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「ちょっと仕事辞めてきました」【ビブ人名鑑#3:永野舞子さん】

ビブリオバトル普及委員会で活躍中の方へのインタビュー企画、「ビブリオバトル人(ビブ人)名鑑」。

今回のゲストは、好きなことに人生を使うため、退職を経験した永野舞子さんです。
彼女の当時の思いと今の野望とは?

永野 舞子(かどや まいこ)さん
ビブリオバトル普及委員会理事、兼情報局メンバー。埼玉県在住。関東をメインに読書系イベントを開催する「ビブリ場」代表。Bibliobattle of the Year 2019 特別賞「広がれビブリオの場!賞」受賞。

情報局に入って

ー 永野さんの最近のビブリオバトルとの関わり方を教えてください。

「ビブリ場」というサークルでビブリオバトルをしているんですが、開催という意味では今年はまだ一回しかできていません。
感染症の情勢を見ながらの判断になりますね。

また、今年の1月にビブリオバトル普及委員会の情報局のメンバーになって、普及委員会会員とサポーター企業向けのレポート「ビブリオバトル・ニュース」の発行に携わっています。

それから、6月からはビブリオバトル普及委員会の理事としても活動しています。

ー 情報局のメンバーになって、何か変化はありましたか?

情報発信を通して、会員の方々のサポートになる役割ができ嬉しいです。
また、これまでよりも各地の取り組みを調べる機会が増えたので、参加してみたいビブリオバトルが増えました!

帝国ホテルでビブリオバトル

ー ビブリオバトルを主催するときに大事にしていることはありますか?

誰でも気兼ねなく参加できて、かつアットホームな雰囲気になるよう心がけています。
参加者が多いときも少ないときも、その場の一期一会の出会いを大切にして、全力で楽しむことにしています。

ー どんな場所で開催してるんですか?

お昼間に、カフェをお借りして行うことが多いですね。
普及委員会会員の粕谷亮美さんとユニットを組んで運営している「サブリエ・ビブリオ」では、帝国ホテルでアフタヌーンティーを飲みながらビブリオバトルを行ったこともあります。
大きな音を出せないので、タイマーは砂時計を使いました。

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ー 写真が優雅ですね!

ものすごく特別な回ですけど(笑)

個人的には、夜の開催ももっと増やしていきたいな、という気持ちもあるんです。
もともと参加していたビブリオバトルが、夜にお酒を飲みながら気楽に楽しむスタイルだったので。
ただ関東でも遠方から来てくださる方も多くて、遅い時間から始めるのが難しいのが悩みどころですね。

「私、仕事辞めてきました」

ー 永野さんはビブリオバトルとどんなきっかけで出会ったんですか?

もともと文学が大好きで、本の話ができる場所を探していました。
ただ当時北海道で大学の国文学科に通っていても、思いっきり本について語れる場所がなかったんです。

社会人になってから、読書会に参加したり自分でも主催したりするようになって、2013年に普及委員の折登大輔さん主催のビブリオバトルに出会いました。
その方と一緒にサークル「さっぽろビブル」を運営するようになって、ビブリオバトルへの愛が深まっていったんです。

ー 本の話をする場所を積極的に求めてたんですね!

そうなんです。

ビブリオバトル熱がどんどん高まって、2016年には大阪で行われたビブリオバトル・シンポジウムにも参加しました。

当時、入院を経験したり、夫の転勤が近づいていたこともあって、仕事を辞めたタイミングだったんです。
「ビブリオバトルみたいな好きなことに、人生の時間を使おう」と思って。

ー 潔い…!「ビブリオバトルのために仕事を辞めた人がいる」って、当時話題になってましたよね。

はい(笑)

そんな話をシンポジウムの最後に喋らせてもらったら、先ほど帝国ホテルの話で出てきた粕谷亮美さんに声をかけていただけて、北海道から埼玉へ転勤後、一緒に活動させていただけることになったんです。

もしかしたらただ心配されただけかもしれませんが(笑)

ビブリオバトルの5分間で愛を叫ぶ

ー 永野さんにとって、一番印象に残っているビブリオバトルはなんですか?

開催、という意味では、BiblioEi8htさんと共催して屋形船で行ったビブリオバトルですね。

隅田川を渡る屋形船の上で、「川」と「船」をテーマにビブリオバトルをしました。
私が紹介した『今日はカレーだ! 海上自衛隊の極旨カレー・レシピのひみつ』がチャンプ本になったこともあり、とても心に残っています。

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ー 屋形船で!料理もあって楽しそうですね!

とても美味しかったですよー!
参加費は一人1万円かかりましたが(笑)

もう一つ印象に残っているビブリオバトルは、あるバトラーさんの発表を聞いたものですね。
そのバトラーさんは、当時お付き合いされていた方を観戦者として招き、本の紹介に乗せて、明らかにその方への想いを伝えようとされていたんです。

ー おおー、聞くだけでキュンとくる話です。

そうでしょう?(笑)

その発表を脇で聞いていて、「ビブリオバトルにはこんなにも自分の気持ちを語らせる力があるんだ」、と感動したんです。

ビブリオバトルを仕事に

ー 永野さんのこれからの野望ってなんでしょうか?

ビブリオバトルに関して、お仕事としてイベント開催や執筆のご依頼を受けることが増えてきたので、個人事業主として開業する、というのが野望ですね。

儲けたい、というわけではなく、誰かにビブリオバトルの活動について説明するときに、「趣味として…」だと変にへりくだっている気持ちになるんですよ。

そこで、ビブリオバトルについてもっと堂々と語るために、開業という形にしたいな、と思っています。

ー すごい!「ビブリオバトルのために仕事を辞めた」永野さんが、本当にビブリオバトルを仕事にするんですか!

さっき言った2016年のビブリオバトル・シンポジウムでその話をしたとき、ビブリオバトル考案者の谷口忠大さんから、

「ビブリオバトルで食べていけるように頑張ってね」

って声をかけられたんです。
当時は仕事をリタイアしただけという気持ちだったので、「いやそういう意味じゃない…」って思っていたんですが(笑)、図らずもあれから少しずつ谷口さんの言葉に近づいている気がします。

ー (言霊って怖いな)

本の話をすることって、やっぱりまだTVドラマや映画の話をするほどポピュラーではないと思うんです。

すぐに「文学少女なんだね」ってくくられてしまったりとか。

活動を通して、「本が好き」っていくらでも言える場所をもっともっと増やしていきたいと思っています。

ー 好きなものについて安心して語れる場って、大切ですよね。

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ー 最後に、永野さんにとって、ビブリオバトルとはなんでしょう?

自分の世界を広げる、きっかけをくれるもの、です。

ー ありがとうございました!

ありがとうございました。

永野舞子さんが代表を務める「ビブリ場」のページはこちらから。

「ビブリオバトル人名鑑」シリーズでは、ビブリオバトル普及委員会で活躍されている方々のインタビュー記事を不定期に掲載していきます。

どうぞお楽しみに!

お読みいただきありがとうございました。

インタビュー・執筆:益井博史
取材日・場所:2020年8月9日(日)Zoomにて

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