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ものぐるほし

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記事一覧

コミック企画タネ「太陽のスケート」

好き:不可能を可能にする、下から上を目指す
あらすじ:
常夏の国の人々がボブスレーで冬季オリンピックを目指した”クールランニング”のように、亜熱帯の沖縄の褐色の美少女高校生フィギアスケーターが全日本ジュニアスケート選手権優勝を目指す話。

小説企画タネ「気持ちが冷めないうちに」

好き:童貞感
あらすじ:
「コーヒーが冷めないうちに」の設定でアナザーストーリー。
好きな子への告白が成功するかを確かめるために、過去に行って告白して正否を確認。OKをもらえたから、現在に戻って告白するもフラれる。理由を聞くと「もう彼氏ができた」から。あの時勇気を出していれば、上手くいっていた未来があったということを胸に歩み始める。

道草食っていこう ひとつ大事な話があるから(煙草のススメ)

道草食っていこう ひとつ大事な話があるから(煙草のススメ)

梅雨の晴れ間の暑い日。
初めて煙草を吸ったのはお墓の中だった。
当時通っていた中学校は自宅からすぐのところにあり、家と学校をつなぐ道は坂道になっていた。
その途中に破風墓の並ぶ小さな墓地があり、その隣にそびえ立つ擁壁の上が中学校のグラウンドになっている。
「やったー(お前ら)ちょっと来い」
僕の中学は二つの小学校の校区がまとめられていて、そのヤンキーは向こう側の学校やつで、体は小さいが鼻っぱしが強

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白夜と梅雨

ピッカピッカ、ピッカピッカ
薄明けの暗い部屋の中で
パソコンの通知を知らせるランプが光る
ハンメルフェストのあの子からのメールだ
お互い顔は知らない
向こうは白夜が訪れたようで1日中明るいようだ
港が凍らないことを自慢されたことがあるが
そもそも雪も見たことがないから想像できない
もしかしたら今年は雪が見れるかもしれない

ポーン、ポーン
パソコンの通知を知らせる音が鳴る
オキナワの彼からのメール

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大村御殿の角なかい 耳切坊主が 立っちょんど

大村御殿の角なかい 耳切坊主が 立っちょんど

A「えー(おい)、死なすよ(ふざけんな)!押さんけ(押すな)!」
B「べー(違うぜ)、押してないよやー(ぜ)」
A「ゆくさーやー(お前嘘つくなよ)!」
B「べー、ていうか後ろ来てるば(のか)?」
A「はっ?Cがー来てないやんに(んじゃね)?」
B「ええ(おい)!Cーまーによ(どこに行ったんだよ)!?」

ーーー

沖縄の中部に位置する宜野湾市には、ユタの三大修行場の一つ「大山貝塚」という霊域がある

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空の声が聞きたくて 風の声に耳澄ませ 海の声が知りたくて 君の声を探してる

空の声が聞きたくて 風の声に耳澄ませ 海の声が知りたくて 君の声を探してる

青、紫、ピンク、赤、紫陽花の花びらの光。黒、グレー、白、アスファルトの光。濃藍のJPN TAXI、白のBMW、黒のランドクルーザーの光。
昨夜降り続いた雨が止み、全ての景色は水晶のような朝露の光で輝いている。
明後日は入梅。暦の上では梅雨入りの日だ。

「私はとてもスリムであなたの側にすらっと寄り添います。ユーモアのある会話で楽しんでいただけると思います。」
「私はとても健康で元気にあなたに寄り添

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月ぬ美しゃ十日三日 女童美しゃ十七つ

月ぬ美しゃ十日三日 女童美しゃ十七つ

「なんで泣いてるの?」
「みんながいじめるんだ」

河童はキジムナーのそばで話を聞いていた。

「君はいじめたことはないの?」

そう言うとキジムナーの肩の震えが止まった。

「昔ピンザを仲間はずれにしたことがある」
「なんでそんなことしたの?」

十三夜の今日は月が煌々と輝いている。
少し時間が経ちキジムナーはポツリポツリと言葉を落とし始めた。

「ピンザは悪い人たちの子供だから、仲良くしちゃダ

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泣くなよーや 太陽の光受けて ゆういりよーや 健やかに育て

泣くなよーや 太陽の光受けて ゆういりよーや 健やかに育て

沖縄のある童神(わらびがみ)の一週間

月曜日
ハイビスカスの花から芯を取り鼻につけて遊ぶ。
ピノキオみたい。

火曜日
お腹が水分で張った茶色の蟻を食べる。
甘酸っぱい。
なんて名前の蟻かわからない。
黒い蟻は食べない。

水曜日
セミは食べない。
セミは食べたことない。
セミを食べた人を聞いたことがない。

木曜日
カタツムリの抜け殻の尖った頂点同士を押し合って勝負。
潰れた方の負け。
アフリ

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でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た

でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た

「最近妹の様子はどう?」
「変わらない。ちょくちょく一人でお墓で遊んでるみたい。」

今年は例年にも増して、デイゴの花が赤く見事に咲いている。
沖縄では、デイゴの咲き具合で台風の予想ができると言われていて、たくさんの美しい花を咲かせた年は台風が多く来ると言われている。

去年の夏、彼の母親が交通事故で急死してしまった。
その人は、高校のそばでゲーム喫茶を経営していて、姉御肌で面倒見がいいからか、や

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僕が生まれたこの島の空を僕はどれくらい知っているんだろう

僕が生まれたこの島の空を僕はどれくらい知っているんだろう

「お母さん小満芒種(スーマンボースー)って知ってる?」
「梅雨のことでしょ?」
「そうみたいだよね。」
「それがどうしたの?」
「いや、最近知ったから。お母さん世代の人は使うのかな?って思って。」

今日の沖縄はずっと雨が降っている。今日というか、昨日も一昨日も、小雨がずっと降っている。
車の窓を叩く雨。せわしなく動くワイパー。車内に響く擦弦音。
沖縄の梅雨はとても梅雨らしく、1ヶ月ぐらい晴れの日

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