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【体験レポート】材料=紙と糸だけ! 手作りノートワークショップに行ってきました!
2022年10月29日(土)に愛媛県鬼北町のコワーキングスペース《warmth》にて開催された、手作りノートワークショップに行ってきました!
和紙や世界の紙に触れながら自分だけのノートを作るという、心躍る体験でした。紙や手作りステーショナリーに興味のある方、手作りって気になるけどためらっちゃう……って方に読んでもらえたら嬉しいです!
ワークショップの詳細
愛媛県鬼北町の「泉貨紙」と世界の紙を組み合わせて、手製本ノートと封筒を作ります。
— なみえゆい|kami/ (@kamihitoe_lab) October 6, 2022
泉貨紙とは…
楮を原料として、2枚の紙を1枚に合わせて作る丈夫な紙。鬼北町では、制作する泉貨紙全ての原料の栽培から行われています。
丈夫な泉貨紙の特性を活かしたワークショップです🍁 pic.twitter.com/yoZe6mnCH3
鬼北町の特産品である《泉貨紙》や、世界各地で作られる紙を使ったワークショップです。
午前中は紙と糸を作ったノート作り、午後は封筒&封蝋の手作りとそれぞれ分かれており、私は両方に参加しました。
主催は鬼北町で泉貨紙を作られている地域おこし協力隊の粟野さん、そして講師は『世界の紙を巡る旅』(烽火書房)の著者である《kami/》のなみえゆいさん。
会場にはなみえさんが世界を巡って集められてきた様々な紙や、それを使った小物もあり、またそれらの紙をワークショップ中に使うこともできました。
いざ、ノート作りに挑戦!
ノート作りのワークショップでは、用意された材料とレシピを元に、講師のなみえさんが、優しく&わかりやすく教えてくれました。
材料は紙と糸だけ。表紙用の紙は泉貨紙やタイのサーペーパー、ネパールのロクタペーパーの中から、本文用紙は様々な特色のある紙の中から、自由に選べました。
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既に材料選びの段階でめっちゃ楽しい
タイのサーペーパーは草花が一緒に漉こまれており、ネパールのロクタペーパーは色合いが鮮やか。鬼北町の泉貨紙は、シンプルながら生成りの優しい色が手によく馴染みそうで、私はこちらを選びました(泉貨紙に関しては下記の記事で詳しく紹介しています)。
本文用紙も、読書好きには定番の淡クリームキンマリから、手帳でおなじみのトモエリバー、イラスト向けのモンテシオンなど、6種類から選べます。このバラエティ豊富さに、さすが紙巡りに世界を旅したなみえさん……! と唸りました。
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表紙を1種類、本文用紙を4種類選んだら、下準備に移ります。
いよいよ本作業! 無心になる穴開け
表紙に折り目や補強をつけ、4種類の本文用紙を折って束に。そして表紙の背表紙に目印を付けたら、糸を通すための穴を開けます。こんなもんかしら……とちびちび開けていると、なみえさんから啓示が。
「もっと、ぐっと開けちゃって大丈夫ですよ!」
「えっ? で、でも、狭いとこだから穴どうしくっついちゃいそうで……」
「くっつかないギリギリの範囲で、開けちゃってください。穴が小さいままだと、後で大変ですから」
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そぅお? それなら……と、当社比で思い切り穴を開け、作業もひと段落。しかし、それでもまだまだ甘かった……とすぐ思い知ることになるのです。
紙 meets 紙 by 糸! これ思いついた先人すごいな……
作業もクライマックス。表紙と本文用紙を、糸でかがってくっつけていきます。
今回紹介されたのは、比較的簡単なA案と、ちょっと複雑なB案。
小さい頃からThe不器用の看板を背負ってきた私ですが、B案の模様が素敵だったのでチャレンジしてみることに。
「糸がたわむと背表紙もゆるゆるになるので、要所要所で引っ張ってくださいね」
なみえさんに見守って頂きながら、いざソーシング。4部に分けて折った本文用紙を、2部一組にして前半・後半とかがっていきます。
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お手本に示してもらった図を見ながら、慎重に穴の一つずつに糸を通していく……のですが、スルスルと、いかない……!
