心理系大学院予備校選び④(ファイブアカデミー編)
参考書の質は高い
ファイブアカデミーは、昔大学受験の時にお世話になった添削のZ会が開講している心理学に特化した通信型予備校だ。時間が限られる社会人にとって、通信動画だけで学んだり、添削もしてもらえる講座はありがたい。ユニークなことに放送大学大学院受験に特化した講座もやっている。
ここが出版している参考書は質が高い。参考書の稿で詳しく触れるが「心理学キーワード&キーパーソン事典」や「臨床心理士対策テキスト&予想問題集」などにはとてもお世話になった。院試対策では河合塾KALSの参考書がよくクローズアップされるが、私はこちらのほうが合っていた。特に用語説明に関しては、いろいろな参考書を見た中でこの事典のまとめ方が一番腑に落ちた。
無料体験パックで試聴できるが…
さて、授業は動画映像だけの予備校なので、その内容が気になるところ。ここはありがたいことに下記の無料体験パックで講座を一通り見ることができる。
この無料体験パックを申し込むと基礎心理学、臨床心理学、統計学、添削講座、研究計画書講座等の動画の一部(と添削内容)を見ることができる。
私はこの体験パックを見る前に受講するのを辞めたので、1年受験勉強後の今の段階で体験パックを見ての感想を述べたい。
動画について一言で言えば、かなり痛い。講師は複数いるが、河合塾KALSの講師陣と比較してしまうと、1時間見続けたいと思える講師はいなかった。特にそう思えた理由は、講師が電子ホワイトボードに表示されているテキストを線を引きながらただ読む、というスタイルが多いからだ。研修講師経験が長い私から言わせてもらえば、研修時に一番居眠りが多い授業スタイルである。河合塾KALSのように、テキストは手元に置きながら、講師はその中のポイントや重点部分だけを黒板に書いて、言葉でインパクトを与えていく方法が受講者の頭に残りやすい。一緒に参考書を読むだけなら高い受講料は不要だ。ただ、そのあたりは私の主観なので、合う合わないは自身で動画を見て判断いただきたい。
添削がウリのはずなのに…
では、肝心の添削はどうか。解答が存在しない過去問を中心に受験勉強をする受験生にとって、添削はアウトプットとインプットを兼ねる大変重要な機会である。その添削がウリのZ会であるので、そのレベルには期待していた。ところが、紹介されている下記の添削例を見る限りでは、大変がっかりした。添削がこのレベルでは添削講座というには少し寂しい気がする。添削問題の数も少なく、これだけでは1問あたり600-800字を書く必要がある論述問題の対策としては心もとない。後日別稿にて、私が他社で受けた丁寧な添削事例を紹介する。
お年を召された方は無理?
前後するが、私は予備校探しを始めた当初、ファイブアカデミーの講座紹介動画を見た。その際に動画の中で「年齢的に40代以上の社会人は入学しづらい」ニュアンスのコメントがあり、それが引っかかった。講座紹介動画でこのコメントをするとは、これから学ぼうとする人の意欲を下げるなぁと思い、その意図を問合せたところ…
という回答をいただいた。確かに事実なんだろうが、受験生のへの言葉としては、「決して楽な道ではないが、がんばっている仲間もいます。一緒にがんばりましょう」が筋だろう。“お年を召された方はうちはお断り”的な雰囲気を感じ、ファイブアカデミーでの受講は諦めた。もっとも今にして思えば、この動画や添削の質では諦めてよかったと感じる。
ちなみに受講料は、ベーシックパックだと30万円台だが、一番のウリである添削講座を付加したフルパッケージだと60万円になる。
【注】上記の情報は2023年1月時点での個人的評価なので、事実と異なる場合はご容赦ください。また最新状況は直接お問い合わせの上ご確認ください。