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【体験レポ】お酒が飲める同人誌即売会?! 《HUB a Good D!》に潜入してきた!

 コミックマーケット、COMITIA、SUPER COMIC CITY、文学フリマ……コロナ禍の影響もあり、ここ数年停滞していた同人誌即売会界隈。

 中には運営が危ぶまれるところもありましたが、実行委員会・参加サークル・有志の熱意で開催の灯りは絶えず受け継がれてきました。まずはそのことに、一同人者として厚く熱く感謝申し上げます……!

 そんな中、徐々にイベント規制が解除されていき、同人即売会にもかつての兆しが戻ってまいりました。

 そして、あの! 伝説のイベントが! 遂にカムバック!!

酒飲みながらブツ(本)を売り買いしたい酔狂たちが一堂に集う、《HUB a Good D!》が2023年5月4日(祝)に開催されました!! バッチリ潜入してきたので、その様子をレポートします!

 一風変わった同人イベントに興味のある方、ぜひご一読ください!

飲める同人イベント?! 《HUB a Good D!》とは何ヤツ?

同人誌即売会に参加する酒飲みの夢を叶える……そんなイベント、ありまぁす!

 同人誌即売会、といえば、東京ビックサイトなどを始めとする展示場で開催されるのが一般的。広い会場の中に用意された45×90cmの極小スペースで、みなが真剣にブツ(本)をやり取りするアレでございます。

 参加にあたってはイベントごとにいくつかのルールがありますが、たいていの場合は飲酒は厳禁。多くの人が行き来し、金銭の受け渡しもあるので、当然の処置ではあります。

 しかし。
 同人誌即売会に参加経験のある酒飲みなら、
 誰しも一度は思うのではないでしょうか。

 ……ここで酒飲みてぇな~~~~~~!!!!!!!!!

 誰かの汗と涙と■■■(コンプライアンス違反)の塊である同人誌をありがたく頂戴しつつ、もしくは買ってくれた誰かの愛しさと切なさと■■■(自主規制)とにむせび泣きつつ、この出会いを祝して互いに杯を交わしあえたら……

 既に最高潮だったテンションが天元突破してオラやッべぇことになっぞ、と心の中の孫悟空が頷いた体験をきっと皆さんお持ちのことでしょう。

 そんな夢を叶えてくれるのが《HUB a Good D!》です!

お酒を飲みながらキャッキャウフフと同人誌即売!

 Doujin も Drink も楽しめる Good な Day で、みんなをつなぐHub(中心地)を作る……それが《HUB a Good D!》(以下HubGD)

 細かいルールもありますが、買う側も売る側も、いいオトナな酒飲みとして互いに楽しむように行動すれば、たいていクリアできるものばかり。また、酒飲みだけじゃなくノンアルオンリーの方ももちろん参加できます。

 イベントは前半・後半に分かれており、参加サークルは交代制。パブの小さなテーブルが、サークルに与えられたスペース。ここに頒布物とPOP等と酒とツマミをおかなければなりません。高度な戦略が要求されます。

 ……とはいえ、普段の同人誌即売会に馴れている諸兄には今一つイメージしずらいのではないでしょうか。安心してください、写真、撮ってますよ!

イベント当日の様子をお届け! 酒+同人誌=最強伝説

狭い店内に漲る熱気! 酒だ! 宴だ! 同人誌だ!

 このワクワク感、きっとモザイク越しでも体感して頂けることと思います。テーブル席側がサークルさんで、通路をお客さんが歩いていくスタイル。店の外にも、数サークル配置されていました。

 とはいえ、貸し切りなので、イベント開催中は事前にチケットを買っている人しか入れないようになっています。同人文化に疎い客にウザ絡みされて……という心配はご無用です。

 今回会場となったのは、イベントの出発点でもある82AKIBA TOLIM店。HUBの中では決して大きくない店舗ですが、だからこそ、互いの距離が近まって自然と楽しくなってくる……そんな雰囲気が醸成されていました。

 ノンアルでの参加もOKなんですが、飲んでなくても場の空気に乗っかってはしゃげちゃう、そんなハッピーな空間です!

  同人誌の買い回りがもっと捗るように、スタンプラリー企画もアリ! サークルさんで買い物するたびにシールが一枚もらえて、三枚集めると一回リアルガチャが引けます。

 基本はカントリーマァム&アマゾンギフトですが、1等賞には豪華賞品が。今後の開催のためネタバレ避けでここには書きませんが、ホントに豪華賞品でした。

筆者は2回引きました。
見事、SSRカントリーマァムとURカントリーマァムをゲット。おいしかったです。

みなさん、なんで参加したの⁇ いろいろお話聞いてみた!

