「暮しの手帖」と「ほんとうのこと」
子どものころ、家にあった背の高いガラス戸の本棚には、ちっとも興味をそそらない、古くさく茶ばんだ難しそうな本がいっぱいあった。
背表紙を良く見ると、古事記だの万葉集だのの日本の古典と一緒に、ロシア文学が並んでいたりした。
それはどうやら、見栄っ張りな父が、自分でも読まないくせに本棚に挿していたものだったらしい。
ちょっと興味を持って開いてみても、古書店から買ってきたらしい本は文体が旧いせいもあって、どうしてもなじめなかった。
そんな本棚の一番下、廊下にはいつくばらないと見