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講演「夢の待ち方」(2018/10/13) レポート

 2018年10月13日(土)、小金井第二中学校PTAの皆様が主催された「思春期子育て講座」に、語学塾こもれびの代表田邉と塾長志村が登壇し、講演させていただきました。講演タイトルは「夢の待ち方~遠回りでも“夢”に出逢えた二人から伝えたいこと~」です。

 今回はこの講演の様子を、こもれびサポーターの根本がレポートさせていただきます。

 二人の自己紹介に続き、まずは語学塾こもれびの紹介。東京外国語大学在学中に田邉講師が発起人となり、志村講師と二人で始めたこもれび。初めは分からないことだらけだったそうですが、手探りで進めていく中で生徒さんが増え、メンバーが増え…と少しずつこもれびが成長していく様子が、当事者である二人の口から語られました。武蔵小金井のシェアスペースを出て国分寺への移転という大きな転機を迎えるなど、様々な苦労を経て今に至っているわけですが、そうした話はさながら「こもれび誕生秘話」とも呼ぶべき、聴き応えのあるものでした。

 続いては質疑応答コーナー。実に多様な質問をお寄せいただいたのですが、中には例えば、こもれびに関して「進学塾との違いはなんですか」とのお尋ねも。これについては、「成績や結果ではなく、一言で言えば『自分の頭で考えること』を重視している」とお答えしていました。また、語学塾ということで「効率的な外国語の学習方法」についての質問もありましたが、二人の答えは共通して「効率的な方法は無い」ということ。志村講師は「断言しますが、時間をかけずに楽をしてやろうと思ったら、絶対にできるようにはなりません。できたとしても、自分が見限ったところまでです。できるようになりたいと思ったら、それには時間がかかるということを覚悟して、時間をかけて取り組むことです」と話していました。

 皆さんからのご質問に答えていく中で、徐々に話は二人の「選んできたもの」のことへ。
 田邉講師は中学生時代、定期テストのために勉強をする意味が見出だせなかった時、父親からこんなことを言われたそうです。「みんながやっているから勉強をする、というのではなくて、自分できちんと考えた方がいい。勉強以外でも何か1つでも本当に好きなことがあるのなら、それをずっとやってもらっても構わない」と。そこで田邉講師は、一時はプロデビューを目指すほどの熱量で音楽活動に打ち込み、また並行してこもれびの運営も行ってきました。

 また志村講師にとっても、母親の存在が大きかったとのこと。中学生時代は理系少年で、将来は宇宙物理学者になるものだと思っていた志村講師。ところが、高校3年生で文系か理系かの進路選択をする際、突然、自分が何をやりたいのか分からなくなってしまったそうです。「別に、研究しなくてもいいや」と。そのため文転(理系から文系への進路変更)をして、とある国公立大学の心理学部へ。そこで偶然フランス語と出会い、フランス留学をし、帰国後に東京外国語大学に編入をし、こもれびを立ち上げ…と様々なターニングポイントがあったわけですが、そんな志村講師のことを母親は「この子は自分でなんとかするだろう」と、ずっと見守ってくれていたそうです。

 二人の親御さんに共通しているのは、「子どもに対して過度の干渉をせず、いざという時にだけ手助けをする心づもりで見守る」というあり方。「思春期子育て講座」ということで中学生のお子さんがいらっしゃる親御さんが多く参加されていたのですが、皆さんが熱心に二人の話に耳を傾けられている姿が印象的でした。
 ただ、二人が繰り返し強調していたのは「僕らがしてきたこと、してきたもらったことは絶対的な正解でも何でもない」ということ。二人の場合はそれぞれの親御さんの考えが二人の性格や能力に合致し、二人とも「今が幸せだ」と言えています。ただ、親御さんから干渉され、様々なことを決めてもらった方が性に合っているというお子さんもいらっしゃることでしょう。いずれにせよ、「どうするのが最も良い選択か」ということをきちんと考えることが大切だということです。

 さて、講演の最後には、志村講師から「夢の待ち方」ということについて話がありました。
 これまでの二人の人生を振り返ってみるならば、様々な選択の積み重ね。そこで誰もが思うのが「高校や大学に進学する時、もし将来の夢や仕事が決まっていない場合(迷っている場合)、何を基準に勉強したいことを選択すればいいのか?」ということです。これは、参加者からも質問があったところです。
 この点について志村講師は、高校3年生の時にやりたいことが分からなくなってしまった自身の経験を振り返りながら、こんなことを語りました。少し長くなりますが、彼の発言を引用します。

 やっぱり一番大事なのは、「その時々できること」じゃないかな、と思います。こう言うと元も子もないのですが、物事には、自分のやりたいこと(気持ちの問題)と、できること(能力やお金などの問題)があります。それらの兼ね合いで、その時々で「一番いいな」って思ったものを選んでいく、選び続けていく以外にないのかな、と思います。
 そうやってその時々必要なものを選んでいるうちに、何かが回ってくると思います。その時々の自分に正直で、その気持ちを大切にして、考えあぐねながら色んなことを真面目に(バカ真面目とは違います)やっている人の元には、「何かが来るな」って思うのです。僕の周りにいる、僕が尊敬している人たちを見ていてもそうです。なので、そういうふうに「今できること」をやって、その結果、「これだ!」ってものに出会う、それを夢と呼ぶのであれば、夢に出会うのを待っているというのも1つのあり方なんじゃないかな、と思っているのです。

 「その時々で最良と思うものを選び続けていく」、これに尽きるということです。私事ながらこれを書いている根本も、様々なことを選び取ってきた結果こもれびのメンバーに出会うことができ、こうして楽しく活動しています。その意味で、志村講師の語ったことはまさしくその通りだと思いますし、自分のしてきた選択が良いものだったということを確信しているのです。

 こうして予定されていた2時間はあっという間に過ぎ去り、講演会は幕を閉じました。終了後も多くの方が二人の周りに集まり、聞き足りないことを聞いていらっしゃったので、皆さんには少なからず二人の話に興味を持っていただけたのだと思います。

 改めて、小金井第二中学校PTAの皆様や講演会の運営にご尽力いただいた皆様、そして二人の講演を聴いていただいた皆様、本当にありがとうございました。

※以下に、講演録を掲載しています。ぜひ併せてご覧ください。


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