 久しぶりに開催された本イベントですが、募集開始後サークル・一般参加ともに満了となり、当日券も出ないほどの盛況っぷり。

 みなさんどんな想いを持って参加されたのか、主にサークルさんにお話を伺いました。

 たまたまTwitterで見かけて楽しそうだったから、という方もいれば、前回参加したかったけど都合がつかずずっとリベンジを待ち望んでいた、という方も。これまでに参加したことがあり、今回の復活に駆け付けたサークルさんもいました。

 中には友達がリツイートしたのを見かけて申し込みしたら、示し合わせてもいなかったのにその友達も参加してて、しかも隣同士の配置だった、なんてミラクルを起こした方もいらっしゃいました。

 様々な理由でみなさん参加されていましたが、共通していたのはとにかく楽しんでるってこと!

 同人誌即売会自体が非日常的要素をはらんだものですが、パブでお酒飲みながら同人誌をやり取りするというシチュエーションがそれに更に拍車をかけて、いい感じに盛り上がっていました。

狭い空間を最大限に生かしたディスプレイ。
缶バッチのドット絵は自ら描かれたそうです。
本イベントへは今回初参加のサークルさん。
バッチリなじんでらっしゃいました。
前回参加したかったものの叶わず、コロナに負けずに次回開催を待たれていたサークルさん。
遠方からのご参加でした!
友人どうしで別々に申し込んだけど、なんと奇跡の隣接配置となった2サークルさん。
そういうお話はたくさん聞きたい。
過去にも参加経験のあるご常連サークルさん。
酒を置く場所をスペースを専用に確保しているのがさすが。

一サークルとしての感想「時間も金も秒で溶ける」

 筆者もサークルとして参加しました。後半の配置だったので、前半は取材しながら同人誌を買わせて頂いたのですが……

 ……どんどん財布が軽くなるな?

 翌日がCOMITIA144の開催だったので、2週間ほどせっせと小銭を集めてパンパンになっていた財布が……気づけば半分以下の重さに。しかし、引き換えに腕の中に抱かれる同人誌の重み、プライスレス。酒を煽ると、多幸感が倍増します。

 しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、後半戦で自分がサークル側に。まったりとお客さんや両隣のサークルさんと会話をしつつ、ついでにグラスを3回ほど交換しつつ、非常に心穏やかなひとときを過ごさせて頂きました。

 ……いや、HUBってさ、めちゃくちゃドリンクメニュー充実してんのよ。しかもどれもちゃんと美味しい。レッドアイサイダー、トマトの味がこっくりしててよかった。え? つまみ? 食べる余裕がなかったからわかんない(※よい酒飲みはちゃんと飲んでるときに水と食物を腹に入れましょう)

楽しすぎて自分のスペースの写真を撮るのを忘れてたら
お隣さんが撮っといてくれたギネス。
ビールの種類も豊富なHUBサイコー。

 一般的な同人誌即売会って、どうしても同じジャンルやお知り合いのサークルさん回りで終わってしまいがち。その点、HubGDでは様々なサークルさんをしっかり見て回れたり、おしゃべりして交流できるので、この規模のイベントならではの魅力を感じました。

 難点は……楽しすぎてあっという間に時間が経っちゃうこと! 16時の入場開始から18時半の完全撤収までの2時間半、まるで風のように去っていきました。

 もうちょっと酒飲みながら語らいたかったんだけどな! と、二次会に駆れる方を見送りつつ、筆者は翌日のティアがあるので帰っていきましたとさ。

タダモノじゃない主催者・トオノキョウジさんにお話を聞きました!

 こんな楽しいイベントを企画した主催さん……タダモノじゃ、ない! ということでばっちりお話を聞いてきました!

