リーダーが一番最初に取りかかるべきテーマとは?
リーダーに必要なことって、とにかく多い。そう感じていませんか?
真面目な人ほどリーダーについて書かれた本を読み漁り、「やるべきこと」を知らずしらずのうちに増やしてしまい、その結果ストレスをためてしまうことがあります。
ボク自身、経営層にリーダーシップ・プログラムという研修を提供してきたこともあって、「リーダーって何だろう?」という問いを常にもってきました。
そんなボクが、リーダーに「絶対これだけは理解しておいて欲しい」テーマが一つだけあります。
リーダーは、まずは自己理解の姿勢を身につける
そのたった一つのテーマとは「自分のことを理解している」です。
もしくは「一貫した自己理解を深める姿勢をもつ」と言い換えても良いでしょう。
なぜ、リーダーには自分のことをわかっておいてもらいたいのか?
3つ理由があるので、それぞれ説明していきます。
①他者理解は自己理解からはじまる
リーダーはチーム、組織をまとめていかなくてはいけません。
まとめるためには、他者を理解し受容する力が必要です。
他者を理解し受容できるのは、自分自身にそのような機会を与えた者だけです。
つまり、めちゃくちゃ簡単に言うと「自分自身に思いやりの目を向けたことがある人だけが、他者にも思いやりをもって接することができる」という意味です。
②自分のことをまっすぐ見る力が決断力を養う
リーダーはときに、非情な決断を行う必要があります。
非情な決断をするというのは、人間の表も裏も理解し許容していないとできないことです。
キレイな言葉だけが並べられたファンタジーの世界ではなく、人間が活動するリアルな世界には光も闇もあります。その光も闇も、一人ひとりの人間の中にあります。
自分自身の光と闇を直視し、自己理解を深めていくからこそ、非情に思えるような決断を行えるようになります。
③自己理解の足りない人は、いつも間違った行動を選択する
自己理解の足りない人の言葉は、「借り物」感が拭えません。
ビジネスではうまくいっている人や会社の良い面をパクるのは当然です。しかし、自己理解の足りないリーダーはパクるとき、「それが自分(自社)にマッチするか?」と考えることができません。
そのため、素晴らしい戦略なども表面だけをなぞるようにしかパクれず失敗します。
自己理解の足らないリーダーは組織をめちゃくちゃにする
自己理解にゴールがあるかどうかと聞かれたら、43歳のボクには答えが出ていません。
ただ、自分のことを意識的に知ろうとしていないリーダーは、有名な人がどこかで話していたマーケティング手法や、世間で正しいとされている方法、またトレンドのみを追いかけているだけなのは確かです。
つまり「なぜ」に答えることができないから、本質的な話にまで発展しません。
そして、リーダーの自己理解が薄いと、とにかく周囲に迷惑をかけまくります。
それは「自分は〇〇だ」という事実と、「自分を〇〇のように見て欲しい」という欲求が入り乱れてしまうのが原因でしょう。
自己理解を深める姿勢こそリーダーシップ発揮の源
弱い者もいれば強い者もいる、賢い者もいればズルい者もいる、さまざまな人々で構成された集団を、なるべくスムーズにまとめるために生み出されたものがリーダー、そしてリーダーシップなのかもしれない。
そして、それはやはり人々の生活を営んでいく上での概念の一つにすぎない。
ボクはそんな風に感じています。
だからといって、リーダーが不要なわけでも、リーダーシップの発揮が意味のないものとも思いません。
むしろ、現代に生きるビジネスパーソンなら、真剣に考え実践すべきテーマです。
ただ、リーダーシップという言葉は人間が生み出したものだからこそ、人間に関する理解を深めるべきです。
そして、理解を深めるべき対象者は、まずは自分自身からはじめなくてはならないのです。
逆説的ではありますが、自己理解を深める姿勢を貫いている人は、自然とリーダーシップを発揮していきます。
孤独な作業から逃げてはいけない
自分のことを理解するためには、自分の心に問いかけなくてはいけません。
これはとても孤独な作業です。しかし、その孤独な作業から逃げるような人は本当のリーダーシップを発揮することは難しいでしょう。
部下や仲間が成果をあげる環境をつくる、そのために自分を整えていく。
自分の心に正直になる、何度も同じことに覚悟を決める。
孤独で地味な心の作業の繰り返しが、リーダーシップ発揮のベースとなりますね。