「仕事が辛い」になるべく合理的に答えてみる

この記事は「仕事が辛い」と考える皆様にできる限りのエールを送ろうとするものである。

しかし、凡百の自己啓発本にあるような「気にすんな!」「〇〇と思い込め!」というようなただの精神論はもう聞き飽きているだろうから、できるだけ合理的な答えを提示しようというのが、本記事のこだわりである。

それではQ and A方式でいってみましょう。

そもそもどうして人は働かなければならないのですか?

端的には生きるためです。このことは狩りや牧畜、農耕といった直接に生存に関わる労働を考えればわかりやすいですね。

が、問題は、我々が生きるために必要である以上の時間・強度の労働を強いられているということです

江戸時代、百姓は自分で食べる米以外に「年貢」として納める米も生産しなければなりませんでしたよね。この年貢米は百姓が生きることに直接関係はありませんから、生きるうえでは余分な労働ということができます。

それと同じで、現代の私たちが会社で働く時も、自分が生きるために必要な以上の余分な労働をしているのです(もし社員個々人が生存のための最低限の労働しかしなければ、会社の成長や株主に回す分の利益がなくなって、会社は立ち行かなくなるでしょう)。あなたが毎日定時で帰っていても、事情は全く同じです。

ですから、そもそも私たちは本来的にはそんなに働かなくてもいいのです。少なくともあなたが「江戸時代の百姓は可哀想だ!」と思う人間であれば尚更です。必要以上の労働を強いてくるこの社会がおかしいのであって、あなたは悪くありません

⭐️推薦図書⭐️

資本論(第一部 資本の生産過程)

……は、キツすぎるので、まずは佐々木隆治『私たちはなぜ働くのか』あたりを読もう!(これもまあまあキツイけど)

上司に毎日叱られて辛いのですが。

はっきり言って、叱ることはその効果よりもデメリットが上回ります。あなたの上司はそのことを理解していません。

叱ること、もっと一般的にはネガティブな刺激で人を動機づけることのデメリットは、心理学の一派「行動分析学」で長らく研究されてきました。その中で言われていることを一例として挙げたいと思います。

もしあなたが叱られたら、あなたはどう思いますか。ここで素直に「次からは○○しよう!」と前向きになれたあなたはエライ。しかしこれはごく少数派なのです。大概の人は「次はどうすれば叱られないか」ということを考えるでしょう。

え? どっちも一緒? いえいえ全く異なります。前者は次にやるべき行動が一つに絞られていますが、後者は叱られないためだったら何でもするという心理を生みます。その結果どういうことが起こるか。ミスの隠蔽、意見を言わなくなる、上司と距離を置くようになる……。こういう行動を誘発するおそれが、叱るという教育手法にはあります。つまりこれら行動を部下がとるのは上司の責任である可能性が高いのです。

ではどうすればいいのか。端的に言えば褒めて伸ばすことです。「○○しろ!」と言うのではなく「〇〇して素晴らしい!」と言う。「○○はダメだ!」と全否定するのではなく「今回は▲▲が素晴らしかった。次は○○するともっと良くなる」と褒めることとセットにする。その効果は様々ですがここでは割愛します。しかし、叱られると部下が思うのが「しなければならない」なのに対し、褒められると部下が思うのが「したい」である、という一点だけでも挙げれば直感的には十分でしょう。

要するに、叱ることだけで部下を動機づけようとしている上司なんぞ人間のことやマネジメントのことを何もわかっていないので、そんな人に叱られたことを気に病む必要などありません。「バカだなあ」と思っておけば良いのです。

⭐️推薦図書⭐️

カレン・プライア『うまくやるための強化の原理 飼いネコから配偶者まで』

おわりに

続きは好評だったらやります。

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