでなく海外にも多くのファンを持っています。
世界各国から寄せられる「愛用者の体験談」も増え続け、口コミや、愛用者からの紹介が増えています。
最近では、家族や友人、職場の同僚などに加え、同業他店からの勧めで来店する顧客もいるそうです。
顧客は「夢のレンズに期待して、信頼して購入しています。
この「挑戦する姿勢」や「価値観」を全社員さんが共有することで、「天神愛眼自体」のモチベーションを高めています。
結果 技術の研鑽や、ホスピタリティの向上に繋がっていると思います。
また 毎年10月には、買い替えなどで使われなくなった眼鏡に感謝する「メガネ感謝祭」が開催されています。
顧客から、毎回 約5.000本の眼鏡が寄せられ、神事後(天神愛眼ビルの裏には、眼鏡地蔵がある)は、点検・修理し「タイ」などの東南アジアに寄贈されています。
4半世紀に渡りこのボランティア活動が継続できているのも、単にモノを売るだけの繋がりでは築けない、顧客との"深い絆"があるからだと感じています。
また 顧客視点に立った販売体制で「夢のレンズ」の更なる普及を目指されています。
そして コンタクトレンズや補聴器も、他店を圧倒する豊富な品揃えと、きめ細かなサービスを強みに、売り上げは堅調に伸ばされています。
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■3.「福岡で、知らない人はいないご当地CM(広告)の力!」
*福岡県民なら誰もが歌える「天神愛眼」の有名なご当地CMソング!「目っと眼鏡っとコンタクト~♪天神愛眼めーがーねービルー♪」
みなさん、もう耳にタコが出来るほど、体に染み付いていると思います。いつまでも耳に残る「CMソング!」です。
実は「天神愛眼」は東京の新宿には店舗がないのですが、JR新宿駅、東口から歌舞伎町方面に歩くと、設置されている「地上6m×幅30mの"天神愛眼"の巨大広告看板」があります。
そうです、"天神愛眼"の広告塔となっている「眼鏡ファミリー」が、にっこり微笑むあの看板が新宿にあるのです。
新宿には、「天神愛眼」の店舗は無いのですが。
東京に住む「福岡県人」が、この看板の前を通る時に、何故か この「CMソング」を歌ってしまうそうです。
そして 福岡県人の中には、この看板の前を通るたびに
「福岡に帰りたい・・・」と思っている人も多いと聞きます。
これだけ「福岡県人」に影響を与えている「ご当地CM」であり、「企業」だと言うことです。
話は変わりますが…
「日清食品」は今年の1月1日に、全国のご当地CMとコラボした「カップヌードル」の新CM「地元から沸かせ! 篇」を公開しています。
福岡編は、福岡県民なら誰もが知っている この「天神愛眼」のCMを再現しています。
テニスの「大坂なおみ選手」と「錦織圭選手」、NBAウィザーズの「八村塁選手」が登場しています。
何故、日清食品は、ご当地CMとコラボしたのか、それは 東京オリンピックイヤーの2020年は「アツくなっているのは東京だけではないか?」と疑問を投げかけているからです。
各地で愛されている地元企業とのコラボCMによって、各地域から、2020年を沸かしたいと、北海道から九州・沖縄まで 計32本を制作しています。
ウェブ調査やヒアリングを行って、地元での知名度が高いCMと、協力してくれる企業を探したそうです。
そして 福岡編で選ばれたのが「天神愛眼」CMです。
3人の選手の写真を使って完全に再現しています。
「勝利を求めて特訓を~、重ねております有名な選手~♪」と軽快なテンポで進行します。
日清食品は「天神愛眼グループ」のCMを選んだ理由を「福岡県民」の間で、非常に有名な地域限定CMであり、地元の人たちが話題にし易いことから選んだと言われています。
本当に凄い話だと思います。
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◎と言うことで…
「天神愛眼さん」が、存続・成長し続けている理由は、伝統を守りながら 少数精鋭で、まるでベンチャー企業のような「独自」の戦い方を続けているからだと思います。
「天神愛眼さん」は、他社が行っているフレームとレンズの「セット販売」はせず、良いモノを安く提供すると言う信念で事業を行われています。
「緒方 裕三郎社長」曰わく 会社の目的・存在意義は、お客さま、社会に「信用され」、「信頼され」、「必要とされ」そして「貢献できる」人を育てることであると言われています。
一人一人が人生の目的を持ち、その目的を実現する為に一生懸命に努力をすることで、充実した幸福な人生を送ることが出来ると説かれています。そういう生き方、仕事をする事が、お客さまへの最高のサービス、満足、感動の提供に繋がるという考えを持ち経営されています。
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◎最後に、メガネ業界の現状と未来について書いて終わります。
【メガネ業界の現状と未来!】
「メガネ業界」はコンタクトレンズや視力矯正手術の浸透で縮小傾向にありましたが、「JINS」などに見られた「新たな付加価値」や「ファッション性」を打ち出すなど、様々な戦略を打ち出し、業績が回復傾向にあります。
近年、この縮小傾向に歯止めをかけたのが「アイウェア」と呼ばれるジャンルです。アイウェアは、低価格でトレンドを反映するファッション性の高いメガネで、メガネを取り入れたファッションが若年層を中心に流行したのを機に、幅広い世代に対応したファッショナブルなメガネが登場し、アイウェアが一躍 人気となりました。
また、ブルーライトや紫外線をカットする機能性の高いメガネなど、新商品のヒットと共にメガネ業界は盛り返してきています。
企業側も「SPA方式」と呼ばれる「製造から小売りまでを一括して同じ企業が担う」システムを採用し、低価格帯での販売に成功し、メガネ業界の改革へと繋がっています。
今後は、国内では少子化や人口減少が、益々 進み 消費者が少なくなる為、国内外に於ける「集客」や「販路開拓」、「新製品の企画」や「販売方法」などへの的確な戦略が必要になります。
国内のメガネ市場が縮小する中、消費者のニーズをいかに捉えるか、「新たな付加価値をいかに提案するか」、「いかに発掘するか」が今後のメガネ業界の課題だと思います。
しかし 最大の課題と言うか、チャンスになる事象があります。
10年後には、必ずやってくる「ウェアラブル時代」。
コンピューターとメガネが一体化した「スマートグラス」を全員が持つ時代が来ます。過去 テレビの録画機材が「VHS」が「DVD」に変わた時のように。
目が悪いとかの問題ではなく全員が持つのです。
これを危機と捉えるか、チャンスと捉えるかは、その企業次第だと思います。
IT技術を持った企業と提携するなり、社内にIT開発の部署を作るなど対策と対応が必要になると思います。
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