夏至;第30候・半夏生(はんげしょうず)
夏至の三つの候は、薬効の高い薬の植物ばかり。
「乃東枯」「文目華」そして「半夏生」。
次候の「文目華(あやめはなさく)」のアヤメにサトイモ科のニオイショウブも含めているだろうと考えればだけど、とはいえ目でみて美しいとか、何か心地よさを感じるとしたらそれだけでもう薬だろう。そうするともう全て自然界には薬でないものはないということになる。
この時期までに田植えは終わらせておかないと収穫は期待できないとか、「半夏雨」と言って半夏の頃降る雨は毒があるから井戸に蓋をしろとか、あるいは強い雨に気をつけろとか言い伝えは色々とあるようだ。確かに梅雨前線が活発となり激しい雨が多い季節だ。
半夏は烏柄杓(カラスビシャク)の事だとされる。姿が不思議なこの花は、ちょっと小鬼のような妖のような雰囲気を持つ。漢方として薬効の高いものであるようだが、この花が毒が降ると言われる「半夏雨」あるいは梅雨の長雨、別名「黴雨」に注意を払わせるべく選ばれたのかもしれない。ただ、毒は薬にもなる。
半夏生(ハンゲショウ)という植物もこのころ花咲き、葉を白く染める。「半化粧」の方が名前としては覚えやすい。片白草とも呼ばれる。ドクダミ科で花の咲く頃になると上の方の花に近い葉が白く染まる。花の在り処を虫に教えるためと考えられている。花はリザードテイルという英名があるが地味で目立たないので、こうやって目印として葉が白く変化するようだ。花が枯れるとまた緑になる。
(↓花は蜥蜴の尻尾に似ている?)
冬至から夏至までの半分が終わり新たな冬至までの半年が始まる時期。「半夏生」は物忌みの時期にあたり、お正月休みがあるように、この時期までに農作業などは終え、ちょっと休んで体を労いなさいと、そんなメッセージも込められているように思える。