そうなのです、ノート作りに使用したのはロウ引きされた糸で、皮製品などにも使われるしっかりしたもの。太い上にロウでコーティングされているので、中途半端な穴ではなかなか針が進まないのです。
えーんアドバイス通りもっと穴大きくしておけばよかったよー、と泣いても後の祭り。紙をグシャッとやらない範囲で力をこめてなんとかなんとかかがっていきます。
が、その慎重さが功を奏したのか……最初の2冊はなかなかいい感じに縫い付けることができました! よし、この調子で……と勢いづいた、そのときでした。
立ち寄ったご近所さんから思いがけず聞いた、紙漉きの話
ひょっこりワークショップを覗きにきたご近所のご婦人が、使っている鬼北町の泉貨紙を見て、昔紙漉きに携わっていたときのお話を聞かせてくださいました。
子どもの頃、紙漉きの季節になると駆り出されて、紙の材料を叩いたり、繊維のゴミを取り除いたり、地道で大変な作業をされたそうです。
「もうね、ドレイみたいなもんだったよ!」
とカラカラ笑ってお話される明るさに救われつつ、紙漉きはやはり並大抵の仕事ではないんだなぁ、と改めて思いました。
他にも、有名な楮・三椏・雁皮ではなくカジノキを紙の原料にしていたなど、貴重なお話を聞かせて頂きました。「今も泉貨紙、作ってるのね」と嬉しそうな顔をされていたのが印象的でした。
ほどなく、ご婦人は去ったのですが……貴重なお話にうつつを抜かしたので糸をどこまでどのように通したのか、すっかりわからなくなり、リカバリーに結構時間を割くハメになりました。作業中は気をそぞろにしてはいけませんね(笑)
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完成したノートの仕上がりに、思わず胸がジーンと
そんなこんなで残りの本文用紙2部も縫い終わり、遂に手作りノートが完成!
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……ちょっと自分が作ったとは思えない出来で、感無量です。もったいなくて使えないやつ。
難しいB案にあえて挑戦してよかった、と思える、端正な背表紙。糸のあざやかな黄色と、泉貨紙の生成り色がよくマッチしています。
他の参加者の方のを見ると、糸の色によってだいぶ印象が違うので味わい深いです。思わず、何冊も作りたくなる……!
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ワークショップで作ったのはシンプルに背表紙に縫い付けていくやり方でしたが、アイデア次第でいろんなノートを作れるようになりそうです!
封筒&封蝋作りも体験しました
午後のワークショップは、封筒&封蝋づくり。
好きな紙を選んでから、決まったサイズに切って折り目を引き、貼り付けるだけ。
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封蝋も、専用の器材を使ってあっという間にできあがり! 用意されたシーリングワックスの中から好きな4粒を選んで溶かし、最後に気にいったハンコを押すだけです。
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ワークショップでは封蝋を2つまで作ることができた……のですが……これ、楽しい……! どの色をどんなふうに混ぜるのか選んですぐ結果が出るので、どんどんやりたくなってしまう……!
+150円で追加できますよ、と言われたのでついつい追い封蝋しました。でも飽き足らず、そのうちキットを一式お迎えする未来が見える……!
意外と簡単! ステーショナリーを自分好みに手作りしちゃおう!
今回ワークショップに参加させて頂いて、ノートや封筒、封蝋など、普段は勝手済ませるようなものも意外に簡単に作れちゃうんだ! と実感しました。
もちろん、お店に並んでいるものも洗練されたデザインでとても素敵です。だけど、自分が作ったものって、やっぱり愛着が湧くんですよね。また、ダイレクトに自分の好みを反映できるというのも嬉しいところです。
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紙や糸といった材料、手作りのためのキットなども、容易に手に入る時代。「でも、不器用だしなぁ……」という方にも是非飛び込んでほしいハンドメイド沼。大丈夫、意外と簡単!
やってみたいけど一人じゃなかなか……という人は、こうしたワークショップに参加されるのも一つの手。みんなでワイワイ盛り上がりながら作ったステーショナリーは、一層大事にしたくなりますよ。ぜひトライしてみてくださいね!
講師の《kami/》なみえゆいさんについて
今回、ワークショップの講師をされていたなみえゆいさんは、前述通り『世界の紙を巡る旅』(烽火書房)という本を出版されています。
タイトル通り、世界各国を回ってご当地の紙を見て、触れて、収集されてきた(!)方です。このノートの作り方も、タイで教わってこられたのだとか……! すごい情熱……!
現在は愛媛県内子町で和紙職人をされながら、紙文化を後世に伝えていこうと様々な活動をされています。なみえさんが世界で出逢った紙は、内子町の店舗やオンラインショップでも販売されています。
年末からの産休を挟みつつ、これからも活動を続けられるとのこと。応援しています!
念願の体験をやっと実現できます!
— なみえゆい|kami/ (@kamihitoe_lab) October 14, 2022
紙が木からできること、手間がかかる作業だけど根源に触れる豊かな時間であること、続けるために始めること。
伝えたいことをぎゅっと体感してもらえる2日間になると思います。
紙、手仕事、植物素材などに興味がある方におすすめです。 pic.twitter.com/Jq9yRVFBXQ
(このイベントすごく行きたかったんだぁ……)
(でも2か月連続で愛媛には飛べないから諦めた……)
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末永く大切にしたくて、バインダーに貼りつけました。
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