ことのはいけばな’22 晴明 第14候 『鴻雁北』
花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。
花綵列島へ寄せる桜波にのって
燕は南より
雁は北へと
桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に浪ぞ立ちたる(紀貫之)
*列島へ花喰鳥の家苞か桜前線つばくろ至る
*はるばると雁わたる空雲の虹さみどりの羅紗やまにかけゆく
燕は早く桜に会いたくて
雁は桜咲くのを見届けて北上する
さみどりの羅紗を引きながら
*つばくろの花散る時を惜しむとや夕占の橋をまたひるがえり
*つばくらめ青柳の糸すいすいと縫う春空も虹も霞も
このあはい、春は夏へと位相を変えていく
*ふたいろの羅紗掛け替えて雁帰るかさねの色目あわくにじみて
*行き交いのつばさとつばさ風を切り風を運びてさくらは彩芽
*早緑の羅紗ひけり雁去て更衣の日春山うれし
北のユーラシア大陸へ帰る彼らが心配になる
*音速のミサイルとやら飛ぶといふ柳結ばむいいづこ翔ぶ雁
*戦争で死ぬのはいつも小さきもの魂に傷幾度刻めば
*翼持つものたちまもり羽ぐくみて抱かれしものみな飛び立てよ