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オズの魔法使いと、リーダー論と。

9月の中学年こどもMTGは、「オズの魔法使い」の読書会を行いました。


かかしは脳(知性)、ブリキの木こりは心臓 (ハート) 、臆病なライオンは勇気がそれぞれ欲しい。ドロシーはカンザス(家)に帰りたい。
その希望を叶えてもらうために、エメラルドの国のオズに会いにいく冒険の物語。
1900年に書かれたこのファンタジーの世界に、まずはこどもたちから、たくさんのツッコミが入りました。

「これってなんだか変だよね。」と子どもたちの中に、たくさんの疑問を生み出す余白ある物語のおかげで、こどもたちの感情がきちんと物語の世界に入り込み、その背景を想像力豊かに推理しながらたのしむことができました。

一年前まで、「科学の本などは読むけれど、物語は一切読まない。」というこどもたちの集まりだったCo-musubiですが、Co-musubiのBook ProjectやReading Programなどを通じ、いつの間にか物語を読み切るだけでなく( 読み聞かせもOK。頑張って読めたところまででも参加できるよ、のスタンス。 )  きちんとその世界に入り楽しめるようになりました。

その後、物語を追いながら対話をしました。
かかしは脳(知性)、ブリキの木こりは心臓 (ハート) 、臆病なライオンは勇気がそれぞれほしい。ドロシーはカンザス(家)に帰りたい。
それらはオズにもらうことができたのか?
いやいや、彼らは本当は最初からそれらを持っていた、という子どもたち。

では、彼らは最初から持っていたことになぜ気が付かなかったのかな?と問いかけると、
自分に自信を持てなかったからじゃないかな。」
と核心を突く意見が。

また、ブリキの木こりが「心があれば、それに従ってさえいれば間違ったことをしなくて済むけれど、心がない自分は気をつけなければならないのに虫を踏み潰してしまったと泣くシーン」について。
(写真参照)

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ある小学4年生の男の子の解釈が、

「自分の心に従うことができないと、どんな小さな虫でも踏んでしまったら涙が出てしまって、口とかが錆びてしまって自分が困る。
心があればそれに従い、小さな虫ならちょっとくらい踏んでもいいと思えて泣かずに済むから、錆びる心配もないし自分が幸せになれる。」

というもので、表面的な最適解を思わず探してしまう大人にはなかなかない発想の解釈に唸りました。

答えの決まっている国語では、間違いを恐れて、このような別の角度から捉えた鋭い感想をこどもたちが話してくれることは殆ど無いかもしれませんが、Co-musubiには正解も不正解もないので、今の自分の感覚や感性から生じる考えを素直に伝えてくれます。

今回はまとめとして、オズの魔法使いの主要な4人の登場人物は、元々持っていた知性、心、勇気について、彼らは冒険をすることで自信をつけ、オズに会った時にはもう自分たちがそれを手にしていることに気づけたね。こたえは自分が最初から持っていた
みんなも、大事な何かは、自分以外の他者が持っている、だから貰おう。と考えるのではなく、「怖い」「面倒」だという気持ちに打ち勝って自分の足で一歩を踏み出し冒険してみると、自分の中にあるこたえに気づけるね。と、その日のこどもMTGは終了しました。

その後も、80年前に制作したオズの魔法使いの映画を家族で観て、そのクリエイティブさに衝撃を受けたご家族同士でコミュニティが盛り上がりました。

その映画を見た感想を小3の女の子に聞いたところ、
「本の中での好きな場面が、映画では省略されていたのが残念だった。」
と教えてくれました。
「読書っていいよね。」と返したところ、大きくうなずいてくれました。

それまで長編を好まなかった彼女は、このオズの魔法使いを機に長い物語の楽しみをおぼえ、以前は敬遠していた「どろぼうどろぼん」を親子で読んでいるそう。
「すごく面白いし素敵なので、一緒に泣いたり笑ったりしてます。今夜あたりクライマックス!」
とお母さんからリアルタイムで報告があり、コミュニティ内にその優しさと嬉しさが共有されました。

さて今回のMTGで、とても印象的なできごとがありました。

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ある男の子が「オズの魔法使い」を何度も読み返し、自分の考えを書き出したメモを共有してくれました。自分の頭の中に溢れてくるたくさんの考えを急いで書き留めた長いメモが何枚も。

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こちらのメモには、
「試練が必要だった。自分を信じられないと力を発揮できない。自分を信じると力を発揮できる。ドロシーは最後に幸せを手に入れた。自分が安心していられる場所にいたかった。みんなといるより、自分を好きかもしれない人のところに戻りたかった」との記述が。

カカシは知性、ブリキの木こりは心、ライオンは勇気を手に入れた。ドロシーも絶対何かを手に入れたはずなんだけれど、なんだろう。という父と息子の会話から、「ドロシーはきっと、『幸せ』を手に入れたんだ。」と、気づき書き留めた様子。

一方、彼はこれほどたくさんのことを考えていたにもかかわらず、今回のMTGでは発言がいつもより控えめでした。

どうしたのかな?と思い後で聞いてみたところ、その理由が予想を越える驚きのものだったのでご紹介します。

今回彼は、「今日はみんなの意見を聴きたい。」と言って参加したそう。

その理由は、狼のリーダーは群れの最後尾から全体を見渡して、誰が何をしているか見守るらしいと知ったので、それをやってみようと思ったから。

試してみた結果、今回のミーティングでは、いつもと違ってみんなのいろいろなところが見えて面白かったし、( 自分が一歩引いている分 ) 他の人もどんどん意見を出せてよかった、と感じたのだそう。

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狼のリーダーの位置に関しては、ネット記事の誤報だったようですが、自然界のリーダーのあり方を真似て自分も試してみる、というその発想がとても素晴らしく驚きました。

「学ぶ」と「真似る」は同じ語源だそうですが、こどもたちに十分な余白があり知識への興味がきちんと芽吹いていれば、真似ることで学んでいくという学ぶの原点に子どもたちは自分でしっかりと立ち骨太の学びへ歩みを進めるのだ、と改めて感じました。

そしてCo-musubiの場が、こどもたちが試してみようと思った時に、「いつもと違うことをやったら叱られるかな。」と躊躇することなく、いつでもチャレンジすることのできる場になっているということに嬉しさを感じました。

これからも彼には、様々な動物のリーダーのあり方を知り、そしてどんどん試してみて、今の自分にはどのリーダーのあり方が合っているのか、どんな場合にはどのようなリーダーのあり方が適切なのか。
自分自身をよく知るために、チャレンジし続けてほしいな、と思います。




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