「メンバーnote 」 スパークが起きるには、自分ごとと仲間が大事
Co-musubiのプログラムは、子どもたちに色々なことを考えてもらうこと、それも「自分のこと」「自分がメンバーである世界のこと」としてとらえてもらうことを目指して組み立てられています。
だからこそ、時として「そことそこが繋がってこう来たか!」というスパークが起きる。
Co-musubiではそんな現象がよく起こっています。
それはインストールされた知識を再生するのとは少し違う輝きがあります。
2月前半のCo-musubiおはなし会では、主宰の井上さんのファシリテートで「養分」について取り上げていただきました。
一週目のお話会で栄養ってなんだろう?を話し合いながら知識を広くインプット。
孵化直後のメダカはどう栄養を摂るのかな?
植物は栄養をどこでどうつくるのか?どこから吸収するのかな?土の中にいるお手伝いさんは誰だろう?空気中や地中のどんな化合物や元素が関係するのかな?
初めて聞いた言葉は辞書を引いたり、知らないことは仮説を立て自分の考えを堂々と発言しあいます。
翌週までの間に各自で本などで栄養博士を目指してね、というミッションが。
迎えた二週目のお話会では復習を兼ねて、養分について、植物が育つ仕組みについて、井上さんにぐいぐいと促され、子どもたちがまた仮説を出しながら考え発言し合います。
「ぼくこれ楽しい、好き!」とおはなし会中に目を輝かせてお母さんに伝える子や、小学5年生のお兄ちゃんの説明を前のめりで理解しようと試みる1年生など、いろいろな子どもの姿が見られました。
今回は理科的な知識から入って、「養分」について抽象的に捉え、いずれは自分にとって養分とは?という認知ができるようにという考えでプログラムが組み立てられています。
二週目まで終えてstep1の半ばですが、早くも我が子にはスパークが起きました。
食べることとマンガ大好き小4男子。
我が子ながらめっちゃくちゃいいやつですが、努力家とか優等生とかいうカテゴリには入らないタイプ。
社会問題について深く考えてこの世界を良くしていこう…みたいなことを彼の口から聞いたことはありませんでした。小4男子だし当たり前と言えば当たり前。
そんな我が子が二週目の養分のお話会の後に、ふと話し出しました。
「おばあちゃんちの畑ってさ、農薬使ってるかな」
「肥料は使ってるけど、どんなのを使ってるか聞いてないから今度聞いてみなよ。落ち葉や生ゴミを堆肥にもしてたよ。それ以外に虫除けや病気用の農薬は使ってないと思うよ。畑は虫だらけでしょう。」
「そっか。すごいね。だから美味しいよね、キノコ以外は。」
「椎茸も美味しいよ。雨の後だと虫だらけだけど。」
「椎茸は絶対ダメ。無理。」
スゴイ顔でキノコムリアピールをした後、
「スーパーでさ、無農薬の野菜がいいな、と言われたら無農薬の野菜が売られるでしょ。でも無農薬の野菜に虫がついてたら怒る人がいて、そうするとまた農薬を使った野菜が売られるでしょ。何が売られるかってオレたちのせいじゃない?」
お?それに気付いた?
そうだよーそうなんだよー!
服も雑貨も食べ物も本も、欲しがるひと、売りたいひとの声で変わるんだよ。
声を上げるのか上げないのか、どんな声を上げるのか、どの声をどう聞くのか、大切なんだよ。
でも足りなければまずあることが求められるんだよ…
などなどの色々な思いが一瞬で交錯する親。
「そうだね、本当そうだね!」(←でも思いが溢れこれしか言えない。)
「だって虫がいる方が美味しいじゃんね」
「そうだねえ…あ、広い農場だと農薬がないとどうなんだろうね」
「うーん…高くなっちゃうかなあ…。でも形はどうでもいいよね…」
などなど、親子でしばし話しました。
SDGsについてCo-musubiでは高学年では真正面からテーマとして取り上げていますが、小4の我が子はまだそれには触れていません。
でも自分を含めた消費者の責任を捉えることに近づくことができている。
実はこの日のお話会で、子どもたちが自分の知識や仮説を出し合う中で、我が子も他の子の考えを聞いたり、自分の考えを聞いてもらえたりしていたんですが、それがとても楽しそうで、トリガーになったのだと思います。
コミュニティで育て合ういいところだと、仲間に感謝です。
一瞬のスパークは、対象への興味だけで言えば持続しないことの方が多く見えます。
でもふとしたときに繋がることが増えてくる。
それは物事を自分ごととして捉えるように考えられた上でのプログラムに、仲間と関わり合いながら受けているからではないかと思います。
一方で、こういう形のコミュニティは運営・ファシリテートしていただく方がプロでないと難しいという実感もあります。
こうした教育の形が広がっていくには色々課題があるけれど、広がっていくといいとねがっています。