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白いボトムと白鳥の羽

半分冷やかしでのぞいた、注文住宅のモデルルーム。
無垢の木材を使った、おしゃれな一軒家を案内してくれた営業マン。
こんな家に住めたらいいなあと思いつつも、営業マンが白いズボン(注 今はズボンとは言わない。ボトムあるいはパンツ。)をはいているのがひっかかっていた。
スーツではなく、カジュアルなスタイルは、そのおしゃれ一軒家にいかにもふさわしい。はきはきと自社アピールするのに、その白いズボンはもってこいだ。

でも、白いズボン。
白いズボンで、しかも仕事をこなすなんて、私にはとうてい、できっこない。

ホコリのたまったイスに座ったらお尻の部分に跡がついたりしないか。ボールペンでうっかり線を描いたりしないか。食べ物のシミがついたりしないか。外出するのには勇気がいる。そしてもとのようにきれいに洗濯できるか、不安でいっぱいである。
だから、ボトムは、黒、茶色。せいぜいベージュ。冒険して薄いグレー。白いズボンは選択肢に、はなから無い。

白いといえば、白鳥。
田んぼでエサを食べて、水辺に帰っていく姿を見ると、白い羽は汚れないのか、不思議でならなかった。

調べてみると、尻尾のところにある、油脂線からくちばしで羽に油をつけているそうだ。
あまり想像したくないけれど、焼き鳥で言うならば、ぼんじりの下処理で除かれる、油壺と呼ばれる部位。尻尾の背中側にあるという。

水辺に浮かんで優雅に羽繕いしていると思いきや、生命維持にかかせない大事な行動だった。羽に油分がなくては、おぼれそうである。
やがて羽は半年ほどで抜け変わり、またきれいな白い羽で羽ばたく。

では、白いズボン。防水スプレーなどでコーティングしてはどうか。
そんなことばかり考えていて、いつまでたっても白いボトムはあこがれのままである。

#ファッション
#ぼんじり
#白鳥
#デニム



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