 HubGDを企画されたのは、シナリオライターのトオノキョウジさん。ゲームシナリオや漫画原作、小説執筆など、幅広いジャンルでウデマエを振るうクリエイターさんです。また、HubGDを始めとする創作者向けイベントの企画などもされています。

司会もばっちりこなされるトオノ氏。い~い笑顔です。

 コロナ禍明けに開催したHubGD、まずは終わってからの心境をお訊きすると、ホッと相好を崩されました。

「反応も上々で、無事に終えられてよかったです。とにかく、楽しんでもらえてなにより!」

同人誌即売会をやりたい、というひらめきがきっかけ

 そもそも、どうして飲みながら同人即売会なんて最高にファンキーな企画を思いついたんですか、と訊ねると、「よくは覚えてないんですが……」と仰いつつも語ってくださいました。

「もともと、当時何かしら即売会形式のイベントをやりたいとは考えていたんです。でも、一般的なイベントみたいにきちんとした会場を押さえるのは、個人にはなかなかリスキーじゃないですか。

 そこで何かのはずみに呑んでて、『……飲食店の貸切なら?』と思いついたのがきっかけだったかな。HUBさんでやろうと思ったのは、別の機会に行ったことがあって、丁度よさそうだなって」

 このひらめきが実行されてHubGDが最初に開催されたのは、2018年。8月にプレ開催して試運転し、11月に初回という運びでした。その後、東京を中心としつつ神戸などでも順調に回数を重ねました。

開催してわかったオンライン即売会の“良し悪し”

 しかし、2020年からのコロナ禍で状況は一変。同人誌即売会界隈も、変容を余儀なくされました。そんな中、オンラインでイベントを催す動きが現れ、トオノさんも早速波に乗りました。

「HubGDのオンライン版は、ディスコードを利用して2回行いました。80名ほど参加されたり、結構にぎわいましたね。

 他にも、当時サービスを開始されたpictSQUAREでも別のイベントをやりました。参加者さんのアバターを連れてそれぞれのサークルさんを巡回したりしたんですが、あれは面白い光景でしたね」

いち早くオンラインイベントにも対応されたトオノさんでしたが、続けるのには厳しさも感じていたと言います。

「最初は物珍しさもあってきてくれる人も多かったんですが、2回目はガクッと減りましてね。pictSQUAREさんのほうは、うち以外でもイベントやられる方が出てきたので、そちらにお任せしたらいいかなという気になりました。

 オンラインのイベントだと、即売会のように同人誌を売買するというよりも、その前の段階の種まきみたいな部分がどうしても強くなる印象でした。あと、やっぱり見た目が……ディスプレイに向かって喋るというところに、味気無さは感じましたね」

楽しく飲んで、輪を広げよう! HUB a Good D! のこれからについて

 コロナ禍が続く中、HubGDをまたやろうと、それとなくTwitterで呟いていたトオノさん。そして、状況が動いた2023年春――満を持して再開の告知を出しました。場所は、第1回開催と同じく82AKIBA TOLIM店。

「再起には、やはりここがいい規模感だなと。これで集まらなければ終わりにしようと考えていました。でも、フタを開ければ満員御礼で、しかも半分くらいは初参加の方々だったんですよ。

 初めて会った人たちが、お酒の力で喋りやすくなって、すぐ仲良くなれる……そういう光景はいいものですね、正しいお酒って感じで(笑)」

 今後の展望についてお伺いすると、朗らかな答えが返ってきました。

「このイベントは、とにかく楽しんでもらえたらそれでいいなって思っています。同人誌即売会とはいえ、最終的には飲み会なので(笑)、趣味の近い人たちどうしの友達づくりの場になればいいな、と」

参加したい人、集まれ! 開催したい人、もっと集まれ!

「今後も開催しつつ、開催する側の人が増えたら……」トオノさんの今後の展望

 今回の成功を受けて、トオノさんは次回開催も粛々と準備を進められているとのこと。

 規模は現在くらいが丁度いいかな、としつつ、より広い会場で開催できないか鋭意店舗開拓中だそうです。大阪でも計画しているそうなので、遠方の方も諦めないで!

 そして……こうしたイベントにサークルとして参加されたい人はもちろん、開催したい人も相談に乗るので声をかけてほしい、とトオノさんは話されていました。

 トオノさんの運営されるイベント、筆者もHubGDやそれ以外でも何回か参加させてもらっているんですが、非常に細やかな配慮がされていて、とても安心感があります。

 HubGDのようなイベントをやってみたいけど、不安がある……という方、ぜひ一度相談してみてくださいね。

 次回開催はまだ未定ですが、Twitterなどで随時告知されますので、気になる方はぜひトオノさんをフォロー! あとトオノさんはゲームシナリオのお仕事も随時募集されてますんで、どんどん発注してください!(ただのファンだとここでバレる)

 ようやく、正しいお酒が楽しめるような雰囲気が戻ってきました。HubGDのようなイベントが今後も増えていきますよう、一同人者としても心待ちにしております!


🔶HUB a Good D! と主催者・トオノキョウジさんについてはこちらから


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世津路 章
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