メンバーnote 「休校をきっかけに広がり続ける学び 」
メンバーによる寄稿です。
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我が家は、小学3年生の息子がCo-musubiに参加しており、フルタイム勤務の共働き家庭です。
2020年2月28日に全国一斉の臨時休校が要請されました。
そこから約2ヵ月。Co-musubiの子どもたちも大人たちも、様々にこの難所を通過してきたと思っていました。
しかし4月末に、大人メンバーのオンラインミーティングを持ち近況をシェアしたところ、驚きの回答が続々と返ってきました。
まず、親の視点から教育について困っているという声がなかった事。
そしてその親たちから見る子どもたちは、誰一人として時間を持て余している状況の子がいないばかりか、何かに縛られている子もおらず、黙々とそれぞれが好きな事に時間を費やす素敵な2ヵ月間になっていて、教育の側面は心配ないとあっさりした回答でした。
私はといえば、ちょうど夫が早めのGWに入り、この生活にやっと慣れてきたと感じたばかりでした。
休校と同時に私は出社と在宅勤務が半々の生活が始まり、夫は完全在宅になりました。
両親それぞれが在宅勤務の環境に適応する事を優先した結果、息子は家で親の気配を感じつつ孤独感を抱えていました。
4月に入っても休校が続くとわかった頃には、寂しさから心が不安定な時期もありました。
その対応には親としても工夫したつもりですが、結局は本人の深い興味 (今は日本史と三国志) に助けられた部分が大きかったです。
Co-musubiではメンバー間でよく本を紹介しあうので、この休校期間だけでも既に3冊の本を我が子にリクエストされました。
難しいかどうかなどと難易度を大人が勝手に判断することなく渡すので、親は本の内容を知らないままな事もあります。
たいていは楽しんで読みますが、まだ難しい場合でも本棚にあることを知っているといずれ手にするので、そっと見守るようにしています。
子ども達が様々な学びの時間を持ち、親達がその点で悩む事がない環境が出来上がっていた事に2ヵ月も経ってから気づきましたが、そもそもCo-musubiの親達が悩まないのは、長期視点と子どもからの発信に応じる習慣がここにはあるからかもしれません。
時にはおもちゃ( BlocksとDobble、オススメです。) のリクエストに応えたり、豆電球と電池を用意して「教科書を見ながら遊んでみて。」と伝えたこともあります。
自宅で家族が共に過ごす時間が増えたので、ボードゲームやカードゲームに久しぶりに興じる時間がある事にもありがたく感じもしました。
自身が必死すぎた3月中は、Co-musubiの代表、井上さんと有志が急遽立ち上げてくれた子ども向けのYoka-Yokaのプログラムが私たち親を救ってくれました。
会いたくてもなかなかお目にかかれないような贅沢な講師陣による一回あたり1時間から2時間のプログラム。
自宅の居間や台所からビデオ会議システムで参加します。
参加者は10名程度の少人数に限定し、お互いを意識できる双方向のやり取り。
お料理、言葉遊び、ドリル作り、謎解き、宇宙、虫、などを、ガイドと呼ばれる講師と様々にコミュニケーションをとりならがら濃密な時を頻繁に持つことができました。
ガイドの皆さんが子どもたちの話に耳を傾けてくれる様子に安心し、子どもをお任せすることができました。
夕食の時間に我が子から感想を聞くのが楽しみでしたし、そこでの学びをきっかけに時々お吸い物を作ってくれるようにもなりました。
宇宙の回は世界情勢を学ぶことも含めていい勉強でした。
当初、ガイドの方はアメリカから会議システムにアクセスして下さる予定でしたが、この時期ならでは複合的な理由から急遽開催が見送りになりました。
宇宙にとても興味のある息子は残念な気持ちになると共に、毎朝家族で見る世界のニュースで見聞きする様子が重なりガイドの方が心配にもなりました。(その後に改めてご厚意で開催くださいました。)
Yoka-Yokaは3月の1ヵ月限定の企画でしたが、4月に入ると井上さんが意識的に子どもを刺激する問いを投げかけてくれるようになりました。
我が子には「宇宙と時の関係」という問いからスタート。
子ども自身が数日間ぐるぐると考え、思い浮かぶことを話すようになったのでノートに書くアドバイスをしました。
すると、とても哲学的な内容を書き出し、親の発想にはないわが子の様子に出逢い、喜びをまた感じることができた瞬間でした。
普段は子どもが書きとめたノートを写真に撮り井上さんに報告するのは私の役割でしたが、今はそれも子ども自身が遂行。
井上さんからの返信や次の問いかけを読むのも楽しみにしている様子でした。
そして、もう一つ、休校が始まると間もなくしてCo-musubiの最上級生、中学生のお姉さんお兄さんが、朝8時から25分間の勉強会(自習)とおはなし会(お楽しみタイム)を開催してくれるようになりました。
上級生達が下級生のために心を込めてこの時間を捻出してくれている事、おはなし会では上級生が日替わりでそれぞれの興味から選んだテーマ、バイオミミクリー、ダンス、お料理、クラッシック音楽、クロスワードなどについての魅力を教えてくれることもある贅沢な時間です。
まだリアルで会った事のないメンバーまでもが一体になり、兄弟姉妹の関係を築けていることに改めて驚いています。
Co-musubiで大切にされている「余白」はここにも存在し、進行を担う上級生が下級生に自習の後に何をしたいかと頻繁にリクエストを聞いてくれます。
小2のお子さんのリクエストで久し振りにカップソングをみんなで楽しむ日があったことをきっかけに、我が子の生活の中に再びカップソングが入ってきました。
(Co-musubiの子どもたちは過去に練習をしているので、オンラインで一緒にカップで合奏もできます。)
半年前はメロディーに合わせて手を動かす事に必死で歌詞を意識するところに到達していませんでしたが、このところ、英単語と音のつながりも想像がつくようになってきたことも手伝って口ずさみ始めました!
過去の点が点で終わっていなかった事に喜びを感じた瞬間でした。
Co-musubiではこのような「スパイラル学習」も大切にされています。
9時になると子どもたちは「今日もいい1日を!」と挨拶をし解散します。
休校でお友達との交流が減る中、貴重な時間です。
画面を閉じ、「楽しかった~。」とつぶやく姿に、心から良かったねと思います。
Co-musubiの子どもたちにとって、この朝の時間は学校での休み時間に相当する役割を担っているのだと思います。
決められていない、子どもたちだけの偶然性の高い時間。この時間がパワーを与えてくれます。
母親の私自身は、急に変化した環境に適応するために必死でしたが、まずは、これまでのCo-musubiでのオンラインでのコミュニティー経験を、急遽リモートでの協働を余儀なくされた実務でも活用したいと考えました。
丁寧に心を通わせられて、かつ相手の時間を必要以上に奪わないように働きあえるよう、コミュニケーションや雑談の場を用意しました。
そして、ガラッと社会が変わる瞬間に立っている今、改めて私自身が「自分の未来をどう描きたいか?」という答えのない問いに向き合い続けています。
Co-musubiでは立ち上げ当初から、大人も子どももそれぞれがオーナーシップを持ち自主的に行動し、相手を思いやる事に重きを置き「Gift-Gift」の循環型の関係を構築しようと心を注いできました。
さて、社会が大きく変容している今、私の未来をどう描くのか。
またそこに立ち返りぐるぐる悩み抜こうと思います。